サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

e-hon連携キャンペーン ~5/31

hontoレビュー

ほしい本の一覧を見る

できそこないの男たち みんなのレビュー

新書

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー165件

みんなの評価4.0

評価内訳

160 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

思わず萎える自虐的な男本。現代の社会構造に「メス」をいれた一冊。

2011/05/12 23:49

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:レントゲンのパパ - この投稿者のレビュー一覧を見る

発刊から2年が経過するも未だ話題をさらう男本。改めて読み返してみても思わず萎えてしまう一冊です。男女平等が叫ばれる現代社会で亭主関白的な態度をとられる殿方にはぜひとも一読していただきたい。また、そんな殿方を選んでしまった奥方には父の日のプレゼントとしてお勧めしたい。

本書ではアリマキ(アブラムシ)の驚くべき生態について紹介しています。アリマキの世界は原則メスだけで成立しており、自らのクローンを生み出すことで驚異的な繁殖力を実現しています。しかし、一年に一度秋の訪れとともに、自身の染色体をひとつ削ったクローン、即ち弱いオスを生み出し交配を行うことで、種の形質に多様性と変化をつくりだし、環境の変化に対応してきたというのです。まさにオスは生き残るための使い走りです。著者はさらに男を追い込みます(著者も男なのに)。この風変わりな繁殖システムは、アリマキのような限られた種の中で行われているのではなく、地球上に生命が誕生してからの10億年ではむしろメジャーな増殖手段だというのです。

話をヒトに戻すとさらに悲しい運命が待っています。ヒトの発生、即ち胎児誕生の過程は女性を基本仕様としており、男性特有の生殖器は女性の仕様をその場しのぎで作り変えたものだというのです。さらに日本人の死亡率統計から見ても、男性はがんに罹患しやすく、ストレスに弱く早死してしまう。男性を決定する遺伝子が作り出す男性ホルモンがヒトの免疫系を邪魔するというのです。

著者の生物学的知見から、現代の社会構造に「メス」をいれた一冊です(笑)。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

もうひとつのYの悲劇

2009/02/14 22:27

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 保坂和志の小説論がそれ自体小説であったように、福岡伸一の科学啓蒙書は、細胞内の出来事を描写した一篇の小説である。
 本書の前半は、極上のミステリー小説のように綴られた、性決定遺伝子をめぐる科学者たちの物語(書名の候補としては、『もうひとつのYの悲劇』)であり、後半は、性決定へのカスケードを演じる細胞内物質群の物語(同様に、『平衡宇宙』)である。
 朝日新聞(2009年2月14日付け朝刊)に、加藤周一への追悼文が掲載されている。
 「アンリ・ファーブルのような緻密さ、ジュール・ベルヌのような飛躍、あるいは今西錦司のごとき自由な変幻さ」に憧れて大学に進学した著者は、理科系の学問に半ば失望し、ひそかに文系にあこがれていた。そんなとき、“文転”の大先輩が著した『羊の歌』を読んで、著者は衝撃を受けた。
 加藤周一が医を廃して詩に向かったのは、「夥しい本を読み、そして多くを書き、世界中を旅し、少なくない数の女性を愛したのち」のことだったのだ。「私はまだ全く何もなしてはいなかった。」
 こうして著者は、『生物と無生物のあいだ』に描かれた、分子生物学者への長い旅に踏み出し、やがて、ファーブルやベルヌの詩に繋がる水脈に触れることになった。「絶え間ない消長、交換、変化を繰り返しつつ、それでいて一定の平衡が保たれているもの。それは恒常的に見えて、いずれも一回性の現象であること。そしてそれゆえにこそ価値があること。生命現象を、あるいは世界を、そのようなものとして捉えようとようやく気づいた私にとって、加藤周一はいつもはるかに遠い。」
 それにしても、この人はほんとうに文章が上手い。以下に、「できそこないの男たち」に捧げられた福音を抜き書きしておく。

