紙の本
人と付き合うのが苦手な人と、その人を助けたい人の物語
2009/09/05 12:51
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
イギリス人の父親と日本人の母親のハーフに生まれた帆奈。
ニューヨークに住む両親が別居したたえ、
彼女は、母親の両親と弟のトム伯父さんと一緒に
日本で暮らしています。
彼女たちが暮らす町は「明治たてもの村」で
明治、大正、昭和の古い建築物を観光用に見せています。
帆奈の家も古いそば屋です。
彼女もお嬢様のコスチュームを着て
観光客を案内するボランティアをしています。
トムおじさんは本名が「斗六」。
人とうまくつきあいができず、
高校生の頃、引きこもりになり、
村からもあまり出たことがありません。
でも、手先が器用で、物作りがうまいので
村の建物や家具、小物などの修復を仕事にしています。
古い建築物とトムおじさんの仕事を横糸に、
心が弱くて、人とのつき合いが苦手な人たちの生き方を
縦糸に、物語が進みます。
村の松濤館が本来の旅館として営業を始めるにあたり
元のオーナーと今のオーナーを招待することから
諍いが起きる「八十年間の旅」。
帆奈は明るくて元気な女の子ですが
ハーフで目立ち、自分の意見をはっきり言うため
学校で浮いた存在となり、登校拒否となります。
そんな10歳の彼女が体験する旅は
トムおじさんについて東北の村の西洋館の修復でした。
養護施設で暮らす恭介と知り合う「初めての旅」は
彼女に本来の明るさと強さを取り戻させます。
最後に、トムおじさんが引きこもってしまった理由が
明らかになる「十年間の旅」。
中学生になった帆奈はイタリア人とのハーフの同級生・由一を、
夏休みの間、ホームステイさせることになります。
進学校での微妙な人間関係から浮いてしまった彼に
帆奈がなにかと気を使います。
それはトムおじさんが高校時代に経験した人間関係ともリンクして――。
人間は対等だけれど、弱い人をかばう優しい気持ちは
時として傲慢な思いになってしまうのも真実。
10代であれば、なおのこと。
それが傷になることもあります。
チクリと心を刺していきます。
ノスタルジックな村の雰囲気はエッセンスにとどまり、
帆奈とその周りの大人たちが成長していく姿が
あたたかく、清々しい。
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元ひきこもり、現在もちょっと対人恐怖症のトムさんと、その姪の帆奈(ハンナ)の物語。
彼らが暮らす明治たてもの村が魅力的な場所で、装丁もよい。
ハンナが物語を語るので、字も大きめで文章も簡単にしてあり、全体的にほんわかムード。
もちろん、それなりに問題はあるのだけど。
『空へ向かう花』でも感じたけれど、本当の意味での大人とはどういう人間をいうのか、それを小説を通して伝えてくれているように感じる。
児童施設のママさんが施設の子供達に語っているという言葉。
「子供はわがままや不満を泣いたり叫んだりしてぜんぶ外に出して明るくなって、それをすくい取って優しくなっていかなきゃならないのが大人なんだ」
その通りなんだけど・・・。
そして、明治たてもの村にはすくい取ってくれる大人がたくさんいるのがまた魅力的。
トムさんもすくい取られ、今度は自分が他の誰かの分をすくい取ってあげようと、ゆっくり大人になっている。
ハンナはそんなおじさんや周囲の大人に見守られ、やっぱりゆっくり成長している。
じわっと温かい物語でした。
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これは評価が難しいなぁ…。小路らしさは確かにあるんですけど、今ひとつ物足りないというか、食い足りないというか。どこがどうとは指摘できないんですけど、ちょっとした距離感みたいなモノを感じてしまいました。いや、けっして悪いできではないんですけどねぇ。
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最初はこりゃあ小路作品で初めて良くない評価つけるかなーと思ったけどよんでいくうちに慣れてきたというか元々この人の書く作品は好きだし。安心してよめるんで。このような評価になったかもしれないが読みさすさはバツグンです。途中で児童小説?と思ったくらいに・・いい意味でも悪い意味でもw
気になったのが主人公の女の子大人より大人?みたいな
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ハンナちゃんとトムさんの組み合わせに癒されます。
いろいろな方向のことを考えさせられました。
トムさんの名前の由来が楽しかったです。
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両親の別居をきっかけに、NYで暮らしていた小学六年生のニールセン・帆奈は懐かしい建物が集まる観光施設「明治たてもの村」で、祖父母と元ひきこもりの「トムおじさん」と暮らしている。「人と接すること」が苦手なおじさんとの日々を通して見えてくる人のつながりの温かさ。注目の作家が繊細に描く、不器用だけれど懸命に生きる人たちの物語。
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手先の器用なトムおじさんと、ハーフのわたしのお話。
超和み系。それだけではないから、やっぱり暖かい感じがする。最後までほんわりなお話でした。
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帆奈、13歳。両親の別居でNYから単身帰国中。日本の学校に馴染めない帰国子女。斗六、28歳。高校時代のある事件が原因で外に出られなくなった、本当はイケメン。叔父と姪、それぞれの「問題」を抱えた二人は一緒に暮らすことになる。帆奈はおじさんを立派な大人にするために、恋をさせようと奔走するが…。
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ちょっと現代の町並みから離れた舞台。
建物のこととか、ものづくり&なおしのこととか、興味そそられるところはたくさんあったけど、「心が他の人より弱い人」の話が中心。
全体的にぼんやりしていた印象もあり。
2009.4.30〜5.5読了
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<内容>帆奈、13歳。両親の別居でNYから単身帰国中。日本の学校に馴染めない帰国子女。斗六、28歳。高校時代のある事件が原因で外に出られなくなった、本当はイケメン。叔父と姪、それぞれの「問題」を抱えた二人は一緒に暮らすことになる。帆奈はおじさんを立派な大人にするために、恋をさせようと奔走するが…。
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帆奈、13歳。両親の別居でNYから単身帰国中。日本の学校に馴染めない帰国子女。斗六、28歳。高校時代のある事件が原因で外に出られなくなった、本当はイケメン。叔父と姪、それぞれの「問題」を抱えた二人は一緒に暮らすことになる。帆奈はおじさんを立派な大人にするために、恋をさせようと奔走するが…。
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引きこもりのおじさんと帰国子女の女の子のお話。28は12にとってはおじさんだよね、そうだよね。おじさんまでひどくはないけど若干の引きこもりだから気持ちがわかってしまうよ。やっぱりほんわかするお話でした。
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小路幸也のなかで、おれには残念系だった。
超内気なトムおじさん(若い叔父)と帆凪(ハンナ)のお話。
なんとなくタイトルからほんわか情景ストーリーと思ったが(間違ってはない)、なんだろう・・・期待するものと違った。
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『明治たてもの村』に住む帆奈(ハーフ・両親別居中のため、祖父母のもとに身を寄せる)と高校生のころから引きこもりになってしまった母親の弟・トムおじさん(日本人)とのおはなし。
なんとなく江戸東京たてもの園をイメージしながら読んだ。
『東京バンドワゴン』の語り口調と似た調子でお話がすすむ。
才能がある人にはあこがれる。
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2009.10.30
森林公園の中にある「明治たてもの村」の中のお蕎麦屋さん「八島庵」に暮らす、帆奈ニールセンと叔父の八島斗六のお話。
すごく内気で、高校3年の6月から引きこもりになってしまったトムおじさんは、すごい才能があって、明治たてもの村の建物や家具などの修復をしている。
トムさん、診断名はついていないのかな?そういうんじゃないのかな?
人が怖いのは、自分に自信がないからだ、という。そうなんだろうか?