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気ままな大学生と、強気な年上の女。かつての無邪気な恋人たちは、気づけばそれぞれに、取り返しのつかない喪失の中にいた。すべてを失い、行き場をなくした二人が見つけた、ふるえるような愛。生きること、愛することの、激しい痛み。そして官能的なまでの喜び―。絶望の果てに響く、愛しい愚か者たちの声を鮮烈に描き出す、待望の恋愛長篇。
自分にとっての芯とは?を考えさせられる作品。仕事の人もいれば家族という人もいる。昔なのか、今なのか?これからなのか?人それぞれ。気付いたときにその中にいればHappyだし、その中でなくても何かの形で取り返せれば...Happyです。
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堕落だよ。ひと言で蹴飛ばしてしまえば。関係ない世界の人たち。
ならばどうしてこんなに心乱されるのか。
だって関係ないことない。ヒデは私。
這い上がりたいのにどんどんぬかるみに足を浸してく。
陸にあがればいいことなんて誰だって知ってる。
でもゆらつく足をすくい上げて、一緒に泥だらけになって「ばーか」って笑ってくれるのは額子だけだ。
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小説「ばかもの」を読了。
絲山秋子の小説を読むのはこれが2冊目。
最初に読んだのは芥川賞を受賞した「沖で待つ」。
それを読んだときは、あまり印象に残らなかったが、「ばかもの」は面白くて、一気に読んでしまった。
とくに主人公がアル中になり、そこから抜け出すまでが、圧倒的な面白さ。
なるほどアル中の人間の心理とはこういったものなのか、と納得させられる描写が延々と続き、とてもスリリング。
そしてラストの着地の仕方にも納得。
ただ悲惨なだけの話で終わらないのが、うまさというものだろう。
最後に呟く「ばかもの」にこめられた万感の思いに、思わず胸が熱くなってしまった。
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好きな作家さん。
いやしかし、これほどまでの「ばかもの」とは。
しょうもなくダメダメだけど、けっこういとおしいですよ。
うまくいかなくても滑稽でも、その場から人は生きる。
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軽い文体なのにアルコール依存症になっていく切迫感は怖さを感じた。出だしの性的描写はさすがに引いたし、必要か?と疑問。額子との関係もすっきり感はなかったし、ネユキの事も気になる。それでも最後はやっと幸せの香りが少ししたし、読んで良かったとは思う。「痛快とはこういうことか」という所が良かった。
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すんなり読んだ。
あっという間に、落ちていった。
最初は、ほんわかバカ恋愛ものかと思ったら、
あれよあれよと言う間に落ちていったので、驚いた。
私はお酒飲めないので、まったくわからないけど、
飲んじゃった時、あっっ!!と言ってしまった。
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2008年のもっとも印象に残ったというか好きな小説。
何気ないような語り口で、かなり深刻なことや恐ろしいことが
書けてしまう文章力と語り口。
どんな状況になっても「寄り添う」ことで救われるかも知れないという、過酷な現実の中での救い、温もり。
映画化されるけど、若干、不安あり。
絲山さんのデビュー作「イッツ・オンリー・トーク」は寺島しのぶさんと豊川悦司さんで映画化されましたが、原作にはあまり忠実ではありませんでした。
悪い映画ではないけれど、ちょっと勝手に話を変え過ぎな印象があったので、「ばかもの」は是非、原作に忠実に、でも魅力ある映画に仕上がって欲しいです。
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転がり落ちるように行き場を失ってしまって、どうなっていくのかと思うのに、読んでいる間不安な気持ちにならなかった。「ばかもの」ということばが希望になって残る。
無理のないかんじがとても好きです。
なんとかここで、なんとかこれで。それなりに。
救われたような気持ちになります。
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絲山さんは、出版社から何かキャッチーな文句をと言われて
じゃあ恋愛小説で、ってことで恋愛小説となったとのこと。
恋愛小説とすれば、紛れもない恋愛小説。
ただ、恋愛をキーとしているだけで、その本質はこれまでと変わらない。
感想なんか言えねぇ~。ただもう、いい!
全てが飽和状態で贋物が溢れかえる今の世の中、
こういった本物に出会える喜びは、何にも変えがたい。
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重いことが淡々と書かれているけど、読後感は清々しい。
感情移入とか自分のことと重ねたりとかしてしまって、泣いた。
ほんと、ばかものなんです。
不器用だけど、こんな風に深いところでつながっていられるのっていいなぁと思う。
映画も良かった!
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絲山さんの描く人と人との距離感がとてもいい。 嫌ったり憎んだりして別れたのではなく、どうしようもない理由で夫と別れた額子に、ヒデは優しさとも、労りとも、決然としたともいえる感情で接する。緩く慎重で、でも自然な愛情が気持ちいい。
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久しぶりの絲山さん。この本は一番かもしれない。ヒデと額子の再会、二人の気持ちのほぐれかた、淡々と媚びずにまっすぐ書いているところなど。
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強気な女と、きままな大学生の関係はある日突然失われる。学生は社会人になるも、やがて社会から転がり落ちてゆく。
再会した2人の愛とは。
うーん『沖で待つ』の方が好き。
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初めて読んだ糸山秋子だったけど
この本ではまりました。
私は、心理描写がたくさん書いてある作品が好きなんだけど
この作家は「なるほどね」って深く納得できるほど
ある状態にある人の心理状態を描くのがうまい。
うん、この人、ホント、うまいよ!!
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これはヒデの転落の描写につきる とんでもないリアリティでしかもちょっと恍惚としてしまうほどの転落ぶり。糸山さんは落ちていくものと、底辺での再生を描かせたら右に出るものはいない。