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ばかもの みんなのレビュー

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みんなのレビュー106件

みんなの評価3.7

評価内訳

106 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

不器用な男女の2度の出会い、「ばかもの」は恋愛小説の傑作である!

2010/03/15 20:22

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る

 絲山秋子という小説家の素晴らしいところ、それは文体をそれぞれの
内容に合わせてガラリと変えてくること。リアルなストーリーの中にも
どこか不思議さが漂っていること。いずれにしても彼女が時代を代表す
る小説家の一人であることは間違いない。

 さて、「ばかもの」である。主人公の2人、ヒデと額子は2度出会う。
若い頃の最初の出会いはただただ互いが欲しかっただけ。そして10年以
上たった2度目の出会い、それもやはり互いが欲しかっただけ。でも、
その「欲しがりよう」がまるで違うのだ。絶望しそこから何とかはいあ
がり、ふたたび求め合った2人。男はアル中になり、女は片腕を失い…。
それでも2人は生きたいと思い、愛する人を必要とし、不器用ながらも
互いを求めた。その結果としての再会。

 ラストの川のシーンが何ともいい。笑い声とかすかな希望、命の躍動、
本当に本当に少しだけど明日への希望が生まれた男と女。その明るさが
最後まで読んできた読者を救う。ヒデが時々口にする「想像上の人物」
というのがすごくおもしろい。その不思議さも物語に奥行きを生み出し
ている。

ブログ「声が聞こえたら、きっと探しに行くから」より

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紙の本

ぜんぶがだめでも歩いている

2009/06/09 00:36

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トマト館 - この投稿者のレビュー一覧を見る

いろんなことがうまくいかなくて、
それでもがんばろうよ、歩いてゆこうよ、
という方向性のものではなく、
そんなこと言わなくても既に、
どんなにかっこ悪くとも歩いてるじゃねえかよ、
という方向の話だとおもう。

のっけから、「おいおい!」
というばかものっぷりの話が展開するんですが、
でもだんだん、だれもがどこかばかものだからなのか、
この登場人物を認めたくなってくる。

宗教にはまっていく友だちの話が、
いいスパイスだったと思います。

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紙の本

ダメ男が主人公、っていうのが厭なんです。ヘタレもだめ、アル中、嘘つき、暴力もいや。要するに、昔の男の甲斐性、なんて許されていたことは全部厭。だから、ヒデにまったく感情移入できない。そういう意味で、少しも面白くないお話ではあります。でも、いるんです、こういうお話を良しとする人が・・・

2009/02/17 22:05

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

初出は『新潮』の2008年1月号~8月号に連載されたもので、絲山の言葉によれば30枚を八回で、240枚の作品だそうです。装画は福嶋舞(画集『Nothing』より)、装幀は新潮社装幀室。私にはカバーの前の絵より、カバー後ろの、青年が犬らしきものと戯れる様子のほうに凄さを感じます。

転落の物語、といってもいい悲惨な恋愛談なので、内容について詳述はしません。恋愛とアルコール依存症、年上の女と年下の男、それだけを頭にいれておけば充分ではないか、そう思います。そこで登場人物紹介で案内に代えます。長い時間を扱うので、主な登場人物については、物語に最初に出てきた時の年齢を書いておきます。

ヒデ:こと大須。主人公、と言いたくないようなヘタレです。両親と、彼のことをヒデブーと呼ぶ姉がいます。19歳の時、バイト先で額子になんぱされ、付き合い始めます。

額子:ホシノという犬と暮らす27歳の独身女性です。

ネユキ:山根ゆき、ヒデの大学時代の友人です。美人、ではありませんが成績は優秀で、自立心が旺盛です。4年生のとき大学を中退して上京、デイトレーダーとります。

加藤:ヒデの大学時代の友人で、大学卒業後は地元のホテルに就職。地道な、というか堅実な人生を送ります。そして道を踏み外していく友人のことを心から心配します。

翔子:加藤の婚約者の友だちで、中学校の教師をしていた女性。ヒデと付き合うようになりますが、その時期は既にヒデは転落の道を歩み始めます。

新潮社のHPには

絶望の果てに響く、短く不器用な、愛の言葉。待望の恋愛長篇。

気ままな大学生と、強気な年上の女。かつての無邪気な恋人たちは、いつしか別れ、気づけばそれぞれに、取り返しのつかない喪失の中にいた。行き場をなくし、変わり果てた姿で再会した二人の、むき出しの愛。生きること、愛することの、激しい痛み。そして、官能的なまでの喜び――。待望の恋愛長篇。

