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芥川賞受賞作。ワンちゃんのが個人的には好きでした。
中国人作家とだけあって人物名もそうだから読みずらい、というより読めない(笑)
振り仮名ふってあっても忘れてしまうのが難点。
実に深く切ない
また尾崎のI LOVE YOUがより切なさを増していい味出してる
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中国民主化に身を投じて挫折した青年たちのその後を描いた作品。初めて日本語を母語としない作家による芥川賞受賞作だそうですが、確かに日本語に違和感があります。なんとなく、外国語から日本語に直訳したかのようなぎこちなさが感じられて、それが読んでいるあいだ中慣れることなく続いてしまいます。ハリー・ポッターシリーズは翻訳がひどいことで有名ですが、あれを多少マイルドにしたようなこなれてない雰囲気があります。
さらに、人物の描き方も非常に類型的で、それぞれのキャラクターがたっていない。人物造形のテンプレートのようなものがあって、そこからカスタマイズせずにそのまま流用しました、とでもいうかのよう。日本語の不自然さとあいまって、全体的にカクカクと生気のない人物描写になってしまっているのも残念。本来ならばもっと重要な役を担えるはずの人物がほとんど活きないまま放置されてしまっているなど、構成的にも未完成なものがあります。
ただ、仕事にも家族にも友人にも恵まれてそれなりの成功をしていながら、それでもかつての理想を捨てきれず、さらに挫折の記憶も整理しきれず抱えながら生きる主人公の姿は、たぶん読み手の気持ちとリンクするものがあるように思います。中国の民主化という大仰なものでないにしても、だれもがかつての夢や理想を心の中で風化しきれずにしまい込んだり、過去の失敗を完全に乗り越えられないままになっていたり、ということはあるんじゃないか。そうした感覚がふっとよみがえってきて、すこし切ない気持ちになったり。そういう感覚を思い出すというのは決して悪くないことかもしれない。
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題材は天安門事件。
前半は、中国の田舎で親友同士の青年二人が大学に合格し、念願の大学生活を謳歌しているさまが可愛い。二人とも素朴で、志が高い。早朝、湖に向かって抱負を叫ぶところなんてとても微笑ましい。
そのあと、学生活動に参加し、思いがけない方向に人生の流れが変わる。
中国の青年が当時、どのように考え、どのように生きていたか、に思いを馳せることができた一冊。
浩遠や、淡雪の子どもは、大きくなったら、親がしていた学生運動のことや、中国のことをどう思うんだろう。
外国人で初の芥川賞受賞作品。
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昨年の芥川賞受賞作品
中国の民主化に希望を見出し、運動に参加するも大学退学させられた学生達の青春物語。
情景の表現などは非常に繊細だなぁと感じました。
中国人作家ということもあり、漢字の使い方や表現の仕方が少し日本人とは違いそれが新鮮でもありました。
芥川賞は短編が中心に選定されるので物語に深みがないというかあっという間に終わってしまった感がありました。
種類は違うが日本で起きた学生運動も本書にあるような雰囲気だったのかなぁと思いました。学生運動の様子などは非常現実感があるように感じました。
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舞台は中国。
大学への希望とか、未来への希望とか。
今の日本の若者社会ではなかなかお目にかかれない要素が、さわやかに描かれている。
表情やしぐさから人間味があふれていて、そこがすごくいい。
人と人とのやりとりが、読ませる。
後半、ちょっと物語を広げすぎちゃった感がある。
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芥川賞にしては壮大さを感じさせる力作だった。どの世代、どの国家においてもありえる、時の流れのなかでの喪失感は、共感を覚えるテーマであり、胸に迫るものがある。日本語を母国語としない作者だけに2,3、違和感を感じる表現もあったが(”魚の腹のように白い朝”というのは、意表を疲れて面白かったが)、問題なく読めた。
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第二次天安門事件を劇的かつ詳細に書くのかと思ったら、中国の民主化挫折後にかなり焦点が当てられていて新鮮。日本語を母語としない作家さんで、言葉にやや違和感を感じたが気にするほどじゃないかなと思った。八九年を体感した人の言葉には表しがたい感銘を受けた。
