紙の本
結論は8章と終章
2016/12/31 11:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ルイージ - この投稿者のレビュー一覧を見る
結論が早く知りたかったら、とりあえず8章と終章だけ読めば良い。1〜7章は個々の事例の詳細分析。内容は本物の戦争の分析になっているので、ビジネス戦略の方面に応用することができるかと言われるとちょっと離れすぎで、似た部分が無いこともないのかもしれないが厳しいように思う。
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戦略とは相手との相互作用によるダイナミックな性質をもったものだというのが興味深い。ヘーゲルをあげて戦略とは矛盾していること(相手のが兵力が上で勝てない)をアウフヘーベンして突破口を見つけ出すといっているが少々強引な気がせんでもない。矛盾しているということとはニュアンスが違うのでは。個々の解釈によっては(我が軍のが機動性にたけているect)勝てると思えばその時点で矛盾ではないのであるし。
サダド大統領の長期的パースペクティブには感動した。 また大戦略には善が追求されていなければその戦略はうまくいかないというのには納得させられた。その善というのは自分だけの価値ではなく、社会、他人との対話の中から醸成されたものでなければならないというのも興味深い。 自分も大戦略を立てねば。地球市民として、社会にとっての善、さらには未来の社会にとっての善に適合した大戦略を立てねば。そのためには世の中(背後にある大きな企図)を察知するだけの想像力をまずは磨かねば。
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複数の著者が「逆転」にフォーカスして戦争についての考察を書いている。
中東戦争や共産党についての話は面白かった。
けどほかの本を読んでも書いてある事実なのかなぁ。
戦略の本質という、本題について適切に述べた本かについては疑問。
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ビジネス書ですが、いわゆる経営戦略の本ではないです。
実際の戦争において、転機・逆転をテーマに、戦争で勝利する際にみられる逆転の契機について分析されています。
一回読んで理解するというよりは、ときどき読み返して、本質をみる考え方を学ぶ書にしたい本です。
姉妹編というか、同じ著者で、「失敗の本質」もあります。
戦争における失敗の原因について分析しており、こちらも考えさせられるものがあります。
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戦略というフレーズが苦手すぎて、
逆に学んでみようと手に取った一冊ですが、
なかなか読み進められていないまま、今日に至っています。
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読もうと思ったまま単行本を読む機会を逸していたが、文庫化されていたので、読んでみました。これは、滅多にない本です。戦争での実例を通じて、本当の戦略を説いている。とにかく具体的で、経営学の学者が書いているのだが、軍事評論化の戦争論のようにも感じられるくらい、とにかく詳細で迫力がある。それを通じて、戦略とは結果的には優先順位の付け方であり、それだけで、軍、そして国の生死が決まる様子が肌感覚でわかる本。これは戦略に興味がある方だけではなく、一般の人にも読んでみてもらい良書です(なので、文庫化されたのでしょうね)。
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「失敗の本質」の続編に位置づけられる戦史集。前回は第二次世界大戦で何故日本軍が負けたのか、にフォーカスしていたが、今回は同時期および東西冷戦期から、典型的に逆転が現れた6つの戦史をピックアップし、何故日本軍は逆転戦略を採用できなかったのかを考察する本。
戦史ものとしては十分に面白い。毛沢東の反「包囲攻伐」戦やチャーチルのバトルオブブリテンなど、不利な状況からリーダーシップが発揮され、敵の強みと弱みを冷静に見切りながら見事な作戦を展開した事例を採り上げ、しかもそういう部分にフォーカスしてコンパクトに述べていく。熱のこもった筆致も前作を彷彿とさせるものがあった。
6つの戦史を解説した後に「戦略の本質」の普遍化を試みているが、この辺は議論のあるところだろう。10命題のうち前半の方、目的の明確化や言葉の重要性といった部分には異論も少なかろうが、「義」とか「賢慮」などの命題は戦史事例に依拠しておらず、筆者の哲学的考察に過ぎない。
また本書の戦略はビジネスにも応用できるかのように書かれているが、あくまで国家間戦争という特殊な世界での話。しかも20世紀の、国家間の戦闘行為が成立していた頃の事例だから、現代に置き換えれば情報化とか、非対称戦争などの要因を加味する必要がある。その辺は割り引きつつ、戦史として存分に楽しめば良いのではと思う。
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戦史に学ぶ戦略論。
それぞれちゃんと分析されてるし、逆転を成し遂げたリーダーシップについての解説も納得いくものだったけど、前作「失敗の本質」に比べるとインパクトが弱い気が。
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20年近く前に出版された「失敗の本質―日本軍の組織論的研究 」1991年中公文庫(戸部 良一ほか著)の続編ともいうべき書。
