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紙の本
今週の第一位!!
2009/05/02 08:20
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつて『ザ・ベストテン』という人気音楽番組があった。
黒柳徹子と久米宏が司会進行役を務め、1978年1月から1989年9月までの約12年間、603回続いた(そのうち久米が司会をしたのは最初の7年間だが、やはり印象としては黒柳・久米の番組であった)。その期間の視聴率がほぼ35~40%だったというから、その人気の高さが窺いしれる(ちなみに最高視聴率は1981年9月17日の41.9%だった)。
あの時代をともにした人なら、久米の甲高い「第○位、中森明菜、セカンドラブ、○○○○点」という声とともに、空港のフライトボードを模した「得点ボード」がパタパタと変わり、画面後方の「ミラーゲート」から歌い手たちが登場する場面を覚えているのではないだろうか。
こうして今振り返ると、自身、この12年間というのは学生から社会人として働きはじめ、結婚をし、子どもが生まれた、考えてみれば、人生の大きな変動期だったことに気づく。
その頃の私の人生は「得点ボード」に何点で表示されるのだろう。そして、番組が終わってから20年、ランクは少しでもあがったのだろうか。
本書はそんな『ザ・ベストテン』を製作した当時のディレクターの一人であった著者の、番組制作秘話である。もう夢中になって読んでしまった。
テレビというメディアの誕生から相当の年数が経って生まれた番組だと思っていたが、当時話題となった外部からの中継や海外からの映像などまだまだ試行錯誤の実験的な番組だったことに驚く。テレビの音楽番組といえば、この番組より先発だった『夜のヒットスタジオ』(1968年~1990年)が有名だが、『ザ・ベストテン』が「若い世代から多くの支持を得ている」ニューミュージックを紹介したいという若手TVマンたちの熱意で生まれたことを本書で初めて知った。
しかし、当時若手であった著者が「いつも家族の真ん中にラジオがあった。その時代は決して派手ではないが実のある平穏でいい時代だったような気がする」(192頁)世代だというのもおかしいような、緩やかな時代の匂いを感じる。
本書に掲載されている著者と黒柳徹子との「スペシャル対談」の中で、黒柳が「考えてみると『ザ・ベストテン』の時代は、1台のテレビを家族全員で見ていた一番最後の約10年だったかもしれませんね」(269頁)という興味ある発言をしている。
確かに時代は家族のテレビから個々のテレビへ、そしてインターネットへと大きく変遷した。あるいは音楽も新しい多様性を求めて、拡散していった。
『ザ・ベストテン』は所詮はひとつのTV番組かもしれないが、時代を映し続けた番組だったともいえる。その証拠に本書巻末につけられた「『ザ・ベストテン』全603回ベストテンランキング」を見ればいい。
きっと、歌の思い出、番組の記憶とともに、あなたの時代が浮かびあがってくるだろう。
◆この書評のこぼれ話はblog「ほん☆たす」で。
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