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良かった。読んだのも読んでないのもあるけど、最近の芥川賞にはない、なんていうか「古き良き時代」の芥川賞みたいだ。
こういうのが今の世の中に出る、しかも中国人作家が書いてある程度の注目を集めている、ならば読まなきゃ損じゃないかな。
この小説を「熱い小説」か「イタイ小説」か、どちらかを取るかは、分かれるところだろう。
すっかりポストモダン化しつつある日本でこういうストレートなメッセージを書くのは、日本人じゃ無理だろう、なんて思う。
嗚呼、切ないよね。日本人じゃあ、ひねくれ過ぎてもう書けないタイプの小説。
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寒空に吠える二狼の初々しいこと。天安門事件以降大学を追われた二狼たちは、紆余曲折を強いられる。
そして11年後。日本人の妻と2児を得て日本で暮らす浩遠は、フランスに亡命した甘先生、「泉に落ちた黒い大粒のぶどう」のような眸の持ち主だった英露と11年ぶりの再会を果たす。
尾崎豊のイメージを狼に例えて効果的。
骨太とか、しなやかという評を読んだ。そうした印象はあった。今後の作品を含めて注目していきたい。
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芥川賞受賞作品。
久々に存命の作家さんを読んだ。
ところどころ中国語の詩が出てきて、当たり前だが分からない。
そこが理解できればもっと内容に飛び込んでいけたのだろうな。
全体的に抑揚が無く、静かな印象。
恋に対する、将来に対する、二人の主人公の性格の違い。
でも、違うようで似ている二人。
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うーん、というのが正直な感想。
前作『ワンちゃん』の方が好みだった。
天安門事件を題材にした作品。
中国の人にとって避けて通れないテーマなんだろう、と思う。
もちろん、日本人にもあの事件は衝撃だった。
だけど、強烈な意思をもって臨んだデモが中途半端に消え、消化不良の心を抱えたまま田舎に戻り、結婚して日本に来てからもずっと心に抱えたモヤモヤを、それこそが描きたいことだと思うのに、そこが伝わってこないのが私にはじれったかった。
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芥川賞を受賞したのは、中国人の作家でないと書けないであろう主題を母国語でない言語で懸命に表現した、ということに対する評価か。そう考えると、一種の文学の形として理解できる気もする。確かに、この小説は表現による高ぶりという部分は存在しないものの、天安門事件に代表される中国民主化を求める学生デモを通して、そこで生まれた熱き青春や、10年以上が経過しても自らの理想に現実が追いついてこない虚しさをすごく素直に描いており、愛国心について考えさせる作品になっている。とは言っても、こういった激動を描いた作品で、もっとていねいかつ情緒的な描写が出来て、そこに巧みな表現が重なってくると、心を揺さぶる長編に成り上がった可能性もあるので、かなり発展途上の作品でありますが…。
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中国人作家初の芥川賞受賞作、ということで話題の一冊です。文章も上手だし作品としてはきれいですね。ちょうど北京から帰ってきて手を付け始めた本ということもあり、色々と考えさせられることもありました。今の北京の若者達は幸せもんだなぁ。自分達がどれだけ幸せなのか理解していてくれればいいのだが。なんて勝手に思ったりします。中国の近現代史なんてロクに学んだことないけれど、ちょっと中国のことを知ることができた気がして、よかったです。
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「そう…頑張りたいとか…いろいろ叫んじゃいました。この大学に入れて、余りにも嬉しくて、叫びたいほど嬉しくて、叫びたくて」(p22)
秦都の空港で尾崎豊の「I LOVE YOU」をはじめて聴いたときの震撼は時が経っても忘れられない。意味のわからない歌詞が胸の共鳴を弱めることはちっともなく、「I LOVE YOU」と叫び出した瞬間、コンクリートのような何かで固められた己が、どんどん壊れて崩れ落ちていって、あっと言う間にガラクタと化してしまう。(p111)
瑞々しさは感じるが…う〜ん、どうなんだろう…もし、これと似たものを日本人が学生運動ものとして書いていたら、芥川賞を受賞しただろうか?ちょっと薄っぺらい気がするんだが。
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芥川賞を読んでみた。
が、あんまりピンと来なかった。
感想は「日本語上手いなぁー」みたいな。
悪くないけど…。
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中国の田舎から大学に入学した主人公。中国民主化運動にかかわり天安門事件で挫折し、さらに日本に渡って民主化運動をすすめ、北京オリンピックの反対運動までを描く。芥川賞受賞作品。
前半はかなりだれたけど、後半は面白かったです。
中国の大学生ってマジメっていうか純粋っていうか・・。かなり新鮮でした。日本の甘えた大学生に比べるとオトナだね。
後半は理想と現実の折り合いをつけてゆくことがテーマ。私も若いころは理想主義だったのでなんとなくわかります。もうちょいこのテーマを深めてほしかったかな・・。
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「時が滲む」という題名からくる違和感というか、あまり耳慣れない響きにとまどっていたのだけれど、読み終わってみるとすごくしっくりくるタイトルで、それだけで「スゴイ」と感心する。
青春と挫折。理想と現実。夢と生活。
言葉にすると陳腐になってしまうのだけれど、
陳腐ではない、歴史の中の、地に足のついた市民の物語。
生きることってらくちんなことばっかじゃないけど、それでも前にすすんでいく。
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1987年中国から始まり、学生運動に青春を捧げた
青年2人の話、か?
純朴さに心を打たれる。
しかし共感する対象がいなくてなかなか入り込め
ぬまま終わった(;・∀・)
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近年の芥川賞受賞作の中では、
すっきりしていて、真正面な小説です。
変にこった日本人の作家よりも、
よっぽど読みやすいです。
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「さっきまでしゃきっとしていた浩遠は、袁利の写真に撃沈され、一瞬にして水分の抜けた大根のようになってしまった。」
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芥川賞作品ということで読みました。
史上初の日本籍以外の著者の受賞として話題になりました。
この作者は半年前の選考では「ワンちゃん」が候補になりましたが、「文章が日本語としてこなれていない」として選考から外れました。
選考を欠席した石原東京都知事は「風俗小説に過ぎない」と手厳しい批評です。
ミクシイのレビューでも評価は相半ばです。
150ページほどの短い作品なので、一気に読みました。
かなり長い時間を扱っている壮大な作品です。
作品の中で中国での歴史評価についてうかがい知れるところがあります。
蒋介石の評価は低く、孫文や魯迅は評価されています。
天安門事件のことが描かれていますが、「中国をアメリカのような民主主義国にする」と主人公たちは主張します。
一方で「社会主義に反対しているわけではない」とも言います。
テレサテンや尾崎豊の音楽が背景として使われています。
影響されやすい私はこのあとテレサテンのCDを図書館から借りてきました。
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芥川賞作品と言うことで期待しながら読み始めましたが、結局、話に入り込めないまま、途中で飛ばし読み状態になってしまった。