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読み始め、電車の女性専用車両にて。
性描写がなかなかのモンやったんでちょっとドキドキしたッス(小心者)。
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気ままな大学生と、強気な年上の女。かつての無邪気な恋人たちは、気づけばそれぞれに、取り返しのつかない喪失の中にいた。すべてを失い、行き場をなくした二人が見つけた、ふるえるような愛。生きること、愛することの、激しい痛み。そして官能的なまでの喜び―。絶望の果てに響く、愛しい愚か者たちの声を鮮烈に描き出す、待望の恋愛長篇。
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大学生ヒデは額子と別れ、社会人となった後、あれよあれよという間にアル中に。
このお方は本当に「ばかもの」だなぁーと思ってしまうようなことを、
これでもか!描いていく。
タイトルとなった「ばかもの」という言葉は二度登場する。
ここでの「ばかもの」という言葉は相手をばかにしているのではなく、
どうしようもない相手に対する愛情のこもった言葉だと感じました。
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絲山さんのこの秋の新刊は、タイトルどおり、「ばかもの」を描いた長編です。しかしこの「ばかもの」という言葉には、とてつもない愛おしさに満ち溢れていることが、読み終わるとわかります。
物語は、19歳の大学生ヒデと27歳の額子のセックスシーンから始まります。
ヒデこと大須秀成は、自分に自信が持てないヘタレ。気の強いSな恋人額子にイジめられっぱなしだけど、そんな彼女が好きで離れられない。ところがある日、額子は、ヒデを公園の木に下半身丸出しで後ろ手に縛り付けたまま姿を消してしまう。
ヒデは大学卒業後、家電量販店に就職し、大学の同級生加藤を通じて知り合った翔子と付き合うようになるが、この頃から酒に溺れるようになっていく。これではいけない、酒をやめようと何度も決心するが、その苦痛に耐えられず、<できねえ><どーせだめだ><今日はもうやめにしよう><でも明日>の繰り返し。
そんなところにふらりと現れた、かつて額子が飼っていたホシノという犬。次の瞬間には額子の母が、自分の経営するおでん屋から姿を現し、懐かしい再会をする。<おばやん>といろいろ話をしているうち、自分と素直に向き合うようになるヒデ。
苦しいです。とにかく苦しい。抜け出したい、抜け出そうと思っても抜け出せない自分の弱さ。はじめは軽く読み始めるんですが、読んでいくにつれて笑えなくなってくる。ヒデの苦痛がこっちにも伝わってきて、息苦しくて息苦しくて、途中で本を伏せて深呼吸したくなります。
でも、これはすごい作品です。わたしは、これは絲山さんのこれまでの作品の中で最高傑作かもしれない、と思っています。読んでいる時、「わたしはもしかしたら今すごい作品を読んでいるのかも」とちょっと空恐ろしい気持ちになりました。何度サブイボが出たことか。
この小説では、大学の友人ネユキこと山根ゆきとの交流も忘れてはいけません。ヒデが彼女の部屋に行って泊まったりもする仲ですが、決して男女の関係ではない。いつも自分の道をゆくネユキとはいい友達だった。彼女はヒデの生活の要所要所で登場し、そのつどヒデに大なり小なり衝撃を与えます。
また最も大事なのが<想像上の人物>。これは文字どおりヒデの想像の産物、なのでしょうが、ヒデには見えるし、肌で存在を感じることもできる。その正体は、わかりません。けれども、ヒデには、というよりこの小説には欠かせない、ものすごく大きな存在なのです。このあたり、『海の仙人』を彷彿とさせますが、わたしには本書の方が現実的に迫ってくるものがありました。
そして額子との再会。これがもう、最大のサブイボポイント。胸がぐぐっと締め付けられました。「ばかもの」という言葉がこんなに切なく愛おしいものだったなんて。
軽く読めるのにこの深さ。200ページ足らずでこの濃さ。つくづくすごい作品です。
この小説には、痛いほどに、人間の弱さが描かれています。
でもちゃんと救いがある。これこそが、この本がサブイボ小説であるゆえんであります。
つまりは人間って、みんな愛すべき「ばかもの」たちなのです。
読了日:2008年10月9��(金)
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ある男がアル中へと堕ちていく話。
惚れた奔放な女性にショックな振られ方をし、
気付いたときには引き返せないほどのアル中に。
家族や恋人や友達を傷付け、ボロボロになっていく男の姿。
希望が続く終わり方なんだけど、
アル中のイメージが強く残ってしまって、
ストーリーや登場人物に魅力を感じなかった。
期待して読んだ分、イマイチだったところもあるかも。
文章量が少ないので、絵本のように軽く読める1冊。
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こういう痛い話しは、90年代に読みすぎて食傷気味なんですが、
しかしすごいと思った。
僕も依存っていう体験があるので
冷静に読むことができず、
だから読み終えてその圧倒的な存在感に
ちょっと言葉を失ったですよ。
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「失い続ける。なにもかも失い続ける。」
アルコール依存症になり、仕事や恋人、友達を失った主人公。
主人公、そして学生時代の恋人の変わりようが痛々しい…。
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なーん自分自身に深い衝撃を受けた本です、、、
なんか辛くて、、切なくて、、哀しくて、、やりきれなくて、、、
想像上の人物ってのがよくわからなかったりするんやけど。