《私たちにとっての媒体[メディアム]とは何か。それは、時間である、と私は思う。時間の流れとは私たち生命の流れであり、生命の流れとは、動的な平衡状態を出入りする分子の流れである。つまり時間とは生命そのもののことである。生命の律動が時間を作り出しているにもかかわらず、私たちは時間の実在を知覚することができない。
 いや、むしろこういうべきだろう。生命は時間という名の媒体にどっぷりと浸されているがゆえに、私たちはふだん自分が生きていることを実感できないのであると。ならば、時間の存在を実感できる一瞬だけ、私たちは私たちを運ぶ媒体の動きを知り、私たち自身が動いていること、つまり生きていることを知覚しうるのではないだろうか。》

《時間の存在を、時間の流れを知るたったひとつの行為がある。時間を追い越せばよい。巡航する時間を一瞬でも、追い越すことができれば、その瞬間、私たちは時間の存在を知ることができる。時間の風圧を感じることができる。それが加速覚に他ならない。
 巡航する時間を追い越すための速度の増加、それが加速度である。加速されたとき初めて私たちは時間の存在を感じる。そしてそれは最上の快感なのだ。なぜならそれが最も直截的な生の実感に他ならないから。
 自然は、加速を感じる知覚、加速覚を生物に与えた。進化とは、言葉のほんとうの意味において、生存の連鎖ということである。生殖行為と快感が結びついたのは進化の必然である。そして、きわめてありていにいえば、できそこないの生き物である男たちの唯一の生の報償として、射精感が加速覚と結合することが選ばれたのである。》

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

紙の本

男と女の間には。

2008/11/07 11:24

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る

「男性は、生命の基本仕様である女性を作りかえて出来上がったものである。だから、ところどころに急場しのぎの、不細工な仕上がり具合になっているところがある」

「だから男は、寿命が短く、病気にかかりやすく、精神的にも弱い」

劣化コピーね。種の保存のために、はじめに女性(メス)ありき。というのは、なんとなく知ってはいたが、かくもきっちりと全編にわたって「分子生物学」的に述べられると、一応、男であるぼくは、つい襟を正して読んでしまう。

たとえば生殖器官。

「基本仕様として備わっていたミュラー管とウォルフ管。男性はミュラー管を敢えて殺し、ウォルフ管を促成して生殖器官とした。-略-かくして尿の通り道が、精液の通り道を借用することになった。ついでに精子を子宮に送り込むための発射台が、放尿のための棹にも使われるようになった」

前述の女性から男性に「作りかえる」ものが、「SRY遺伝子」で、そのしもべが「主要な男性ホルモンであるテストステロン」。「胎児はテストステロンのシャワーを浴びて初めて男になる」。

昔懐かしの保健体育の教科書で読んだ第二次性徴の男の特徴。のどぼとけが出て、ヒゲなど体毛が濃くなる。これもテストステロンの成せるもの。男らしさの素でありながら一方で「目免疫系を傷つけ続けている可能性がある」。ダブルバインドかよ。

「遺伝子の使い走り」である男性がアッシーくんやメッシーくん、ミツグくんなど喜んで「女性に尽くす」のは、「生殖行為」の際に伴う「快感」というご褒美のためなのだろう。
なんだかフロイトの二番煎じみたいだが。

なんだけど、最近では、精子だけ取り出してという人工授精も行われ、このままでは、まるで長旅をして遡上してきたのに、精子をふりかける前に、搾り取られて人工孵化させられてしまうオスのサケのようになってしまいかねないかも。

作者は本の終わりで魚は一生水の中にいるが、それを感じることなく生きているという素敵なフレーズが出て来る。しかし、男はそうはいかない。そう考えてしまうぼくは、たぶんダメなヤツなのだろう。でも元々不具合だものと、開き直ったりして。男性・女性を違った立場から見ることができ、とりわけ男性なら自分のマッチョ度合いをはかるのに好適。おもしろうてやがて哀しき一冊だ。



このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2008/10/24 01:49

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2009/04/15 20:57

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/11/17 08:56

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/11/20 22:20

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/11/21 00:10

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2009/01/04 20:30

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/10/25 12:40

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/12/12 19:48

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/12/26 18:55

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/12/26 23:43

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2008/12/31 19:47

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2009/01/17 21:16

投稿元:ブクログ

レビューを見る

160 件中 1 件~ 15 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。