紙の本
案外ない本。
2009/01/20 22:03
17人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代が止まった世界に生きる保守派や反天皇制論者の本は数多あれども、天皇の御公務や宮中祭祀について書かれた本は案外ないものだ。この本は結構細かく書いている。ただし皇族に選挙権・被選挙権がないのは「政治的に中立である必要」ではなくて、戸籍が適応されていない(代わりに皇統譜)から選挙権・被選挙権がない。それと三種の神器について南北両朝に「激しい奪い合い」をした、というより、後醍醐天皇と南朝が御自らの正当性のしるしとして三種の神器を利用した、という方が正しいのでは?戦前の皇国史観じゃあるまいに。北朝にしても観応2年の正平の一統で崇光天皇が廃された時に南朝に没収された後醍醐天皇から渡御された「偽器」とされる神器を持っていたわけだし。参考文献に挙がっている高橋紘氏の「象徴天皇」に賢所の御神体は二座あると書かれているが、一座は明徳3年に南朝から渡御された八咫鏡にしても、もう一座は何だろう?後光厳天皇が践祚される時に使われた、南朝に没収されて空になった「偽器」が入っていた櫃?それとも北朝の神器?
この本は現在の皇室制度については細かく書かれているが、戦前の制度との連続性については書かれていないのが欠点と言えば欠点だ。新旧の皇室典範をはじめとする法律(出来れば戦前の皇室令も)も収録してもいいのでは?
紙の本
ニュートラルな感じがよい
2017/02/27 19:58
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投稿者:igashy - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年からの状況に関連して出版されたものではなく、第一刷は2009年です(ただし2016年8月25日に第七刷となっています)。あくまでニュートラルに、お仕事の種類、頻度、規模についてまとめているので大変読みやすいです。 過去の「天皇の政治的利用の恐れ」の事例も挙げられていてわかりやすい。そしてその激務ぶりといったら。俗な言い方ですが、ブラック企業も裸足で逃げ出しそうです。
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
天皇に仕事がいかに大変なことかがよくわかる。公務から私的なことまで具体的に解説されていて可能な限りの行事などがつまびやかにされている。今後の天皇陛下の在り方がどのようにしたらよいかの参考になる。
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投稿者:弥生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
少し難しすぎた。新書なのでもう少し楽かと思ってたが甘かった。
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天皇が行われている「ご公務」を、仕事内容によって分類したうえでわかりやすく解説している本です。普段あまり知る機会のない陛下の日常が、細かな部分まで記述されていて、面白く読ませてもらいました。
天皇が「国家機関」として行われる(字面だけを見ると廃れた憲法学説であるところの国家法人説を連想させますね)国事行為、外国にたいする日本の代表としての仕事、国民との交流を目的として行われる仕事など、本書を見ると、陛下が様々な役割をなさっておいでだということがよくわかります。年間700件以上のご公務をこなされる陛下は、私の想像するよりもはるかに多忙な日常を送っておいでのようでした。それはもう、読んでいるだけでこちらが疲れてしまうほど。「人に会う」ということが人間にとって極めてストレスフルな行為であることを思うと、陛下のご心労はいかばかりなものか、想像すらできません。
全体としては、国事行為の記述などよりも公的行為のほうに本書のウエイトが置かれており、とてもわかりやすいものです。一方で、内奏や進講などといった政治性の高い仕事については、あまり公表されないためか記述も控え目です。去年ニュースにもなったベルギー国王の動静を始めとして、ヨーロッパの王室の多くが、自国の政治に介入する余地を残しているのと比べると、日本の「君主の行為から政治性を排する」姿勢は徹底しているといえるでしょう。それは、もちろん憲法規定によるものという側面もあるでしょうが、古くは大正政変の折に尾崎行雄の行った演説が示すように、天皇の言動を政治利用する余地をなくすことが民主政治のシンボルの1つとして強く意識されている、ということが大きいのかもしれません。
(2009年2月入手・読了)
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授業のネタに読んでみた。外国の要人が迎賓館を使えるのはどんな時?とか、疑問に思っていたことが色々解決。
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天皇がいかに多忙で、自分の時間が少ないかを再確認。生まれた時から「それが当然」という環境で育っていなかったら、とても耐えられないだろう。
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以外に知らない皇室の日々の仕事や生活を、皇室担当をしていた記者が書いた本。
天皇陛下は毎日仕事が忙しそう。
拝謁とか会釈(非公式に会うこと)とか何分人が多いからひっきりなしに行われるらしい・・・
象徴とはいえ公的な仕事だから下手な事は言えないし、気疲れする仕事だ
尤も、生まれた時から皇室で育てられたら公的な生活にも慣れるんだろうか?