という案内の他に、『ばかもの』刊行記念対談 佐々木 敦×絲山秋子/短く不器用な、愛の言葉 が出ていますので、読んでみてください。私は、こういうヘタレが出てくる小説が大嫌いなので、佐々木が涙した、ということが全く分からず、正直、この対談はヨイショが過ぎるのではないか、と思って読みました。

といって、この話が面白くないかといえば、そういうことはありません。ドーナル、ドーナルで一気に読み終える、そういう本なのですが、では最後でホッとするかっていうと、結局、こういう日本映画にあるパターン?なんて思ってしまうんです。恋愛の部分で言えば、主人公は結局好き勝手やって、最後まで他人のことはどーでも良かったわけね、って思う。

だから、恋愛小説として読むより、他人の不幸を味わうお話なんだろうな、って思うんです。で、学んだのはアルコール依存症になったら人間、お終いだということ。それと地方の閉塞感です。地方の活性化が繰りかえし叫ばれますが、一向にそれが達成かされる気配がありません。

企業誘致だ、税金の配分だ、って言いますけど勘違いしているんです。要は人口なんです。良くも悪くも東京のようになるには人口100万は最低限の数値で、やはり500万以上は必要なんです。それだけの人口を抱えて初めて職業の自由な選択というものが可能になる。絶え間ない人口の流入が、移動が起きる。それが活性化のもとなんです。

ところが今の地方活性化は、人口はあくまでUターン期待で極端なことを言えば人口10万都市レベルでやりたいと思っている。基本は地元の人間が動かずに、だから職業も今より増やさずにワークシエアリングして、金が足りなければ国税で補填、そんなことしか考えていない。いつまでたっても見知った顔しかいない町での活性化、ということがありえないことが理解できていないんです。

で、この話を読んでいて思うんです。これじゃあ地方は負け犬が最後の受け皿以外のなにものでもない、って。無論、それが悪いわけじゃあない。むしろ、そういう場所は必要なんですが、そこは逆に活性化している必要はないと思うんです。活性化していないからこそ、都会のリズムが合わなかった人でも生きていける。

周りは知っている人間ばかりだけれど、収入も大してないけれど、追いかけられるようにして走っていなくても生きていける。それが人口変動の少ない地方のありかただろうって。役人が金を使いたい、だから活性化、なんて短絡じゃだめなんです。むしろ都市と地方との棲み分けこそが必要なんです。そして小さな地方にはそれに見合った小さな行政庁と歳入歳出。

変な話になりましたが、この本を読んでいて思うのは、恋愛の辛さよりは地方の閉鎖性です。それがいやなら都会に出て行かなければならない。でも、そこが合わなかったら、地方に戻らなければならない。そういう現代人が置かれる環境の中で恋愛はそうなるのか、そういうお話だろう、って都会の水にどっぷり漬かった私は思うんです。

そういう意味で、『ばかもの』刊行記念対談は、絲山の恋愛観をではなく、小説作法を知るものとして読めば、得るものが多い、と言えます。この対談を読んでから本編にとりかかる、案外、それが正しい『ばかもの』の読み方じゃないか、なんて思います、わたし。

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紙の本

あんたらほんまアホやなー、そやけどよう頑張ってるやん。

2008/12/29 10:25

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:仙道秀雄 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 著者の作品発表の動機は、人の無意識に働きかけることだそうだが、この小説はその目的が達成できているように思う。

なんとなく好き、なんとなく嫌いで行動する。理屈は分かっていてもどーしてもやる気がでないのでやらない。建前的な言語は胡散臭くてどうしても受け入れられない、そんな人が大勢いる。

それは自分に素直であるといえる。しかし、自分といっても自立した自分とか、いっぱい語れる自分とかではない。反省したり、思考したり、「現実」を直視したりする自分でもない。

揺れ動き、焦点の定まらない浮遊するものである。そんなぱっとしない自分の軌跡をたどってみても、結局俺って、ちゃらんぽらんで、ねばり強さがなく、行き当たりばったりで、怠け者で、甲斐なしで、スケベで、酒飲みで、親を悲しませ、ぐうたらなだけだとしか思えない。

