紙の本
食の冒険王
2010/01/10 10:04
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ザァッ、ザァッ、ザッ。
道なき道を(といえば、道があるのかないのかはっきり決めろ、とつっこみたくなるが)探検隊が進む。
ザァッ、ザァッ、ザッ。
と、草むらのジャングルが(といえば、草むらなのかジャングルなのかどっちなんだ、とさらにつっこみたくなるが)突然開け、隊員Aが後ろの隊長に叫ぶ。
「た、隊長! あ、あれは!?」
ここで、CM。つづきは、トイレ休憩のあと。
といっても、ここではCMなんて入りませんから、ご安心を。
すぐさま、続けます。
そういう未踏の土地の出かけていって、「人類が初めて踏み入れる」(といっても撮影する人が一番先じゃないのか、ともっとつっこみたくなるが)冒険家のTV番組が一時流行ったが、東海林さだおさんの「丸かじり」シリーズの魅力のひとつは、断然この冒険心にあるのだと思う。
貧乏な人にはいけないセレブな料理店、お金持ちにはいけないワイルドな居酒屋、お年寄りが腰を抜かしてしまうヤングなケーキ屋、若者が遠巻きしそうなオールドな定食屋。
北ニ新シイ料理ガアレバ 行ッテ オイシイトイイ
南ニ珍シイラーメン屋ガアレバ 行ッテ ダシハ何カトタヅネ
空腹ノトキハ 涙ヲ流シ
心配シナクテモ チャントオ金ヲ払ウトイイ
ソウイウ くいしんぼう ニ 東海林ハナリタイ
例えば、この『メロンの丸かじり』(2008年刊)でも、巷の話題となった「クリスピー・クリーム・ドーナツ」店の行列に並び、朝の九時からやっている居酒屋に出かけ、お燗ビールを出すという飲み屋を徘徊し、東海林隊長の食に対する冒険心は衰えるところ知らない。
それって、単に食い意地がはっているだけではないんべか。
という、猜疑的な意見はごもっともではあるが、なかなかいけないですよ。
その行動力。
その貪欲さ。
その食い意地。(しまった、やっぱり言ってしまった)
ここに「食の冒険王」という、勝手にこしらえた称号をさしあげたいと思うものであります。
東海林さんが行かなくても行列はできるでしょうが、東海林さんが「丸かじり」シリーズで書いてくれたからこそ、ドーナツ店の行列に並んだ気分になり、朝の九時から酔った勢いになり、お燗ビールに度肝を抜かれた気分になるのであります。
ああ、「食の冒険王」に栄光あれ。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。
投稿元:
レビューを見る
東海林さだおの名前は知っていたけど、本を読んだことが無かった。
誰かの本でこの人を尊敬しているって書いてあったような気がして気になり手にとってみた次第。
パラパラめくると読みやすそうだし通勤にはぴったりかなと。
最近流行のアウトプットに長けているんだろうな。思っていること、小さなこと、をどんどん膨らまして書いている感じ。
まぁ、作家は誰でもそうなのかも知れないけど。
●もろきゅうには風格がある。
★きゅうり揉みとの比較が面白いな。常日頃こうゆう視点でものを見てみたいと思った。
投稿元:
レビューを見る
丸かじりシリーズの、コレは29冊目
長いよねぇ(笑)
よくネタを思いつくなぁって、毎回毎回感心しちゃいます
いつも、どれも美味しそうなんだけど
「冷やし中華を温める」
これは衝撃でした!
やってみたいような、怖いような。。。(笑)
投稿元:
レビューを見る
なぜか昔、実家にやたらと揃っていた「丸かじり」シリーズ。
久しぶりに読んだら、昔のと全く変わっていないテイストでほのぼのした。
読むと食べたくなるのも以前と変わらず。
韓国のりを食べた後には、こっそり唇をなめてみた。
美味、美味。
ちょうど自分が読んでいるのと同じ頃
電車のホームで若い兄ちゃんが同じ本を読んでいて
なんだか嬉しくなった。
投稿元:
レビューを見る
えのきだけは他のキノコと違って代表料理もなく、数で勝負する…なんていう話が面白かった。確かにエノキを買う時に、あ、お買い得になってると思って手にとってみると、量の少ないパックだったりしてガッカリすることがあるもんね^m^
投稿元:
レビューを見る
丸かじりシリーズ29~独活から始まって豚の生姜焼きまで~読後に表題のメロンは思い出す。クリスピー・クリーム・ドーナッツも。後は,エノキダケ・メガマック・親子丼・アスパラガス・セロリ・ラーメン屋の仕草・熱燗ビール・冷やしキツネ・もろきゅー
投稿元:
レビューを見る
シリーズ29冊目☆メロン食べたい(*´д`*)甘いの食べたい。親子丼の話のトロフワでゆやーんゆよーんの中也状態に笑った。親子丼もなかなか作らないなぁ。
投稿元:
レビューを見る
図書館の本 読了
内容(「BOOK」データベースより)
宮崎からの刺客、マンゴーの出現にメロンはどう立ち向かうか。ビールをお燗、冷やし中華電子レンジ調理法…。ニッポンを覆う閉塞感を打ち破る何かがここにある。
カラッポのピーマンも笑ったけど枝豆は斬新。そしてちゃんと作ってくれるインスタントラーメンみせってカルチャーショックでした。
投稿元:
レビューを見る
丸かじりシリーズその29。
インスタントラーメンのお店は面白いなぁと思いました。インスタントでも具を盛れば結構立派なラーメンになるもんなぁ。世界各地のインスタントラーメンが食べられるなんて、ちょっと行ってみたいかも。
存在理由が分からないと散々な言われようの厚揚げですが、我が家では鉄板焼きに欠かせない存在です。自信を持って厚揚げ!
ラストが生姜焼きだったので、今猛烈に生姜焼きが食べたいです。
東海林さんの描くおっさんおばさんは憎たらしいくらいいい表情するなぁ。
投稿元:
レビューを見る
言わずと知れた、「丸かじり」シリーズ。
本当は1冊目となる「たこの丸かじり」から読み始めたかったけど、近所の図書館で借りることのできる最も古いものがこの「メロンの丸かじり」だったので、これからスタート。
週刊朝日で連載されている「あれも食いたいこれも食いたい」を書籍化したもので、この連載スタートは1987年だって!私と同い年(唐突な年齢カミングアウト)となると、これまた親近感がグッと湧く。
それにしても、36年間もずっと「食べ物」を通じてエッセイを書き続けてきたってすごくカッコいいことだと思いませんか。
衣食住の食、生きるために必要で絶対的に身近なこのテーマ。身近であるゆえに下手したら間延びしてなんともつまらん内容になってしまいそうなものですが、全然そんなことにはならない東海林先生の才能。胆力たるや。
この「メロンの丸かじり」は、2007〜2008に連載されていたもので、クリスピークリームドーナツ新宿店が大行列になった時のことなど書かれています。あー!!あったなー!なんて懐かしむ人もいるのでは。東海林先生も並んだのですね。あの行列に。かくいう私も並びました。懐かしい…
食べ物に対しての考察が面白すぎるのです。豆腐を噛むことに対してこんな真面目に考えたことなかったけど、丸かじりを読んだ私は次から豆腐を噛み締めるんだろうな。
こうやってほんとにささやかなことひとつひとつを楽しむ心のゆとりを持っていたいなと、しみじみ感じました。
たこの丸かじり〜町中華の丸かじり、全て読破することを、人生やりたいことリストの一つに加えたいと思います。