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ドナ・ウィリアムズの自閉症の豊かな世界 みんなのレビュー

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紙の本

当事者自身が紡いだ自閉症に対する名付け

2009/06/02 00:34

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者・ドナ・ウィリアムズは、自閉症の当事者で、
自伝『自閉症だった私へ』、
『自閉症だった私へ2』、
『自閉症だった私へ3』の著者である。

ちなみに、今これを書いている時点で、
続編は入手できない状態になっている。

買えるときにまとめて買っておいてよかったと思うと同時に、
1冊目がベストセラーになった場合でも、
その続編の寿命が短いこともあるのだな、
欲しいと思ったものは、入手できるときに入手しておかなければ
なくなってしまうのだなと痛感している。

翻訳された本はすべてではなく、
ドナは、自閉症関係の本を9冊書いており、
本書は、4冊目の理論書であるという。
自伝が5冊あり、2冊は日本語になっていないということか。

本書で、著者は、自閉症に対する新しい捉え方を提示している。

「自閉症」、「アスペルガー症候群」、
「PDDNOS(特定不能の広汎性発達障害)」のように、
「同じラベルのフルーツなら、どれも同じ味がするというかのように」
ラベリングするのではなくて、
本当は、ひとつの品種に単純に定義できるのではなくて、
実はひとつのフルーツではなくて、
「いろいろなフルーツの混ざったフルーツサラダ」なのではないかと。

そして、クラスター要素で、「発達障害」とラベルを貼られた
フルーツサラダのレシピを解明することを目的としている。

彼女は、相談員の経験を通して、いくつかのパターンに気づき、
クライアントの大部分は3種類の異なるクラスターに分けられ、
これを3種類のフルーツサラダとして説明している。

ここでネーミングを見てしまうとちょっと突飛に思えるかもしれない。

だから、どんなフルーツサラダなのかは、
本書を直接読んでみることをお勧めしたい。

第1部 オリエンテーション
 はじめに
第2部 深淵へ
 第1章 燃焼系と電気系の問題―健康と自閉症
 第2章 世界を理解する方法の違い―感性のシステムと解釈のシステム
 第3章 オーバーロードの問題―単一回路の情報処理と情報処理の遅れ
 第4章 少し変わった世界体験―感覚・認知の問題
 第5章 身体のコントロールの喪失―衝動抑制の問題
 第6章 奇妙な感覚空間―気分の調整の問題
 第7章 見えない檻―不安の問題
 第8章 分かちがたい仲―依存の問題
 第9章 育て方か? 遺伝か?―境界線の問題
 第10章 視点の問題―トラウマ・ネグレクト・虐待・悲嘆
 第11章 私は誰か? どちらの味方なのか?―アイデンティティの問題
第3部 余波
 第12章 フルーツサラダモデル―3種類のクラスター

以上のような構成で、自閉症スペクトラム障害というラベルを、
従来の専門用語や解釈の枠にはとどまらない方法で分析している。

例えば、発達障害の分野では、
「視覚処理型」、「聴覚処理型」という分け方をするが
著者はそれよりも「解釈主導型」、「感性主導型」という
区分の方が有効ではないかとしている。

「解釈主導型」(左脳型)か「感性主導型」(右脳型)で、
どちらかが優位となって両脳が統合されていない状態であるのだと。

自閉症とアスペルガー症候群の違いについては、
一般にはアスペルガー症候群が自閉症の高機能バージョンという
解釈がされることが多く、
言語の能力が低いと自閉症のグループ、
高いとアスペルガー症候群のグループに分けられることがあるが、
そうではなくて、アスペルガー症候群は左脳処理、
自閉症は右脳処理という枠組みで区別するという捉え方は、
説得力があった。

彼女は、自伝のタイトルも、本書のタイトルも
章や節のタイトルもそうだが、
私たちが専門的に処理しようとすることをどこか詩的に語る。

各章の冒頭にはまさに詩が書かれている。

幻想的でもあるが、的を射ているその表現は、
専門的な言葉にからめとられたものを現実な場へと連れてくるようだ。

ところで、アスペルガーの当事者で、
犬はいきなり吠えるからちょっと苦手だが、
猫は好きという人を知っているのだが、
ドナもどうやら猫が好きな人のようである。

参加・学習スタイルについて、
犬型(直接対立的スタイル、相手を直視し、
じかに対人的に関わるスタイル)よりも
猫型(他人と直接対立せず自立的で、
基本的にあまり干渉したりしつこく詰め寄ったり、
感情をむき出しにしたりしない。)がいいとあった。

そういった犬と猫で比較した記述が他にも見られた。

これは発達障害を語るときには通常出てこないが、
わかりやすく親しみやすい例でおもしろかった。

彼女は、もともとは解釈の世界よりも感性の世界に住む人だった。

だが、この解釈優位の世界に語りかけるために
言葉の世界に来てくれたのだ、と思う。

はっとさせられる表現はあまりにも多いが、私は、このひとつを選びたい。

  私のように障害のある人間にとって、人生は楽ではなかった。

  もちろん、私より大きな問題を抱えた人々もいる。

  けれど苦労したおかげで、私は多大な時間を費やして治療法を探し、
  ついにはさまざまな問題を大幅に軽減することができた。

  とはいえ、私は障害のせいでどれほど苦労しようと、
  自分は自力でやっていけると信じている。

  そして、自分で何とかできる。自分で助けを求められるという姿勢、
  この絶対的確信こそが、
  私の人生におけるかけがえのない財産である。

  この信念のおかげで私は、
  自力で何とかするしかない状況を作り出すことが、
  似たような問題を抱えた人にプラスに働くこともあると
  気づくことができた。

  (第8章 分かちがたい仲 p.276 より)

自立とは何かに、やはり戻ってきたようだ。

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2010/04/27 10:52

投稿元:ブクログ

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