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3世紀の軍人皇帝時代を書く。基本的にはゲルマン民族との戦闘で死んだり、謀殺されたりした皇帝の後がまを軍団が擁立して、元老院が後追い承認する時代である。当然、皇帝が乱立し、マクシミヌス・トラクスからカリヌスまで73年で、18人を数える。この巻で特筆すべき部分は「五人皇帝時代」や、ゴート族が船を仕立て地中海の町を略奪したこと、皇帝ヴァレリアヌスがササン朝ペルシャのシャブール一世に生きたまま捕らえられたという事件である。ヴァレリアヌスの息子、共同皇帝ガリエヌスは父を見捨てた。帝国の西でゲルマン民族相手に戦闘中で、それどころではなかったのである。
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軍人上がりの皇帝が何人も立ち上がっては消えていく時代。国内の情勢は昔のローマとは、大きくは変わっていないものの、確実に崩壊へ近づいていく。
今まで大人しかったペルシャからの侵略、ゴート族を筆頭になだれ込んでくる北方蛮族。それに対し、危機感は募らせながらも今までの皇帝・ローマ人のやり方を踏襲しない方法で対処していく軍人皇帝たち。どこで歯車がかみ合わなくなっていったのか?
トップがすぐに入れ替わる様はまるで日本の首相のようで、読んでいて物悲しくなった・・・。
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帝国の西方、東方の防衛線が突破される。皇帝が戦地で謀殺されたり、蛮族に殺されたり、敵国に捕われの身となったりと、皇帝の世代交代が早く、苦難の時代。国家の終焉はこのようにして訪れるのかと思いながら読む。
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マクシミヌス・トラクス、ゴルディアヌス一世、二世、三世、パピエヌス、バルビヌス、フィリップス・アラブス、デキウス、ヴァレリアヌス、ガリエヌス。次々と登場しては消えていく皇帝たち。もはや誰が誰だが……、魅力も権威も感じない。おまけにヴァレリアヌスはペルシャ王シャプールによって捕囚されるという前代未聞の不祥事。そして、前例のなかった危機に突入。
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う~ん、ローマ帝国ズタズタ、という感じ。皇帝がコロコロ変わって、名前さえ、覚えられない。
現職の皇帝が捕囚されてしまい、連れて行かれたローマ人が捕虜となり、ペルシアで橋を造らされる・・・塩野七海は、立派な橋を建設することで、ローマの捕虜たちも自尊心を維持したのではないかと書いているが、本当に、どのような気持で、自分たちを捕虜にしている国の橋を作ったのだろうか。
ローマ帝国、既に、このまま崩壊してもおかしくない状況だけど、これからどやって少し立て直したのだろうか。
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もう皇帝多すぎます。
蛮族の侵入が増えるなか、軍事に長けたものが皇帝に名乗りを上げるも、政治で失敗が大半。
とうとうローマ皇帝捕囚という事態へ(ペルシア王シャプール1世)。まさしく「終わりの始まり」。
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タイトル通りの「迷走する帝国」の3世紀中頃の混乱の時代の話です。外的要因と内的要因の両方に振り回される時代ですが,その中でも,「持てる力を継続的に使うことでのエネルギーの浪費の防止」ができなかったことの悪影響が顕著に出てきた時代であると思います。何かにつけて改革のよい面が取り上げられることが多いような気がしていますが,それによって「継続性」が断たれると言うことに対しては,評価をきちんとしておくことが個人にも組織にも大切なことだと思います。
それにしても,この時期のローマはまさに迷走しており,「帝国はこの時期に,そのまま崩壊したとしても不思議ではない状態にあった」わけで,このような時代に生きた人々は本当に大変だったと思ってしまいます。そのようなところは読むのはつらいところがありますが,それらをもとにした考えるヒントがいくつもあるのも事実だと考えます。
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捕虜になったローマ人が建築水準の高さが
で今に残る維持を見せたのは、シベリア抑留の日本人の労働に通じる。
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カラカラ帝が東方遠征の最前線で、警護隊長の手によって殺害されるという事件が起こって以降、兵士たちによる皇帝暗殺が相次ぎ、元老院に議席を持たない将官出身の「軍人皇帝」が次々に現われては消える、危機の時代が続く。かくしてローマは政略面での継続性を失い、ついにはペルシアとの戦いの先頭に立っていた皇帝ヴァレリアヌスが敵国に捕縛されるという、前代未聞の不祥事がローマを襲う。帝国の衰亡はもはや誰の眼にも明らかだった。
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迷走していた3世紀のローマ帝国に、以外にもマクシミヌスという有能な皇帝が現れたのに、帝国内の政変で元の木阿弥。
再び帝国は奈落の底へ
50年100年後に今の日本を眺めたら、同じ光景が見えるんじゃないかな?
それまで日本国が在れば――だけど
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次々に謀殺され、目まぐるしく入れ替わる皇帝。
ゲルマン民族の来襲。
ササン朝ペルシアの勃興。
ローマ皇帝の捕囚。
西暦3世紀中盤、ローマ帝国の危機の深刻化を描く。
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★2008年12月5日 95冊目読了 『ローマ人の物語33 迷走する帝国(中)』塩野七生著 評価B
三世紀、いよいよ混迷を深めるローマ帝国は次々と軍人皇帝が短命に終わり、遂にはアラブ人系の皇帝まで現れる始末。一旦綻びが出て繕えないと、最強の帝国もここまで崩れてしまうのかと言うくらいの弱体化が進む。国、組織を維持するというのがここまでデリケート、難しい事と再認識。
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3 世紀前半のローマ。外敵からの侵入が繰り返され、皇帝は対処に奔走。悲しいことに皇帝の誕生&謀殺が繰り返される。内乱は混迷を深め、ひどいときには1年に5人もの皇帝が誕生する。
各皇帝が劣っていたかとそういうわけではない。過去の実績や人望を基に皇帝に推挙されたのだが、実際に従事すると周囲の抗えない力に屈していくのである。もし違う時代に生まれていたら、違った実績を遺せたかもしれない。人間の運の儚さを感じさせる歴史である。
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内乱期に入ったローマ帝国は、皇帝がめまぐるしく交替する。交替といってもほとんどの皇帝は謀殺されるのだが。
もはや読んでいて、誰がどんなことをしてどんな理由で殺されたのか、追い切れなくなってしまった。
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三世紀のローマ帝国は、数多くの皇帝たちが現れては消え、政策もそのたびに中断することになっていきます。継続は力なり、持てる力の有効な活用に利することに敏感だったローマ人が神経を払わないようになっていました。このことはローマ人がローマ人でなくなりつつある兆候の一つと著者は書いています。
ひどい時は、1年に5人の皇帝が現れては消えていく有り様でした。この頃東方ではササン朝ペルシャの創始者が死に、シャプール一世が登場します。彼は後にローマ皇帝を捕囚した人物として知れ渡ります。
帝国の安全保障は、「防衛線」を突破して人も物も奪うゲルマン民族に侵されますが、それは海上にも及ぶようになっていました。さらに疫病も流行り、人々は絶望感に駆られ、多神教のローマ人の足は神殿に向かうようになります。しかし、神々の祈りに参加しないキリスト教徒に怒りを爆発させていきます。国難を打開させるべくキリスト教への弾圧を強める皇帝も登場し始めます。
そして、先に述べたように紀元260年、皇帝ヴァレリアヌスがシャプール一世に捕囚されるという前代未聞の事態を迎えるのでした。坂道を転がり落ちるという表現がありますが、パクス・ロマーナを長らく実現してきたローマ社会では考えられない凋落ぶりとしか言いようがありません。