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安藤さんの自伝「建築家 安藤忠雄」は
安藤さんの半生が描かれた至極の一冊ですが、
今回はこの「建築家 安藤忠雄」を通じて
"土木"と"建築"のデザインから考える
土木の将来を僕なりに創造してみたいと思います。
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同潤会青山アパートを表参道ヒルズに 建て替える際、人間同士の対話という当たり前の行為の積み重ねで設計を進めたと語り、自身は「長い接道面を持つ建築は、公共に対して責任がある」との主張を曲げなかったと言う。
土木屋である私は「コンクリートの成否は、人間関係の確かさにかかっていた。」と言い、現場の職人にもモノづくりとしてのプライド発揮を求める姿勢に感銘をうけた。
終章の「人生に“光”を求めるのなら、まず目の前の苦しい現実という“影”をしっかり見据え、それを乗り越えるべく、勇気をもって進んでいくことだ。」は座右の銘?にしておこう。
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購入:三木(2011.12.1)
瀬戸内国際芸術祭2010で直島の地中美術館に訪れてから安藤忠雄さんの建築に興味を持つようになりました。本を読むと作品を創る時にどんなこだわりを持って取り組んでいるかが理解でき、自分がなぜあの建築が気に入ったのかが納得できます。依頼内容と全く正反対の提案を返し、相手を説得、納得させてしまうという信念の強さとパワーに溢れた著者ですが、お客様の求めるものを提供するという顧客満足とまた違い、全く正反対の提案で新しい価値を提供するという顧客満足もプロだなと感じました。
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元気と勇気に溢れた一冊。
安藤さんの生き様が深く
しっかりと刻み込まれた
建築家、安藤忠雄の自伝。
安藤さんご自身が相当な読書家の為、
やはり文体が整っていて美しく、
とても読み易い内容となっています。
この本を購入したのは、
ちょうどぼくが初めての個展を
開催した時で、当時も深く
感銘を受けた記憶があります。
今こうして読み返してみて、
自分がどれほどの影響を
ここから受けていたか、
ということに改めて
気付かされました。
心の師として、これからも
安藤さんを慕い、目指し、
越えていける人間に成りたいと
改めて強く思いました。
そしてその入れ物である
本の装丁が実に堅実で
美しく読みやすい一冊。
生きるということ、
暮らすということ、を
建築という場で考えつづけ、
社会を見つめつづけてきた
建築家の素晴しい自伝。
読むのにかかった時間:4時間
こんな方にオススメ:建築家・デザイナー志望の方は必読
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安藤忠雄、初の自伝らしい。読みやすい。
アラーキーの写真含め、装丁も美しい。
『連戦連敗』が初級編ならこっちが入門編ってとこなんだろうが、完全に読む順番を間違えた。
この本の素晴らしいのは、安藤の駆け出し時代から初期の仕事にページを割いている点。
『連戦連敗』を読むと、安藤は世界を股にかけて巨大公共建築プロジェクトに携わる人という印象を受ける。
が、原点は一般住宅。しかも大阪の下町で、限られた土地と予算とツテで作りあげる非常に手作り感のある仕事。
高校在学中にプロボクサーとしてデビュー。
卒業後はろくに就職もせず、建築家を目指しながら体当たりで小さな仕事をもらってきてはこなす日々。
トレードマークであるコンクリート打ち放しは、実は工費を削るために採用しはじめたものだった。
何の権威づけも業績もないこの若い建築家だったが、自分のこだわりだけは頑として曲げず押し通した。
そのこだわりの興味深い点は、住人に強いること。
夏は暑い。冬は寒い。手すりがない。屋根すらない。意味はある。
住むとはそもそもそういうことで、人が真剣に住宅と闘ってこそ、そこに住まう意味が理解できるのだという。
この迎合しない理想主義。かっこいい。
住宅について書かれた箇所は『連戦連敗』含め2冊の中で最も面白かった。
現在でも年に1つは住宅の仕事をこなすようにしているし、最後の仕事は住宅と決めているそうである。
もちろん、商業建築、公共建築についても分かりやすく描かれている。
他に面白かったテーマは環境。
建築とはそもそもにおいて非環境的なものである。
建築の環境化に対する社会的要請は大きく、先進素材や技術を用いて温暖化ガスや産業廃棄物の排出を抑える
建築が今後最も注目を集めるのは間違いない。
というか、環境を無視した建築はもはや存在すらできなくなる。
安藤も当然、こうした動きには肯定的であり、運動も行っている。
が、アプローチは同じではない。
技術を用いて数値上の省エネを実現する、ハイテクな建築手法を取り入れながらも