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絲山秋子さんの作品は「沖で待つ」「ラジ&ピース」を読みました。
「沖で待つ」は芥川賞作品です。
これも短く読みやすかったです。
赤城山、高崎、前橋と群馬県の地名が出てきます。
「ラジ&ピース」も舞台は群馬県でした。
ヒデという20歳過ぎの男と額子という27歳の女の二人が中心です。
「ガクコさんてどんな字書くの」と聞かれて額子は「額田王の額」と答えますが、ヒデは額田王を知りません。
19歳からの2年間ヒデはあまり大学に通わずに額子に狂っていました。
そして結婚が決まった額子に捨てられてしまいます。
その後、ヒデにはネユキという新しい恋人ができますが、ネユキは宗教にのめり込んでしまい、ヒデと言葉が通じなくなってしまいます。
ネユキはその後、その宗教団体の中の殺人事件で逮捕されてしまいます。
このことでヒデはショックを受けます。
大学を1年遅れて卒業したヒデは就職します。
ヒデは28歳になったころ、私立中学の教師をしている翔子という恋人ができます。
ヒデは酒浸りになり、翔子の両親はヒデと翔子の結婚に反対します。
ヒデと同棲していた翔子は出ていきます。
ヒデは飲酒運転で事故を起こし、免許を取り上げられてしまいます。
このあとはヒデの更生物語です。
依存症から抜けるために断酒会に参加したりもします。
結婚していた額子が夫の運転する車の事故で片腕を失い、その後は一人で暮らしているということをヒデは耳にします。
額子のいる尾瀬付近の山里をヒデは訪ねます。
まだ35歳くらいなのに白髪になった額子を見てびっくりします。
額子は通信制の大学で勉強したいといいます。
蜻蛉日記や更級日記など1000年も残るような文学を読みたいと言います。
「ばかもの」という題名ですが、このせりふが最初と最後で巧みに使われています。
読後感の良い作品でした。
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あらら、どこまで堕ちるの?ってぐらいの潔い堕落っぷりが素晴らしい。
思わず「ばかもの」って言いたくなる男に魅力を感じてしまう、という女は案外多いのではないだろうか。今日もどこかで、愛情ある罵倒語が使われているのかと思うと、なんとなくうれしいような気持ちになります。ばかもの。あー、言いたい!
「想像上の人物」が何度か出てくる割にはウヤムヤになっていたのがちょっと気になったな。なんだったのだろうね。
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低俗なのか高尚なのか、具体的なんだか抽象的なんだか、とりあえず型にはまってない作品だった。「想像上の人物」って一体なんなんだ?
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底の方でもだえながら生きる男の姿が強烈でとにかく痛々しい。決してなにか大きな失敗で全てを失ったわけではないし、絶望的な状況に追い込まれたわけでもありません。せいぜいアル中になったくらいで、だめっぷりとしては中途半端な小粒です。最底辺にまで落ち込むこともできないし、かといって這い上がることもできない。このままじゃだめだと思いつつも、どこかで諦念もある。
主人公ほどではないにしても、中途半端な小粒ぷりって、自分自身にもあるものだと思います。どっちつかづのまま日々が過ぎていって、ときどき立ち止まって気づくけど、いつのまにかまた同じ状況に戻るような。そうした反復へ抗いたい欲求とそうできない諦めとを抱えて生きていくような。そんな自分自身の状況とリンクするような気がするからこそ、痛々しく感じる。主人公と年齢的に近いと言うのもあるかもしれない。
終盤、主人公はひとつの救いのようなものを感じると共に、別のひとつの衝撃もうけます。誰かを感じられる感覚と共に、何も感じられない感覚も受けます。そうしてやはり中途半端な状態のまま小説の幕は閉じますが、果たしてその先彼がどう感じてどう生きていくだろうと考えさせられるものがあります。たぶんきっと、やっぱりもだえながらもそれなりに生きていくんんだろうと思うのですが、そんな、不確実な感覚それ自体も、やはり生きることそのものなんだなあと考えたり。
それにしても、最近の絲山秋子の作品はどんどん先鋭化していっている気がします。人と人との微妙な距離や関係を描くというところは変わっていないものの、「沖で待つ」のようなのんびりした感じはなくなり、はりつめた緊張感と痛々しさが強まっているように思う。かつてと今とでどっちがいいかは難しいところのですが…
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うーーーん。
さらりと読んでしまった。
最初は内容がヘビーに感じ、どんどん苦しくなって、、、、、
でも、何だろなーこの悲しい感じ。
自分の気持ちと反対なことが起こってしまう世の中。
自分が地球に逆らってる気がして消えてしまいたくなってしまう。
些細な何かを得ることによって、毎日がんばれたりする。
不思議な本でした。
ルリーユールゆみちゃんオススメの本でした。
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途中で終わらせたくなくて一気に読みました。
引きずりたくなかったのかも。
あれ?という間に堕落していく主人公と、
いろんな方向に進んでいく周りの人たちが、
リアルでこわい。
一歩踏み間違えれば「ばかもの」になってしまう危うさ。
誰にでも起きうる。
主人公がただ一人の「ばかもの」ではなかったことが
彼に再生への光を与えたんじゃないかなと思う。
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恋愛ものは苦手だが、なんとか読めた。
アルコール依存症の話。
本人に自覚がなくても、まわりの人が認めていたら素直に病院に行くべきと再認識した。
最後には額子はずいぶんまるくなったなーと思った。