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高い評価の役に立ったレビュー
13人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2008/10/26 02:48
美文未だ衰えず
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉川英治三国志を超えるものは三国志としてはいまだ存在しない。中国人作家の陳さんもこれはつとに認めていることである。司馬遼太郎もついに三国志を書かなかった。これとて吉川三国志の圧倒的存在感が影響していることは間違いあるまい。もし、三国志として本書が存在しなければ、あれほどの歴史作家なら三国志という大古典に創作意欲をそそられない方がむしろおかしいのである。
ではなにがそんなにすごいのか。まず改めて感じたのは、文章の美しさである。とくに、関羽雲長が麦城で落命する様を描く模様は、文章として芸術の域に達している。あのくだりはいまでも全文諳んじれるほど何度も読み返した記憶がある。今はもう死んでいる文語体がかえって鮮烈である。
しかし単純に文字の取捨選択の巧拙を飛び越え、吉川英治自身が魂を揺さぶるほど感動している。そして、それを筆致に乗せるにあたってはこの言葉以外ない。そんな勢いがあるのだ。だからそれが読者に波動として伝わる。
かつて私は、本当に何年も前だが当書評欄で、最近もまだ完結していない宮城谷の三国志と吉川三国志を70年越しの戦い・・みたいに大げさに書いて喜んでいた。しかし、もはや勝負は明らかであると私は思う。
レッドクリフとかいう映画が間もなく公開される。この前はポニョなどという最低のクソ映画で詐欺行為をかまされたので、今回は少し期待したいところである。周ユ公勤が主人公クラスに上ることは間違いないが、吉川本ではあくまで諸葛孔明が主人公である。赤壁において、その功績は孫権と周ユのものであり、孔明は戦術戦略的には関係ないのが正史だが、いまとなってはどちらが真実かわかったものではない。
正史に書かれてあることに拘る者が半可通に多い。その見方も面白いが、吉川三国志に描かれる諸葛孔明というのは素晴らしい人物だ。忠涙義血の宰相と吉川先生は命名するが、まさしくその通り。これを素直に見て楽しむのも灯台下暗し的な発見がまだあるかもしれない。
低い評価の役に立ったレビュー
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2009/08/13 01:08
理不尽な編集
投稿者:Zzz - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉川三国志そのものは名作であると自信を持って推薦できます。しかしこの「新装版」では末尾の「篇外余録」が何故か収録されておらず、作品の価値を大きく損ねています。
これから吉川三国志を読まれる方はこの「新装版」(全5巻)ではなく、「吉川英治歴史時代文庫」(全8巻)の方で読まれることを強く推奨します。
紙の本
美文未だ衰えず
2008/10/26 02:48
13人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉川英治三国志を超えるものは三国志としてはいまだ存在しない。中国人作家の陳さんもこれはつとに認めていることである。司馬遼太郎もついに三国志を書かなかった。これとて吉川三国志の圧倒的存在感が影響していることは間違いあるまい。もし、三国志として本書が存在しなければ、あれほどの歴史作家なら三国志という大古典に創作意欲をそそられない方がむしろおかしいのである。
ではなにがそんなにすごいのか。まず改めて感じたのは、文章の美しさである。とくに、関羽雲長が麦城で落命する様を描く模様は、文章として芸術の域に達している。あのくだりはいまでも全文諳んじれるほど何度も読み返した記憶がある。今はもう死んでいる文語体がかえって鮮烈である。
しかし単純に文字の取捨選択の巧拙を飛び越え、吉川英治自身が魂を揺さぶるほど感動している。そして、それを筆致に乗せるにあたってはこの言葉以外ない。そんな勢いがあるのだ。だからそれが読者に波動として伝わる。
かつて私は、本当に何年も前だが当書評欄で、最近もまだ完結していない宮城谷の三国志と吉川三国志を70年越しの戦い・・みたいに大げさに書いて喜んでいた。しかし、もはや勝負は明らかであると私は思う。
レッドクリフとかいう映画が間もなく公開される。この前はポニョなどという最低のクソ映画で詐欺行為をかまされたので、今回は少し期待したいところである。周ユ公勤が主人公クラスに上ることは間違いないが、吉川本ではあくまで諸葛孔明が主人公である。赤壁において、その功績は孫権と周ユのものであり、孔明は戦術戦略的には関係ないのが正史だが、いまとなってはどちらが真実かわかったものではない。
正史に書かれてあることに拘る者が半可通に多い。その見方も面白いが、吉川三国志に描かれる諸葛孔明というのは素晴らしい人物だ。忠涙義血の宰相と吉川先生は命名するが、まさしくその通り。これを素直に見て楽しむのも灯台下暗し的な発見がまだあるかもしれない。
紙の本
理不尽な編集
2009/08/13 01:08
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Zzz - この投稿者のレビュー一覧を見る
吉川三国志そのものは名作であると自信を持って推薦できます。しかしこの「新装版」では末尾の「篇外余録」が何故か収録されておらず、作品の価値を大きく損ねています。
これから吉川三国志を読まれる方はこの「新装版」(全5巻)ではなく、「吉川英治歴史時代文庫」(全8巻)の方で読まれることを強く推奨します。