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生物の基本仕様としての女性を無理やり作り変えたものが男であり、
男は女のできそこないだといってよい。
だから男は、寿命が短く、病気にかかりやすく、精神的にも弱い。
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Y染色体をもとに人類の移動の歴史を読み解く話が面白かった。男性の方が生物の仕組みからして弱い、ということも納得。専門知識を分かりやすく伝えるだけれはなく、文学的表現も得意?
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ちょっと賢くなった気になる。科学系の新書では、福岡伸一、圧倒的におもしろい。私たちは知っているものしか見ることができない。
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チンギスハーン(モンゴル帝国)に対するあこがれを結晶化させてくれた本。これがフロイト的性的還元論として読まれないことを祈る。
知識欲求や領土拡張欲求は、欲求ではなく義務だったのかも知れない。嗚呼。
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福岡伸一は学者であると同時にストーリーテラーとしての卓越した比喩感覚と表現技法を持つ方だとこの本を読んで改めて感じ入りました。面白く引き込まれ、学術的専門性を分かりやすく噛み砕いた文章で理解させ、男の悲哀を生物学的見地から笑いを含めて解説してくれる。このスタンスこそが福岡氏の書籍の魅力です。
今回のテーマは、女性として発生する生物がなぜオスを必要とするにいたったか。性別決定遺伝子の発見をめぐる学術研究のレースを交えながら、男を生物学的に解き明かしていくものです。「できそこない」という表現は最初のうちは過激な表現のようにも感じました。ところがどうでしょう。事実、男はできそこないであることがわかると、日本の生活様式や伝統にすりこまれた家父長制、まだまだ男性中心社会である企業・国会などが、滑稽に思えてくるのです。
中世以降、科学者が母体内での人の成育に強い関心を抱きはじめ、その希望が顕微鏡の発明によって具体的な絵でもって把握されるプロセスが具体的にしるされた箇所も、人間の知的探究心の根っこにふれているようで一気に読めてしまう。精子の先に小さな赤ん坊がいると考えた学者もいたこと。XとYの染色体があることの発見と存在の意味を仮説で論じることが性別決定に重要であったことの発見。1月18日(日)のNHKスペシャル『女と男』ではY染色体の消滅が語られていました。男性の消滅を精子バンクや顕微授精などの技術を使った方法での絶命回避を語っていましたが、心もとない思いが侘しく残りました。
オスを必要としなくても子孫を残している生物の例として、本書ではアリマキという虫が取り上げられています。アリマキはメスだけで子孫を残していけますが、環境の厳しい冬を迎える前にオスを一時的に生み出し、それとの交配をもって環境の変化に耐えうる多様な子孫を残すことで次の春を迎えようとします。生物がオスとメスの2つの性をもつようになったのは変化を生き延びるために生み出した進化だったという説明には生命の神秘に感銘し、畏怖さえ感じたのでした。
高校時代に勉強したはずのこうした人間の生殖機能と、染色体の発見とその内部への探究心をあらためて知るにつれて、宗教やセラピーに頼らなくても、生きている意味(単なる遺伝子の運び屋としてだけでなく)、人間の存在の尊さや偉大さは生物学から教えてもらえると思えさえするのです。また、口腔から肛門までが一本の管でつながっている限り躯体の内部に外部がある人間をチクワに例える著者のセンスも面白いのです。この本を読んでいるうちに私は、周りにいる人がチクワに見えてくる瞬間がありましたからね。
ちまたは「脳」ブームです。脳に良いことをすること、発想法を磨く方法などがとかくもてはやされ、それに関する書籍も飛ぶように売れていると聞きます。しかし、脳みそが人間のすべてをコントロールしているとは証明されていません。職場仲間には脳や発想ばかりをことさらに重要だと唱える人々の薄っぺらさに嫌気がさしている人もいますが、養老先生の言葉を借りれば人間の身体性の欠如が認められるからだろうと思うのです。人間が脳ばかりに依存し、そこしか見ないのであれば身体性からの逆襲が始まると言った養老氏の言葉は現実になるかもしれません。
この本は、トビウオを崇拝する台湾南部の海洋民族の話で終わります。微細な細胞組織を高度な顕微鏡で見つめ新しい世界を発見した研究者。自分が水の中にいることにおそらく気付かないまま生まれ死んでいく多くの魚とはちがい、自らの意志で水面の上に飛び出して水中ではない新しい世界を発見しその意志によってヒレを羽にまで進化させたトビウオ。この研究者とトビウオの隠喩に対して解説や個人的意見もないまま書籍を終える方法で、余韻は残ります。何かを得るヒントが隠れていそうで、考えつづけようとする不思議な読後感があります。良書です。
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これは目から鱗でした。男ってこうしてできたのか…これ以上書くとネタバレになるから書かないけど。
そしてやっぱり、科学の大発見の裏には研究者間のいろんなサイドストーリーがあるわけで。こういう内容はやっぱり実際にその業界にいて、そういうバトルの中にいる人間じゃないと書けないものだと思う。わたしも理系だからちょっとはわかるけど、これはリアルです。
それにしても、ほんとにこういうふうになってるのか、見たくなるよ。ほんとに。男でも女でも、たぶん実際もう一回ちゃんと見たくなると思う。なかなか面白かった。でもこれを電車の中で読んでるのはちょっと恥ずかしい気もした。
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すごく読みやすい生物の教科書のようなもの。
こういう専門家の人って文章が硬くて素人には分からないという印象があったけど、
福岡さんは文章が上手い!
