裸・出歯・鼠・・・。
2009/02/28 10:43
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投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
名前通りのみかけをしています。スカシカシパンとか、スベスベマンジュウガニとか、和名には印象に残る名前が結構ありますが、これも番付表をつくるならかなりの上位間違いなしでしょう。
全身毛がぽしょぽしょとしか生えてなくて、歯が出っ張っているネズミ。表紙では顔の一部しかわかりませんが、良く言って「キモカワ」の生き物です。本文に書かれている著者の印象も「しわしわのサツマイモ」だったりします。
地中に穴を掘って集団で住み、鳴き声を使い分けている。女王、兵隊、ふとん隊と役割分担がある・・。この生き物を、研究者がたくさんの写真入りでやさしく、楽しく「どんな実験材料か」を説明する一冊です。
しかし、「ふとん隊」とは言っても布団を運んでくるとかいうのではありません。自らが女王の生んだ子供の「ふとん」になる、というかなりのユニークさ。なかなか複雑な生き方をしている生き物のようです。体温調節が下手(なら、なんで裸なんだろう)で暗い所で生活、というのでは飼育はかなり難しそうです。
著者の一人、岡ノ谷さんは、「極端にへんな動物の極端にへんな行動を研究することで、脳と行動の対応がはっきりすることがある」と、「私もハダカデバネズミで一旗あげてやろうともくろんだのである。p80」とのこと。実験材料としては、「極端な」ものというのは確かに現象をとらえやすい面があります。多くの鳴き声を使い分けることと社会性、脳との関係の解明にもメリットはあるのでしょう。
それでも研究は簡単に行くものではありません。この本の面白さの半分は、その研究をする学生や院生の「生態」の描写にあります。どんな難しい題材でも、実際は夜中にごそごそとやっていたり、ネズミの尻尾を地道に引っ張っていたりしてデータが集められる。そんな実態も材料に劣らず面白く読めます。正月三が日も世話をしに研究室に来る皆さん、御苦労さま。それもよい思い出になりますから、頑張ってください。
表紙にも赤丸で「生きもの」とありますが、岩波科学ライブラリーの、シリーズ「生きもの」になるのだそうです。あとがきを読んでみると、編集者は「クマムシ!?」を担当した方。「クマムシ!?」はあえて現代的な研究手法に入らないでいこうとする動物学者を、こちらはまっこうから入っていく動物学者の本です。研究姿勢の違いはあるが、どちらも現代の研究者が、扱っている生きものともどもよくわかる面白い本になっていると思います。
シリーズだそうなので、この先何が続くのか。「可愛い」だけでなく、すてきなメッセージを送ってくれるシリーズになるよう、「二匹目、三匹目のドジョウ」が見つかりますよう、と見守らせていただきます。
デバネズミ社会は面白い
2016/05/02 08:08
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投稿者:タヌキネコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙のインパクトに購入をためらい、その後忘れておりましたが、友人から「テレビの生物番組でハダカデバネズミのことが紹介されていて、とても面白かった」と聞き、読んでみました。
「女王」と「王」、「兵隊デバ」と「働きデバ」の社会生活、確かにとても楽しく、周りのあれこれと比較して考えさせられたりしました。
大学の研究室のようすもほほえましく、あっという間に読了しました。
入門書としてとても読みやすいですが、もっと詳しい本もあったらまた読みたいです。
ハダカデバネズミの奇妙な世界そして、べつやくれいさんのイラスト!
2018/07/24 18:25
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
名称が見事に特徴を表している「裸-出歯-鼠」。
地中に穴を掘って巣をつくり、蟻のように、女王、働き者、ふとん係!などハッキリ役割分担があるという、非常に変わった生態の哺乳類です。他の何の生き物にも似ていないような独特の姿。インパクトがあります。
私の場合、貴志祐介さんの「新世界より」でハダカデバネズミに興味を持ち、読んでみました。
私が大好きな、べつやくれい!さんのイラストが、良い味を出しています。
試しにインスタグラムで見てみたら結構画像がありましたので、意外と愛好者がいるのでしょうか。
ハダカデバネズミの本はあまり無いと思いますので、貴重な一冊です。
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20090221読了。
(図書館)
かわいすぎて、一目ぼれ☆生態も変わっていて、とても面白かった!!
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冗談のような名前、この動物の正式名です。かわいいとはとても思えないけど、なぜか人気があるそうです。同じタグの英語の絵本もあります。生物学者にはとても興味ある研究対象だそうで、著者の先生方の研究成果も分かりやすく書かれています。生物学の入門としてもいいと思います。
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「ハダカデバネズミ(以下デバ)」あぁなんてひどい名前、そして可愛いその姿。べつやくれいさんのイラストのデバも実物のデバも、もう「可愛いっ!!」としか言いようがないです。
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以前mixiレビューに書いたものをここにもUPしておきます。
岩波科学ライブラリー151です。
岩波科学ライブラリーといえば、鈴木忠先生の「クマムシ?!」がそうでした。この本は、「クマムシ?!」を編集した岩波の塩田さんが手がけて本にしたものだそうです。塩田さんの「次はデバネズミやります」で生まれた本は、クマムシに劣らず楽しい本です。
表紙から転載。
ひどい名前、キョーレツな姿、女王が君臨、哺乳類なのに変温動物?
愛すべき珍獣、その名は『裸・出歯・鼠』
動物園で人気急上昇の珍獣・ハダカデバネズミと、その動物で一旗上げようともくろんだ研究者たちの、「こんなくらしもあったのか」的ミラクルワールド。
なぜ裸なの?女王は幸せ?ふとん係って何ですか?人気イラストレーター・べつやくれい氏のキュートなイラストも必見!