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第139回(2008年上半期)芥川賞受賞作。中国の大学生が成長していく話。
真面目で正義感の強い青年の孤独。
国が違うと想像するのが難しくて読みづらいなあと思った。
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中国の民主化を目指し奮闘する若者の青春を描いている。颯爽と時間の流れを描いており、学生運動から人生の転換期を通じて、人間の心情を探っている。
国境を越えた先の人々の生き方や生活、抱える問題の違いというものを思い知らされた。登場人物の心情を、繊細に描く文体が見事。
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学生運動をしていた人が読んだら共感するのかな。
二十歳の原点、を読んだ時はまっすぐさに驚いた。
白か黒か選択をする事以外考えられなかったのに、いつの間にかグレーゾーンを生きる事になった彼ら。
まっすぐさはこうやって歪んでゆくのか。
著者は「自分の青春時代を振り返るために書いた」と言っていた。
だったらなぜ、女性目線で書かなかったのか不思議に思う。
詳しくは聞かなかったし調べてもいないけれど、著者本人はあまり運動に直接参加はしていないのかもしれない。それが良いとか悪いとかではなくて。
話の中で「今の若者の士気のなさ」を少し嘆いていたけれど、私にはこの白黒しかなかった世界がわからない。そして嘆く意味も私にはわからなかった。
きっとそれは嘆く人がこの時代に生きていた人だからなんだろう。
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天安門事件という歴史上の大きな出来事を背景にして、途中はドラマチックな人間関係が展開し、そしてラストは温かく、全体的に美しい小説だと思います。『お前にとってよい教訓になるよ。自分に負けるな』というお父さんの言葉には、じんときました。
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前作「ワンちゃん」で感じた日本語のぎこちなさはそれほど気にならなかったです。純粋(そして無知)な田舎の青年二人が始めて味わう都会での学生生活。学生運動にのめり、翻弄され、酔っ払った上の喧嘩であっさり退学処分…と続きます。天安門事件を背景に、というのでもっと壮大な話を想像していたら、あれ?という感じでした。若さと無知ゆえに踊らされる青年におかしくもあり情けなくもあり、でした。インパクトには欠ける、ペーソス感漂う物語です。私には前作の方が良かったです。
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【時が滲む朝】 楊逸(ヤン・イー)さん
中国北部の貧しい地域に住んでいる二人の少年
謝志強と梁浩遠は高校では成績優秀なライバルであり
友人でもあった。
彼らは10人に1人という狭き門の大学を目指し
勉強に励んでいた。
秦都の大学に受かった彼らは新しい寮生活に
戸惑いつつ学生運動に目覚め、巻き込まれていく。
そして、天安門事件。
民主化を唱えた学生たちはやがて大学を卒業し
実社会へと旅立ってゆく。
☆
この本を読んで感じたことは、活動の如何にかかわらず
何をするにしても個人の温度差にはかなり開きがあるだろう
・・というコトです。
民主化運動に力を注いだ梁浩遠も、天安門から時が経つに
つれ、人々の心のあり方が変わってきている事に憂いを
覚えながら活動をしていました。
いくら頑張っても、その思いが伝わらない。
頑張りすぎると逆に迷惑がられる。
実生活でもそういうコトがわりあいと多くあるなぁと
思いながら読みました。
ちなみに、昔の知り合いが天安門を現地で経験してました。
当時は宿泊しているホテルから出ないように言われたそうです。
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天安門事件を取り上げた小説。言わずと知れた芥川賞受賞作。かつて学生運動に揺れた日本も、そしてこの天安門事件もどこか遠い昔のことのように思える。夢と理想を胸に「闘う」若者はいつの時代も純粋であるがゆえに危険で、そして未熟。結局時代に翻弄されただけで、様々なモノを失い、代わりに手に入れたモノと折り合いを付けながら生きていく。学生運動世代にはノスタルジーを感じられる小説かも。前作ほど日本語の使い方にぎこちなさを感じないのは有能な編集者がついたから?もしくは前作があえてそのぎこちなさを強調していただけ?
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天安門事件の最中に民主化運動に走った若者二人の心情が丁寧に描かれている。生まれた国が僕と違う二人だが不思議なくらい通じるものがある。尾崎豊あたりがキーになっているのかもしれない。なんとも切ないお話しだった。