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結末は確かに、おおそうだったのか!と感じる向きもあるかもしれませんが、そこで湧いてくる感情は「哀切」ではないような。。。
可もなく不可もなく。
どこかで読んだような見たような物語で、会話も小粋?なようでいながら、やっぱりどこかで読んだような聞いたような。
ミもフタもない言い方を許してもらえるならば、人の「自分探し」になんかつきあってられんわー、といったところですかね。
手に入らなかったからうつくしい、失ったからうつくしい、のかもよ、とせいぜいコンラッドの肩を叩いてやりたいと思います。
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「あの4人を消せばいい―。殺し屋コンラッドはある日、自分の変わり果てた姿に初めて気づいた。最愛の人を失ってから9年間、彼は指示されるまま無慈悲に殺しを重ねてきたのだ。自由になるのに邪魔な男は4人だけ。だが、始末に取りかかった彼は、驚愕の真実を知る。自分は誰のために殺してきたのか。自らの人生を取り戻すことはできるのか。哀切のラストが待つ絶品サスペンス」というのが、アマゾンに載っていたあらすじ。スパイ小説でありながら、アクションに次ぐアクションではなく、静謐な描写、そして悲しみに満ちたラストまで、読ませます。 もう一作、読んでみたい作家です。
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ちょっと異色のサスペンス小説。いままでに読んだことのない感覚。全く知らない外国人作家の小説を選ぼうと思った。予備知識のない小説で、過去のなんとか賞受賞作だとか、本の紹介誌の一押し作品だとかに関係なく、ただ店頭に並んでいる本を見て、無作為に選んだ。といっても、まわりに置かれた本を見て、ミステリ・サスペンス系であることは想像できたが。背表紙の紹介文あの4人を消せばいい―。殺し屋コンラッドはある日、自分の変わり果てた姿に初めて気づいた。最愛の人を失ってから9年間、彼は指示されるまま無慈悲に殺しを重ねてきたのだ。自由になるのに邪魔な男は4人だけ。だが、始末に取りかかった彼は、驚愕の真実を知る。自分は誰のために殺してきたのか。自らの人生を取り戻すことはできるのか。哀切のラストが待つ絶品サスペンス。 読み始めると、意外と地味な作品であることがわかった。殺し屋が主人公のわりには、アクションシーンは少ない。主人公・コンラッドの内面に焦点を絞った作品だからである。だからといって、けっしてつまらないわけではない。彼の心の中を知るにつれ、なにか引っ掛かりを感じ、むしろ強烈に惹きつけられていった。その違和感がなんなのかを推理することは、この手の小説の楽しさであり、醍醐味である。考えながら読んでいると知らず知らずのうちに作品世界にどっぷりとハマっていた。人間の苦悩する姿に私が共感を覚えやすい性格であることも影響しているとは思うが、それにしてもどこか変わった小説である。とにかく、スタートから謎だらけのストーリーであることに間違いはない。読んでいる最中には、マット・デイモン主演の映画「ボーン・アイデンティティー」を思い出した。解説の方もこの映画を挙げていたが、謎のひとつ目はあれと同じパターンかと疑って読んでいた。主人公は記憶喪失なのではないか? あるいは、記憶障害? それとも二重人格? いずれにせよ、どこか脳に障害があり、それがきっとどんでん返しかなにかの原因になるに違いない、と様々な推理が頭を過ぎった。この作品は他にもいろいろな映画を思い出させた。当初は主人公が殺し屋なので、「レオン」もイメージした。でも、これは違った。本書のコンラッドは、最愛の女性の死によって心にぽっかりと穴の開いてしまった男。感情が抜け落ち茫然自失状態に陥るようなナイーブな男であるが、無感情さは逆に殺しを躊躇しない冷酷さにもなり、組織にとって都合の良い傭兵と判断され雇われた。そんなコンラッドが、突然殺しの仕事を辞める決意をした。だが、その明確な理由がわからない。これも大きな謎。組織を抜けるためには、自分を知る4人を消さなければならない。身の安全を確保するためだ。コンラッドがひとり目の男を殺しに向かう。ところが男は死ぬ間際に「コンラッド、きみはほんとうに自分のことがすべてわかってると思っているのか?」という言葉を残す。唖然。読んでいて、コンラッドは自分のなにを知らないというんだ、とまた大きな謎にぶつかってしまった。組織のボスもわからない。これらすべての謎はラストに向かって収斂しているのか。大丈夫かと不安にさえなった。それ以外にも美女が次々に現れ、「007」を思わせる。「カサブランカ」も入っているか。巻末の解説に、著者の言葉がある。「現代の作家は映画の影響を受けないなんてあり得ないと思うよ」やっぱり。
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「もはやないもの」について喉元を掻き毟らんばかりに希求すること。そうすることでただ流されるように歳月を生きること。それを「堕落」と呼ぶこと。本書は興味本位で戦場に赴いた若者が「衝撃的な事故」の重さに耐え切れずに自我を見失い、他者の生命を奪うことを生業とする暗殺者として「顔のない人生」を送ってきたのだが、思いついたように「まっとうな人生」を取り戻そうとする物語だ。主人公は浮遊霊のようであり、殺しの手口も行動もどこか覚束ない。そのせいか、筆致に切迫感が感じられず、スリラーとしてはいまひとつの出来に仕上がっている。ただ、ラストまでたどり着くと「なるほどな」と思え、ぼんやりとした描写にも納得できる。意思決定を先延ばしにするとバチが当たるということか。
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主人公は生きる望みを失ったプロの殺し屋で、死を恐れて無く、対する相手はおおかたお人好し。主人公は躊躇なく相手を殺し、でも組織は反撃して来なく、警察に追われるでも無い。設定がハラハラするように出来ていない。なのに何処かひかれる味があるから、不思議。