しかも単純に生物学について説明しようとするのではなく、誰もが思ったことがあるような
素朴な疑問から入るという感じで、ミステリーを読んでいるような謎解きの爽快感があった。
生物の基本仕様は女。
できそこなった男。
でも基本仕様よりもカスタマイズされた余計な機能を持たせた男のほうがお徳な気がするのは
自分が女だからか。。。
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09/8/4 ★★★☆
男は男として生まれるのではない、男になるのだ
人の原型は女であり、男はそのカスタマイズだという筆者。
そのカスタマイズは完璧なもので無いため、様々な耐性がもろく男の寿命は短くなる。
その理論は厳密で無いものの、文章によるロジックが成り立っており説得力がある。
他にアリマキの話は秀逸。
まさに「できそこないの男たち」とはこのことか
この人の本が面白いのは、色んな話をくっつけるのが上手いとかそーいうのもあるけれど
何より、人類の生命の謎に迫りそれを解く物語が語られるのが面白いのだと思いますわ
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「男性性とは女性性の従属的な存在である」という知見が、性を決める「SRY遺伝子」の発見に至る科学史ドラマ等を通して語られる分子生物学エッセイ。遺伝子的な女と男の主従関係は、病気やストレスに弱い様態としての男、男性性器の形状などを通しても、実質的に「できそこない」であるという説に納得。「男は性欲に勝てない(by イチロー@MLB)」って時点で支配されてるよなあ…なんて。DNAのコピーミスをたどっていくと世界の人種分布がわかったりとか、「じゃあ、なんで世界は男中心に作られているのか?」なんて話も面白い。
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この著者が書いているものは読みやすいし分かりやすい。ドラマティックで小説的だ。ただ、おもしろい推理小説やサスペンスドラマを観賞したあと、一晩じっくり考えてみるとなんかおかしな点がみつかるように、この本にも腑に落ちない点がある。
本書のメインテーマは生物はデフォルトではメスで、SRY遺伝子があればオスなるということだ。つまり高校の生物学で習った範囲なら性染色体がXYならオスでXXならメスだったとも思うが、XXでもSRY遺伝子があればオスでXYでも無ければメスになるということらしい。細かいことをいえば、これはちょっと不思議だ。SRY遺伝子が高い確率でY染色体にあってX染色体にない理由が分からない。この理由によってはSRY遺伝子があればオスなるって命題は微妙になってしまうと思う。
また男も女もどちらが優れているとかできそこないだとかということは全くないので、タイトルは語弊がある。そういう意味では著者は差別者だと思う。
あと、分子生物学ではポスドクは奴隷みたいに書いているけれど、一将功なりて万骨枯るってことか。そのへんのエピソードも面白い(ちょっと怖いが)。
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「生物と無生物のあいだ」とまではいかないが、面白い。
もっと早く、福岡さんに、科学のストーリー性に出会いたかった。
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この本を読んでいたお陰で,今回のセメンヤ選手のこともバイアスなしできちんと考えることができたと思う。
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・SRY遺伝子、Y染色体
・第六感=加速覚→ジェットコースターの感覚
・トポロジー(位相幾何学)=ドーナッツとコーヒーカップは身に穴がひとつで同じと言える。
・人間は知っているものしか見ることができない
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情緒的でエレガント。性分化の発見に至るまでの歴史が尊敬と共に語られます。 しかしオリジナルよりカスタマイズ品の方がもろいのか、残念である。
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遺伝子の読み物として、僕のようなド素人にも読みやすくて面白かったです。
後半の推論の部分は納得いきませんでしたが。
前のベストセラーもそうでしたが文章がうまいですよね。