人工照明を用いない、空調を用いないといったローテクな(一見不便な)手法にこそこだわりを見せる。
快適さを捨てているのではない。むしろ都会の中にあって自然を取り込むことが真に快適ではないかと問うている。
ここでも「その建物が周辺の文脈とどのような応答を交わし、またその応答が内部空間に身を置く人に
どのような意味をもつか」を考え抜いているのだ。
どうやって「人に強いる」か。建築に限らず、環境問題を解決する上での最も重要で困難な課題であると思う。
階級を超えて全員がより快適な生活を貪欲に求め、技術革新を重ねてきた。
結果が今の環境破壊である以上、その延長線上に環境問題の解決はあり得ない。
時に我慢を甘受して、従来とは違う快適さを求める社会にしていく必要があるということだろう。
以下ちょっと趣味、いや妄想の世界に入る。
同じように「人に強いる装置」としてのモノ��くりという意味で、トヨタ・プリウスは誇らしい。
先進技術が詰め込まれたハイテク製品でありながら、実際に乗ってみるとローテクな仕掛けのほうに驚かされる。
アクセルを踏み込むのが躊躇われるような、つまり乗る人が機械任せでなく自律して低燃費を追い求めるような仕掛け。
それが素晴らしいと思う。
管理された私的で上質な空間の提供を追い求めてきたという点で、住居も自動車も近いところがあると思う。
外部空間との親和性を使い手が意識するように仕向けることは、まさに真逆のアプローチだろう。
僕もこのアプローチをお手本に車について考えていこうと思う。
※プリウスを「俺のもの」みたいに誇っているが、もちろん僕は何も貢献していません、悪しからず。
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かっこいい…。あまりの格好良さに
一気読みしてしまいました(*・・*)
ちょっと変わった正方形の装丁も惚れどころ(笑)
「怒っている」様子を
ドキュメンタリー番組とかで よく映像に残されいる安藤さんですが
この本では「怒っている自分」について
ちゃんと意味があることを教えてくれます。
「怒り」をエネルギーに変えて、ものを「つくる」こと。
怒ることは誰だってできるけれど
それを肯定的な生産に利用できるかは
「怒り主」の才なんだと思います。
私も良い「怒り」を自分の中に沸々とさせていたいです。
怒られたくないし、怒るのって時々面倒くさい
でもニコニコしているだけでは、やっぱり果しえない事がある。
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経歴紹介に「プロボクサーの夢破れ、独学で建築の道を志した。」と必ず付くように、ボクサーと独学という野生味が独特ですね。建築で闘い続ける斬新な魅力でファンも多数。人生の不屈の経歴を裏づけに、建築制作も光と影の探求が一つのモチーフのようです。手法は、コンクリートという素材の持ち味を活かしきります。「材料をコンクリートに絞り、構成も幾何学的な形を守り抜くという単純な枠組みを自らに課し…」といいます。プリミティブな造詣でアートを感じさせる稀有な建築家の初めての自伝。
写真も豊富なすてきな構成の本です。
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建築家「安藤忠雄」の建築に対する生き様が赤裸々に書かれ、また人間「安藤忠雄」の人間味あふれる魅力が満載。
この人はお気に入りです。
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建築家でありながら、安易に「快適な」住まい(例えば冬に温かく、夏に涼しい)をつくることに傾斜しすぎない、建物の先を見据えている人であることが良く伝わってくる。
独学で建築界に風穴を変えたということが専ら注目されるが、この人の「らしさ」は、建物を越え、設計を越え、しかも結構平気で「暮らし方」を半ば押し売りし、実際にクライアントを説き伏せて仕事をし続けてきたところにあるのだと思う。大変な人です。
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建築家の安藤忠雄さんの自伝。
丹下建造さん、コルビジエの
建物の紹介、ヨーロッパは街並みの建物の作りが均一されていて美しいが、日本は、
あまり均一化されていないので
これから日本で建物を作るときには
一つの建物のみを考えるのではなく街全体に調和する建物を作りたいという思いが書かれていて
私は旅行が好きなのですが、旅行に行くときに街並みも観察するようになりました。
どのような思いで建物を作ってきたかの経緯も書かれています。
特に印象的だったのが、表参道ヒルズを建てたときの経緯です。
表参道という場所にどのような建物が合うか、
同潤会アパートに住んでいた人をどうやって説得したか、
表参道に植えてあるプラタナスの木と建物がどうやって調和するか