キュートなイラストというか、最初はあのイラストなので見れるともいえます。はっきり言って写真は見慣れないと気持ち悪い。大人のハダカデバネズミ(以後デバと表記)でも、生まれたてのカンガルーの赤ちゃんやパンダの赤ちゃんに似てます。似てるけどしわしわなので、ぱっと見可愛くない。連想してはいけないと思いつつ、いもむしを連想したりして・・・・。
それがなぜかあの愛情こもったイラストに親しんでから写真を見ると、あら不思議。可愛いじゃないのこのデバたち!
私はこういう研究をしている人は理系の研究者だと思ってました。それが岡ノ谷先生は今では理化学研究所にいらっしゃいますが、最初にデバ研究を始めたときは千葉大文学部の助教授だったのです。言語と情動の研究から、生物言語研究へ、そのひとつとしてデバ研究があったのです。デバの前にはジュウシマツの歌の文法の本も出されてます。へえ~っです。
デバは飼育がなかなか難しい動物ですが、生物言語学から言うと興味深いことが多いとのこと。
多くのネズミが鳴き声でコミュニケーションをとることは知られていますが、人間に聞こえない音も使っていることが多いのです。しかしデバはネズミの中では耳が悪い。悪いという表現はちょっと違うかもしれませんが、ほとんどは人間に聞こえる鳴き声を使うのです。しかも鳴き声の種類がとても多い。
すごく面白くて、まだまだ続いている先生たちの研究は『言語の起源を解明』しようというもの。
いろんな研究をしている人がいるんだなあと思うと、楽しくなりました。
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軽く読めます。ハダカデバネズミかわいい!ちょっとした研究も積み重なることでスゴイ発見になるんですね。
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日本で最初にハダカデバネズミの飼育と研究に携わった岡ノ谷教授による、デバ(研究者は愛情を込めてこう呼ぶ)の飼育と研究、生態についての入門書。
とはいえ、生態についてはまだ知られていないことが多いようで、未知の生物に悪戦苦闘する学生さんたちの青春群像も垣間見えてなかなか楽しい。
デバはアリやハチのような真社会性を持つ希少なほ乳類である。
彼らは乾燥した砂漠の地下に延々とトンネルを掘り、一匹の女王デバと生殖担当の数匹の王デバ、時に蛇に自ら食べられることで群れを守る兵隊デバ(兵隊ではなく生け贄デバといったほうが近いかも知れない)、働きデバで群れを構成し、各構成員は均質な遺伝子をもつ。
何より驚くのは女王デバが37歳(当時)という齧歯類では特異な長寿を保っていることである。先日、NHKの番組でこの女王デバがまだ健在だといっていた。
デバの研究はまだ始まったばかりで、分からないことだらけである。読んでいてもなんだか歯がゆい思いをすることもあるのだが、それはすなわち研究の進行をリアルタイムで見守っていけるということでもある。
今も研究を続けている若手研究員さんたちの活躍を期待したい。
そして、今関東に偏っている飼育施設が全国に広がってくれたらなぁと、いちデバファンは思うのである。
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読みやすくて面白い。生物の世界は奥深いなあ、と思った一冊。つい本物が見たくなって上野動物園まで実際に見に行ってしまいました。
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アリやハチの社会は階級社会というのは有名な話だけど、珍獣ハダカデバネズミも階級社会ということに興味津々。その強烈な姿。ひどい名前。でも読み終えるととってもかわいい動物なんだと思い、機会があれば是非動物園に行ってみたいと思わされる一冊。
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成毛眞さんが、『儲けたいなら科学なんじゃないの』で薦めていた本。
役割分担をしてコロニーで暮らすハダカデバネズミには、ただひたすらに子ネズミを暖める「肉ぶとん」階級なるものがあるという。
そのユニークさに興味を持ち、購入した。
王座を巡る熾烈な闘い。ストレスを受けたり、コロニー内の個体数が増えると子ネズミを食べてしまう。階級差による鳴き声のルール。
ぷっと笑ってしまったり、信じられずえ~と唸ったり。
超ユニークな生き物の生態を楽しんで読める。カラー写真も満載。
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裸で出っ歯のネズミ、名が体を表しすぎているハダカデバネズミ。その生態や研究生活を記したこの本、中高生向けか?挿絵も写真も豊富でとてもわかりやすく、楽しく読むことができました。女王は実はストレスフルとか、肉ぶとん階級など興味深いデバの暮らしが丸わかり!デバかわいい。
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ハダカデバネズミの生態や研究の歴史、現在進行形の研究についての報告等、ハダカデバネズミファン必携の書。
大学などでの研究ライフを垣間見る事も出来ます。
本書で紹介されている鳴き声や行動などが、ウェブサイトで観たり聞いたり出来るようになってます。痒いところに手が届くとは正にこの事!
最年長の女王デバが、私より年上だった事には驚きました。ああみえてご長寿!
ハダカデバネズミなんて身も蓋もない名前で、更にその名前の通りのルックス。あの姿と暮らしを選んだ進化の過程に思いを馳せれば、そりゃ興味深い研究対象だろうなあ。
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タイトルにある”ふとん係”が気になって手に取りました。
この変わった外見と驚きの生態をわかりやすく、かわいいイラストとともに教えてくれます。
同じ地中に住む生物でありながら、モグラは毛があるのに、なぜ彼らは毛をなくしたのか・・・どんどん謎は深まるばかりの不思議な生き物です。