しかしなぁ、静養にも自由に行けないっていうのはなぁ・・・
いくら税金から拠出されているとは言え、彼らには他にお金を稼ぐ手段が無い訳だから一般的な楽しみぐらい目くじらを立てる事も無いんじゃないか、と思う訳です。
日本の現代社会で、仕事を選べないっていう事実が存在するんだなぁ・・・
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今までの天皇感がすっかり変わった。皇居の奥深くで祭祀に明け暮れているのかと思っていたら、何と仕事の多いことよ。「私的行為」なんかテニスくらい。「代休」も取れずに人と会いまくる。行幸啓に警察庁長官まで同行して、往復の飛行機にはその航空会社の社長が同乗していたとは。
ただ、文章は冗長ぎみ。「衆・参両院議長、最高裁判所長官、内閣総理大臣」という言い方が何十回も出てくるが、「三権の長」とまとめて言ってしまえば、350ページ超という新書としては大部にならずに済んだのでは。
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書店で平積みされていて気になっていた
発売されたころの「情熱大陸」で堺雅人さんがこの本も買っている映像が流れたので、私も買って読んでみた
この本を読むまでは、皇族は制約もあって大変そうだけれど、結局税金で暮らしているんだから…なんて思っていた
象徴天皇制の是非はわからずとも、天皇陛下の仕事量・精神力には恐れ入る
陛下の手書きの署名が見られたり、報道では知り得ない宮中祭祀を知ることができた
陛下は日本国民のためのシャーマンなのだ
別に皇族を崇拝しているわけではないけれど、自分が生きている間に、一度で良いから天皇陛下にお目にかかりたいと思ってしまうのが、自分でも不思議だ
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社会の最前線にいる人々を凌駕する多忙さを極める天皇陛下の仕事。
その全容を本書は明らかにしてくれます。
現在の憲法では、天皇陛下は「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」とされています。
つまり、天皇陛下の仕事は本来、我々日本国民一人ひとりの仕事であると言えます。
その一部を、日本国および統合された日本国民の象徴として陛下が担っておられます。
これらの仕事について知ることは、日本を知る、自分を知ることと同義だと感じます。
例えば、祭祀。
元旦の午前五時半に行われる「四方拝」からはじまり、12月31日に行われる「節折」まで、主要なものだけで年間30をこえる祭祀におでましになります。
祭祀の主宰者、祭祀王として今も国のため、国民のためにお祈りになります。
しかし、もっとも重要でかつ頻繁な祭祀の主宰も、天皇陛下の仕事量全体からすると、僅か5%にすぎません。
この数字からも、天皇陛下のご多忙さがうかがえるかと思います。
同時に、現代における天皇陛下が置かれた立場の難しさも、本書は教えてくれます。
先にあげた、最も重要なしごとである祭祀の主宰は、今の憲法のもとでは公務員が特定宗教活動に関与することが禁じられているため、天皇家の私的な行事として位置付けられています。
祭祀に必要な神職の方々も、公費ではなく天皇陛下の私費(内廷費)で雇用されている現実があります。
常に国民に寄り添い、社会的弱者へ思いを寄せられる両陛下および皇族の方々。
世界に類をみない国柄・国体を有するこの国にふさわしい実践のヒントがちりばめられている。
そんな一冊です。
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天皇陛下のお仕事を事細かな説明した本。文章が淡々とし過ぎていて新書的な面白みに欠けますけど、その分内容はギッシリ。なかなか人に聞いても教えてもらえない事、ニュースでは省かれている部分について沢山学べます。読んでいて発見、静かな驚きの連続でした。少し読むのに時間が掛かりますが、内容としては良書という呼び方がピッタリな本です。
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天皇陛下は定年がないから大変ですね。
本当に予定がたっぷり埋まっているんだね。
国内関係が76%で、海外関係の仕事が24%。
両陛下での仕事が77%、陛下単独での仕事が23%。
天皇陛下がお出ましになる業務の中で、もっとも重要な仕事は、新嘗祭。
今生天皇はオセアニアとアフリカはまだご訪問されていない。
天皇陛下が海外を訪問するとなると大使館やら警察は大変。
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天皇陛下は、日本古来の宗教のシャーマンとして、いまでも神秘的な行事に深くかかわっているのだろうか? と疑問に思ったのがきっかけで、この本を手に取った。ひととおり読んでみて、想像以上の激務にびっくり。また、やはり神事にもたずさわっているご様子。というか天皇家にとって非常に重大な行事らしいので、そこのあたりをもう少しくわしく知りたいと思った。とりあえず知りたいことがわかったので満足。
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非常にわかりやすく事実を教えてくれる良本だった。
天皇がしている仕事内容を丁寧に教えてくれる。
いかに自分がモノゴトを知らなかったかを教えてくれる。
この本を読んで感じたことは、「憲法に書かれている言葉の重さ」である。
日本国憲法 第1章 第1条
「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」
この言葉の重さをすごく感じた。
特に【象徴】という言葉。
簡単に「天皇は象徴なんだ~」と言えるほど軽い言葉ではない。
国事行為、公的行為、その他の行為すべてに凡人が考えられもしない程深い意味を持っている。
仕事内容から「天皇」という存在に対して、日本国が込めたすさまじい思いを感じた。
一日本国民として、この存在を永久的に残していきたいと感じた。