ただ素敵な建物を作るだけではなく、様々なことを考慮して作られていることに
感動しました。
難解なプロジェクトをどうやって
成功させたのかその秘訣も書かれているので建築関連のお仕事をされていない方にも
大変ためになる一冊です
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■安藤忠雄
1.お金は蓄えるものではない。自分の身体にきちんと生かして使ってこそ価値のあるものだ。
2.仮に私のキャリアの中に何かを見つけるとしても、それはすぐれた芸術的資質といったものではない。
あるとすれば、それは、厳しい現実に直面しても、決してあきらめずに、強かに生き抜こうとする、生来のしぶとさなのだと思う。
3.最初から思うようにいかない事ばかり、何か仕掛けても、大抵は失敗に終わった。
それでも残りのわずかな可能性にかけて、ひたすら影の中を歩き、一つ掴まえたら、またその次を目指して歩き出し。
そうして、小さな希望の光をつないで、必死に生きてきた。
4.抽象的な言葉として知っていることと、それを実体験として知っていることでは、同じ知識でも、その深さは全く異なる。
初の海外旅行、私は生まれて初めて、地平線と水平線を見た。地球の姿を体得する感動があった。
5.生活こそが住まいの本質。
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厳しい自然に立ち向かい、美しい自然を愛し、人生を豊かに生き抜いた先人の強かな精神を現代に受け継いだ人。
この数十年で、日本社会は高度に文明化され、豊かな経済力によって衣食住という人間の基本的な欲求は満たされた。また、テレビやインターネットが発達し、才能ある生産者によって作られたコンテンツを格安で消費することが可能となり、苦労なく時間を埋めて退屈を紛らわすことができる。
このような時期に青年期を過ごした僕ら若い世代は、目の前の困難を受け入れ、立ち向かう強かさに欠けてしまいがちだと思う。382ページの、「情報化が進み、高度に管理された現代の社会状況の中で、人々は、『絶えず光の当たる場所にいなければならない』という強迫観念に縛られているように見える」という一文にははっとさせられた。自ら進んで「光」を手にするには、目の前の困難である「影」を受け入れる必要があるのに、強迫観念があるから「影」にいると余裕がなくなり不安で仕方なくなって逃走してしまう。正直に認めると、これは僕自身にも当てはまる(この場でそのことについて内省することはしないが)。
とはいえ、そのような安定の時代は終わり、今後の日本社会、あるいは世界は、再び困難な時代を迎えることになるだろう。少子高齢・グローバル化・人口爆発・人工知能の台頭など様々な環境の変化とそれに伴う淘汰は避けられない。
確かに、とてつもないスピードで変化していく社会に、自分が今後きちんと適応することができるのか不安を感じる。しかし、安藤さんの自伝を読んで、困難に立ち向かう強かさにこそ、与えられた生命を満足に全うする秘訣があるのだと再認識した。願わくは、困難に立ち向かうことの延長線上で、彼のように創造的で豊かな人生を築きたいと思う。
先人の強かな背中をこの本で垣間見れた経験は、今後の自分の勇気に昇華されることだろう。素晴らしい自伝を著した安藤忠雄さんに感謝。
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p.115 西欧の都市では、広場が街の中心になり、人々の集う場としての
人間に取っての本当の幸せは、光の下にいることではないと思う。その光を遠く見据えて、それに向かって懸命に走っている、無我夢中の時間の中にこそ、人生の充実があると思う。
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プロボクサーから建築家に。
ル・コルビュジエを心の師と仰ぐ。
コンクリート打ちっぱなし。
型にコンクリートを流し込めば、造りたいものが安く容易にできる。
それを実現する強い意志と対話する力。
近年は東京でも見かけるようになった。
国際子ども図書館
表参道ヒルズ
21_21 DESIGN SIGHT
そして、
東京スカイツリー
しかし今では、産業廃棄物の半分以上が廃コンクリート。
表紙写真はアラーキー。鋭い眼光。
「人生に”光”を求めるのなら、まず目の前の苦しい現実という”影”をしっかり見据え、それを乗り越えるべく、勇気をもって進んでいくことだ。」
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とにかくカッコいい人です。目の力が尋常ではないです。行動力・信念がすごいです。これからの私の何らかの指針になればと考えて読みましたが、むずかしいです。「あきらめずに、精一杯走り続けていけば、いつかきっと光が見えてくる。その可能性を信じる心の強さ、忍耐力こそが、建築家に最も必要な資質だ。」これは、建築家ではなくても見習うべきことだと思いました。