戦争は敵対する意志の不断の相互作用である。クラウゼヴィッツの言葉である。この本は、8つの戦いを分析しながら、改めて戦略の必要性を考えるもの。戦争のみならず、日本の閉塞状態を打破し、逆転を可能にすべき戦略本質を明らかにするヒントを与えてくれる。
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兵力で劣る軍が戦略の力でいかに勝利していくかを6つのケース分析を用いて導きだしている本。相手に対して不利なリソースをベースに戦う為に、相手の出方に対して上手く戦略を練り上げ勝利した、という書き方が多い。よって戦略論の分野でいうゲーム理論的な視点が強く含まれていると感じる。
リーダーの資質が戦略の本質を語る上で非常に重要であるとされており、本質を見抜く力、コンテクストを読む力を持ったリーダーが逆転をもたらすとしている。特に、勝利したリーダーはみな戦場に出向き、現状を把握しながら戦況の本質を見抜いていたという事実は、企業においても経営者がいかに現場を把握しているかが成功のカギであることを示唆する内容であると考えられる。
ケース分析ということで、n数の問題が常に付きまとう。一般性の問題については、前作「失敗の本質」と合せて読むことである程度解決できるかもしれない。
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日本の第二次世界大戦の失敗の本質とクラセビッツの本質を基調として体系化している。
この著書で毛沢東の戦い方の合理性の凄さと机上の理論のギャップを知り
スターリングラードの戦いの情報と戦略の緻密性に対してヒトラーの執拗なこだわりが逆転の戦略につながったのだろうとおもった
大国の考え方はあかんと感じました。
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経営戦略本ではなく、近代の戦争における逆転劇より戦略の本質にせまる!ってもの。
取り上げられた戦争は、戦争のむごさを伝えるといったものではなく、戦争に至った経緯、指揮官の思考や葛藤、リーダーシップ、決断といったことが作戦ベースで丁寧に描写され、圧巻。
それぞれの戦争描写の後、戦略としてのアナリシスが加えられるという流れ。
久々に一気に読み進められる本に出合った。この「戦略の本質」の前身である「失敗の本質」も読んでみたい!
戦争戦略をベースとしているが、経営戦略としても昇華できるであろう。
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第2次大戦の戦史を戦略という視点から分析したものです
読む順番を間違えたのですが、「失敗の本質」の続編のようなもの(だと認識しています)
戦争における戦略判断についての分析ですが、
現代の企業、事業戦略にも応用できる部分が多々含まれていて、お勧めです
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逆転を可能にした戦略とは何か
戦略現象は、技術、戦術、作戦戦略、軍事戦略、大戦略の各レベルから構成。
各レベルはそれぞれ独自の課題を持ちながら、他のレベルからも絶えず影響を受け、影響を及ぼすという意味で重層的。水平的展開だけではなく、垂直的にも展開。
大方の軍事的勝利を政治的目的達成に昇華させることができなかった。軍事的勝利を収めて政治的目的を達成したかの錯覚を得やすい。
戦略の10の命題
1 弁証法
2 戦略は真の目的の明確化
3 時間、空間、パワーの場の創造
コンテクストに応じて場を創ること。一定の歴史的時間と地理的空間の制約の中でパワーを有効かつ効率的に発揮するダイナミックな関係性として具現化。
4 人。人に対する感性。冷酷さも必要。
5 信頼
大戦略の創造と実行におけるリーダー間の信頼。
6言葉~レトリック
7 本質洞察
目に見える戦闘の背後にある論理、戦果の背後にある構造やメカニズムなど目に見えない本質の明確化のプロセスがリーダーシップの方法論に関連。
8 社会的に創造される
バランスを失くした自信過剰は失敗を導く。
9 義~ジャスティス
10 賢慮
政治的判断力
サダトの限定戦略
イスラエルとの平和的関係構築は中東情勢のコペルニクス的転換。エジプトの破綻寸前の国家財政の原因はイスラエル臨戦体制にあると判断し、崩壊を防ぐには、イスラエルとの戦争状態に終止符が必要と判断。
イスラエルに限定的な作戦を開始し、ソ連寄りの国策を放棄し、アメリカと親交を結ぶ用意があることを伝え、緊張緩和の意向をもったアメリカの調停に期待する戦略
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旦那さんの本棚より。
正しく「戦略」についての本。
「戦争に勝つための総合的・長期的な計略。」(by大辞泉)
さすが長年の研究の成果、20年の研究から導き出された言葉は重い。
最初からザクザク刺さる言葉がいっぱいです。
それでもケーススタディとか苦手だしな…そこらへんはさらっと。
とか思ってたのに、しっかり読みみっちりノートをとってしまいました。
4ページにわたり。過去最長。
ううむ。
事実とはここまで人を引きつけるのか。
なにより強く印象に残ったのは。
「逆転を成し遂げるすぐれた戦略は、理想主義的リアリズムをそなえたリーダーによって構築され実践されるが、そのようなリーダーは彼が生きる社会から生まれ、社会によって育てられる。」
…なるほど。
昨今日本のリーダーシップの欠如をどこか他人事のように嘆いているけれど、その原因は自らの属する社会、ひいては社会の一員である私自身にある、ということか。
ため息。
そしてこういう本を読むといつも思う。
何故、学ばないのか。学べないのか。
こんなにもたくさん学ぶための材料があって、簡単に手に入るのに。
何故、繰り返すんだろう…?