自分の人生なんだから、自分のしたいことをみつけてピシッと決めてみたいのだが、結局できないまま3―40年経った。会社というものになじめず、正社員からはじきだされ、フリーターでぶらぶらしている。そういう人たちが大勢いる。貧乏で、社会的には脱落者、落伍者なのかもしれない。下手をすると犯罪者になるかもしれない。

そんな人でも救われますよ、という物語だと思う。本書のタイトル「ばかもの」、というと罵られているようだが、読後感は「あんたらほんまアホやなー、そやけどよう頑張ってるやん」に近い。

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紙の本

ダメダメな男と奔放な女

2020/07/01 20:45

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

アルコールに溺れていく青年と、自由気ままに生きる女性との触れ合いが痛々しいです。金精峠での再会から、一歩ずつ歩んでいくようなラストに希望を感じました。

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紙の本

何故この女性作家は、アル中の若い男の話を書こうと思ったのか?

2018/06/05 00:06

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る

何故この女性作家は、アル中の若い男の話を書こうと思ったのか?自分がアル中だったか付き合ってた男にアル中の人がいたのか。モデルがあるのかどうかなんてどうでもいい話だけど、アル中の男の描写が真に迫っている。長編というより170ページくらいの中編だがとても良かった。

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紙の本

エロ→アル中→...最後に、愛。

2012/06/07 09:19

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:のちもち - この投稿者のレビュー一覧を見る

のっけからエロ場面。主人公ヒデは、年上の女にハマり、やっと見つけた就職も、今度は酒に狂う。その場限りの快楽にうつつを抜かす、まさに「ばかもの」がそこにいる。場面場面では「反省」する意思を持ちつつも、結局「弱さ」をさらけ出す結果になる。そこにあるのは、「逃げ」であり「甘え」であるのだ。そんな放蕩ものであるが、数々の「事件」を経て、ようやく境地にたどりついて...
「ばかもの」の要素は、実は誰にでもあるのかもしれない。自分にだってそんなものが体内にあることを感じる場面もあるのだ。こうしなければいけない、ということを思いつつも、「明日から」と逃げてしまう。「今回が最後」と甘えてしまう。この繰り返しは人生の貴重な時間を奪っていく。むしろ、「ばかもの」を貫いた方が楽なんじゃないか、って思うくらいに、自分の行動を厭世的に反省することもある。が、また同じことが...
主人公ヒデも、落ちるところまで落ちる。落ちていく場面の印象が強いせいか、「社会復帰」する過程があまり記憶に残らない。が、とにかくヒデは「回復」するのだ。アルコール依存症も、自らの意思でアルコールを断つ、といった行動をする。一度ハマった女とも、違った再会を果たす。
救いようのない奴が、もがいてもがきぬいて再生する、といったサクセスストーリーではない。イメージで残るのはタイトルにある「ばかもの」の姿が強い。人間の弱さ、未熟さ、社会的に存在価値がないように思える自己嫌悪、そこから抜け出すために必要なのは何であろうか。
時間の経過なのか、数々の経験なのか。交わることしかなかった二人が、空白期間を経て、その空白期間にそれぞれが経験したものを以て、再開した後は、お互いの存在を認め合うような関係になっていく。何が自分に必要なもので、何が相手に必要なものなのか、それを追い求めていくような関係を作っていく。
その日のその場面のことしかアタマにない頃、やがて先のことや相手のことを考えるようになる時期、それは年齢を重ねることによってなのか、イタイ目にあった経験が自分に何かを気付かせてくれるのか。
最初っから「ばかもの」の話しで、どこまで沈むのか、正直読んでいて楽しくなかったけれど、後半はその分を補ってあまりある展開で(そのギャップがさらに増幅させるのかもしれないが)、ユニークな妙なストーリー、読後感は悪くない。

【ことば】社会というのは下車前途無効の切符なのか。俺は途中下車してしまったのか。もう二度と特急には乗れないだろう。鈍行なら乗せてくれるだろうか。俺はまだ廃駅にはなっていない、俺の前にきっと電車は止まる。

ふとこのような気持ちになる時もくるだろう。「前を向いて」という言葉がむなしくアタマを通り過ぎていく瞬間が。このときに「耐える」力を持つことが、「次」につながる。「前」でなくて「次」でもいいのだ。特急に乗る必要はない。でも電車に乗ることは絶対に必要だ。

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2008/10/03 22:15

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2008/10/12 20:28

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2008/10/13 21:28

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2008/10/19 15:10

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2008/10/24 20:43

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2008/11/01 23:23

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2008/11/04 23:02

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2008/11/11 09:31

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