紙の本
肩の凝らないアフリカ民族誌として絶好の読み物だった
2020/11/30 08:09
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投稿者:大阪の北国ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
長く新聞記者としてアフリカに滞在された著者による肩の凝らない現地レポート集。
現地の土着の食文化やアラブ世界のイスラムの影響が濃い学術論、またヒトの祖先に繋がる化石発見のいきさつなど学術書的な知識が平易な文章で綴られていく。さすが新聞記者の書く文章は無駄なくシャープに纏まっていると感心した。
東アフリカのある地域で主食とされるトウモロコシ粉で作るウガリ、ケニアやイエメンなどで嗜好される覚醒作用のあるカートの葉、西アフリカの餅フーフー、最近は日本でも見かけるが「幻の穀物」とも呼ばれたテフから作るエチオピアのインジェラ、西アフリカのクスクス そして仮設実証型の研究手法を編み出したイスラム文化の蘊蓄など読みどころ満載である。 但しわれわれの主食としてよく知るインド・中国系のコメとは違うもう一方のコメである浮き稲については、生育や料理についてほとんど登場しなかったのは意外であった。それだけ現地の一般的食文化としては定着していないということかと考えた。
本書を読破した今、著者の「カラシニコフ」も是非読んでみたいと思い、早速物色を始めた。」
紙の本
1990 年代までのアフリカの食などの文化
2011/11/04 19:20
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
もともと 2 冊だった本を 1 冊にまとめている. 前半はひたすら食にこだわっている. ゲテモノの話もあるが,ほかにはないおいしいものもある. 特大のウナギを料理した話,料理人に刺身をつくらせた話もある. 後半は宿が中心だか,もっとはばひろい話だ. マサイ族の家にとまったら,その妻といっしょに寝ることになったという話もある. アフリカも最近は変化がはげしいが,それ以前の時代の文化を知ることができる.
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『カラシニコフ』、『アフリカ・レポート』など深刻化するアフリカの問題について書かれた本の著者である元朝日新聞記者の松本仁一さんのやや肩の力を抜いたエッセイ集です。ジャーナリストとして長期に渡りアフリカに住み、飛び回った著者が、アフリカでの食事や宿泊をテーマにして書きつないでいます。
結構、無茶をしているようですが、こうでないといけないのでしょうね。
『カラシニコフ』、『アフリカ・レポート』を読んだ上で読むと、あらためて著者のアフリカに対する思いが伝わってくる気がします。
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タイトルの通り、著者がアフリカで体験した食べたもの、寝るところに関する短いエピソードのエッセイ(というかノンフィクションなのかな)。
最初は「なんか一方的な見方」と感じてたんだけど、読み進むうちに、そんなことは無いことに気づく。
むしろ、偏見があると感じた自分の心に偏見があるのだろうと。偏見を恐れるあまり「わかったような気になってしまう」ところがあるんだろうなぁと気づいた。
たとえ偏っていようとも、感じたことを書き、体験してみて、それを素直に表現する本書は実に面白かった。
そして面白いといえぬほど、アフリカは凄いところなんだろうな。(先日読んだ天の方舟に書かれていたODAの汚染についても考えさせられた)
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「アフリカを食べる」だけ読んでやめてしまいました・・・。
アフリカという場所が僕にはとても魅力的なので、著者がみた「アフリカ」を知るのもまた面白くて、読んでいました。
が、一番伝えたかったであろう部分について、著者が想像したことによって書かれていることが多いし、話がよく飛ぶので、あんまり説得力がなかったと思いました。
それと「なんともいえない」とよくかいていたけど、新聞記者なんだし、そう言わずに表現してほしいと思いましたw
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(エチオピアにて)
宿屋の主人に、食事ができるか尋ねた。せめてスープとパンがあれば、と覚悟していたが、なんとインジェラが一食分あるという。街道筋の町では、よその土地でとれたテフがやみで手に入るらしい。羊肉のワットしかないと主人は恐縮していたが、それがあれば十分だ。腹がくうくう鳴った。
食事を始めて、だれかに見られているような気がした。顔を上げると、食堂の窓ガラスに無数の子供たちの顔が張りつき、あえぐように口を開けて、私の手元を見つめている。難民の子供たちだった。ワットのにおいにひかれ、宿屋の石垣を乗り越えて入り込んだのだ。
主人が竹ぼうきを振り回し、大声で追い払った。大好物のインジェラだが、私はそれ以上食事を続ける気にはなれなかった。p100-101
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表紙みたときは珍しい食べ物や寝床の紹介だと思って興味本位で買ったら全然違った。食べ物や寝床にチラチラ触れながら、アフリカの国々の情勢や帝国主義国家の罪を描いたり、現地の人や悪人との触れ合いを描いていた。予想とは全然違う内容だったけど社会赤点の自分にもすごく分かり易くて印象に残りやすい説明だったし、この人の他の本も読んでみようと思った。
日本人からしたらゲテモノでも、現地の人にとっては生活と共にある食材なのだから、拒否したり嫌悪感を出すことはしてはいけない、って書いてあるけど、さすがに羊の頭の丸焼きやその目玉を差し出されたらびびるだろう。それは他の文化を拒否してる訳では決してなくて、異なる食文化への自然な防衛反応だと思う
逆に何でも抵抗なくどんどん食べてしまうのは警戒心が退化してると考えてもいいのでは
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おもしろかった。おすすめ。内容が濃い。
学問としての社会や世界史に興味がなかったが、食と異文化のことから入っていけるのですんなり理解できた。
「人間は草を食べない」というところだけ??となった。
植民地とか人種差別とか政権の腐敗とか、途中ちょっとしんどいけど読むべき。
国際援助の好例と失敗例も少し載ってるので、政治家とかなんか支援したい人とかにも読んでほしい。