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軍人皇帝時代は、名の通り帝国の最前線にいる軍人が皇帝になる時代。その理由は、亡くなった皇帝の代理であったり、前線の兵士に担がれたり、と理由は様々だが、それぞれの治世の期間は非常に短い。
帝国の危機として、パルティア滅亡後に国境を接することとなったササン朝ペルシャにシャプール1世という王が出てきたこと。また、ゲルマン系の蛮族も力と知恵を増してきたこと。
これらの戦役で皇帝が死亡したり、部下となる兵士から失望されたり、といった理由で皇帝が入れ替わり、立ち替わり、する。
この間の最後は3世紀後半だが、当時の皇帝ヴァレリアヌスがペルシャに生きたまま捕らえられるという、ローマ史上初の出来事が起こる。
これを機にローマは崩壊の危機にさらされる。
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瓦解の筋がよく分からんのですよ、ちょっと厳しい言葉で言えばダラダラした説明では。何か焦点が定まってないんですよね、少なくとも読み手からすると。
歴史家のように事実を整然と並べたうえで切り込んでいくわけでもなく、かと言って小説家ののように想像を巡らせてストーリーを紡ぐわけでもなく。
ローマの没落なんて結構面白そうな話と思うんですけどね、何でも落ち目の時には新興勢力との叩き合いが在る訳で、ローマも変わらんはずなんですけど、この作家の説明では没落への物語的転回という眼差しが感じられんのです。
ここまで来たので終わりまで何とかついていきたいのですが、遂にはっきり言いますがそんなに面白くなんですよねぇ。何でこのお方に多くのファンが付くのか、よく分からない、当方のとっての七不思議のひとつです。
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この一冊だけでいったい何人の皇帝が現れ消えていったのだろう。
たった30年ばかりの間に。
一年に何度も皇帝が代わるどころか同時に数人の皇帝が存在する時代。
それは、兵士たちが皇帝を担ぎ上げては「こんなんじゃない」と首を挿げ替えることが定例化してきたのが大きい。
兵士たちにとっては、敵を目前にして戦わない皇帝などいらないのだ。
しかしせっかく皇帝になった身から言うと、棚から牡丹餅だからこそ、失いたくない帝位。
元老院の起源を取らなければならない。
初めて見た首都ローマでの華やかな生活。
兵たちからすれば「皇帝の義務を果たせよ!」となる。
もちろん皇帝の義務として前線に立つ者だっていたが、経験不足や弱気が兵に露呈すると、忙殺される。
一体理想の皇帝ってのが本当にいると思っとるのか?
そんな帝国の状況を見過ごすほど敵は甘くないのである。
こんな帝国だからこそ、西からも東からも蛮族は蜂起し、帝国内へ押し寄せてくる。
皇帝が一人で西と東の最前線に立つわけにいかない、内政だっておろそかにはできない。
となると、一度に複数の皇帝が必要となるわけだ。(皇帝って、第一人者のことじゃなかったっけ?第一人者が複数いていいの?)
一時的な危機が去ると今度は皇帝同士の内戦だ。
なんか、国が滅びていくときって、何をやっても裏目に出るのね。
読んでいてうんざりしてきました。
頑張れ、俺。
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皇帝の名を記すのも嫌になる程次から次に変わる軍人皇帝時代。これといった皇帝は出て来ないが、この巻は非常に興味深いものになった。
まず、ゲルマン人の侵入はアッチラのフン族に押し出されてくる前から始まっており、ゴート族だけでなくアラマン族など多数の民族で成り立っている。さらに黒海からエーゲ海へ海を使った侵入もあった。
そして市民権を得たキリスト教が国のルールに従わず義務も果たさないことから一般市民との軋轢を深めていったことにも考えさせられた。
今回は教科書だけでは真の歴史はわからないと知らされた。
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73年間で22人の皇帝が、しかもそのほとんどが謀殺により代替わりする三世紀の中編。
中でも1年に5人の皇帝が入れ替わり立ち代わる238年。しかもそれは外敵との戦いによるものではなく、元老院との対立による内乱の結果であった。
その終結直後、外敵による侵入がなかったから内乱する余裕があったとでも言うかのように、ペルシアとの戦端が開かれ、その最中でもまた、味方の近衛軍団長官の手により皇帝が謀殺される。
新皇帝となった元近衛軍団長官フィリップスは、即時メソポタミアを放棄してペルシアとその場しのぎの講和を結び、元老院には媚びへつらい、政策は何もしないことで気配を消し、殺されない皇帝となることを望んだ。
しかし、ただローマ領に侵入しては暴れまわるだけの北のゲルマン蛮族にそれは通用せず。結局は、目の前に迫る危機に対してすら動こうとしない皇帝にしびれを切らした兵士に殺される。
次の皇帝デキウスに許された行動は、北方蛮族対策に血道を上げることしかない。
だが、ゲリラ部隊が山となって襲ってくるゲルマンに対策できるような体制は既になく、ついには帝国領内への大規模侵入を許すこととなる。
平原での会戦や、包囲攻城戦では負けずとも、騎兵で田畑を荒らし尽くす大量の蛮族を止める手立てはなく、ゲリラを深追いした皇帝自身が戦死する。
このような渦中での引き継ぎが上手くいくはずもなく。
皇帝トレボニアヌスは蛮族との講和を結ぶが、総督エミリアヌスはそれを無視して復讐に走る。
当然蛮族は反発し、再度の侵攻を開始する。
しかしてその勢いは地中海まで至り、300年の平和を維持していた内海からのローマ侵略が始まる。
混迷の最中、ローマ軍は3人目をかつぎだし、これに勝利したヴァレリアヌスが皇帝となった。
この最悪のタイミングで、後回しにしていたペルシア問題が再燃する。
今のローマに両正面を解決できるはずもなく、ローマ建国以来初めて皇帝が敵に捕らえられる。
息子で共同皇帝のガリエヌスは、何もできずに父親を見捨てることしかできなかった。
帝国はいつまで帝国であるのか。何が残っていれば帝国と言えるのか。
ここまでの人と領土を失ってもまだ帝国とされるローマは、これから何を失って帝国でなくなるのか。
次巻に続く。
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読むのが怖くなってくるほど、ローマらしさがなくなっていく時代。それでも帝国として体裁を保ち、威光を放ってはいるのが救い。だけど、これからどうなっちゃうの、と読むのが悲しくなる。滅亡してしまうし、これ以上良くならないことは歴史として知っているけれど、知りたくないと思う。ハンニバルやカエサルの頃の早く次へ、と読むのが早くなるのとは全く違う。ただ、教科書だけでは全く見えてこないローマがある。その面白さはやはり、作者の力だよなぁと思う。