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黒と赤の潮流 みんなのレビュー

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みんなのレビュー13件

みんなの評価3.9

評価内訳

13 件中 1 件~ 13 件を表示

紙の本

今までと少し趣が異なっていますが、楽しみました。

2009/06/08 18:23

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:紅葉雪 - この投稿者のレビュー一覧を見る

「ヴィズ・ゼロ」「TOKYO・BLACKOUT」とクライシス・ノベル路線で来た福田さんだが、今回はその二作とは少々趣が異なる。

強いて区別するなら、ハードボイルド系、冒険小説に分類される部類……だろうか。本の裏表紙とbk1の「内容説明」によると、「青春海洋冒険サスペンス」とのこと。


舞台は阪神淡路大震災から半年以上が経過した、1995年9月の神戸。
主人公の間嶋祐一は大学生。震災で両親を失った。

その祐一の元へ刑事がやってくる。
彼らは祐一の友人、タイ人のドゥアンの身元確認に訪れたのだ。
実はドゥアンは刺殺体で発見されたのだが、それが何と震災当日のことだった。震災の騒ぎもあって今まで半年以上も身元が確認できなかったとか。
偶然ドゥアンの写真をみた祐一の知り合いから、二人が親しかった事を聞いたという。

祐一もまた、震災の後、ドゥアンが姿を見せないために心配はしていたが、国へ帰ったのかもしれないとも思って積極的に探そうとはしなかった。

そこにはある心理的な事情もあった。

一つは祐一の亡くなった両親が、祐一がドゥアンや彼と同じタイ人留学生のタオと付き合うのをあまり歓迎していなかったこと。震災の前日、父親と電話で話した最後の会話もそれ絡みだった。
父親の言葉がまるで遺言のようにも感じられ、ドゥアンの行方を積極的に捜すのに「わだかまりになって」しまったのだ。

そしてもう一つの理由がタオ。ドゥアンと幼馴染の彼が、やはりドゥアンを探そうとしていなかった。
だからこそ祐一は、ドゥアンは祐一には黙って国に帰ったのだろうと思っていた。どこか不審に思いつつ、タオはその事を承知しているからドゥアンを探そうとしないのだろうと。

問い詰める祐一に、タオはある程度事情を知る様子を見せながらも、口を開こうとはしない。


そのあと。
祐一やタオは、元刑事で私立探偵の古賀やら、何やら怪しげな男たち、そのスジの人間に尾け回されることに。
さらに古賀は驚愕の事実を伝える。
「ドゥアンは俺の息子だ」

どうやらドゥアンが殺された背後には、蛇頭や拳銃の密輸の影がちらつき、さらに20年前に起きた事件、そして孤島に住む大物財界人も絡んでいるようなのだ。

彼らの魔の手は祐一たちにも伸びてくる。
祐一は古賀と手を組み、「仇を討つ」ことに。古賀は20年前の事件にも因縁があった……。

実は祐一は2年前にも失ったものがある。
スプリンターとして国体に出る実力を持ちながら、事故で足を痛め走れなくなり、それから彼は「時間をもてあます」ようになっていた。ボートに凝るようになり、さらにドゥアンやタオと知り合い、三人で「馬鹿みたいな悪さ」もしていたのである。

20年前の事件、それが原因で警察をやめた古賀などの人物の設定、さらに20年前と今回の事件との絡みなどは、この手の話としては『ありふれた』と感じることも無きにしも非ず。
ただ。
どこか『ありふれた話』ではあるが、かなり個性的な登場人物を出すことで、物語にも幅が出ているのではないかとも感じている。

今までの二作は、(あくまでも個人的な感想だが)、後半の『パワー不足』が気になったが、今回はそのような事もなく読めた。

特に主人公の祐一。
彼が、どんどん変わっていく……『復活していく』様子が、ちょっとした彼の言葉や仕草で読み手に伝わってくる。
秀逸なのは、後半からラストにかけてのシーン。
船を操る祐一の内面の描写、そこから続くエピローグは読み応え十分だった。

この作者の今後の作品は、今まで以上に、非常に期待している。

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紙の本

女らしからぬ骨太なミステリ。ただし、どこかで読んだような印象がついて回るのが残念。むろん、東南アジアの人がカギを握るという点では現代らしいんですよ、でもどこか昔の映画を見るような・・・

2009/07/22 19:34

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

福田和代、初めて読む作家です。著者名の平凡さから、もしこの本がハヤカワ・ミステリワールドの一冊でなかったら多分手にしていなかったと思います。げに、早川の名の重さかな、です。でも『赤と黒の潮流』というのも野暮ですねえ、なんだか松本清張の時代に戻ったみたい。でも、デザインは基調となる色がいいので及第点。ちなみに、写真は海沼武史、装幀はハヤカワ・デザインです。

早川本は、カバーの案内が結構詳しいので、今回もカバー後の案内を拝借。

阪神大震災で祐一は両親を亡くした。
何かを亡くすのは初めてではない。超
高校級スプリンターだった彼は二年前
に事故で引退を余儀なくされた。走れ
ない脚は亡いも同然だ。だが、ボート
仲間のタイ人青年ドゥアンが殺された
ことを契機に、凍った祐一の心に火が
つく。背後に浮かぶ蛇頭と孤島に住む
大物財界人の影。いつしか祐一は第二
の脚となった船で大海原に走り出す!
骨太で熱い青春海洋冒険サスペンス。

ちなみに、気になったことがあるので目次を写しておきます。

プロローグ
第一部
インターバル(1992・1)バンコク
第二部
インターバル(1994・8)バンコク
第三章
エピローグ

よく見てください、ま、クレームがいってるでしょうけれど、目次を写していて愕然としました。私の写し間違いではありません。第一部、第二部ときて第三章、と書いてあります。一体どんな仕掛けがあるのかと本文の第三章を開くと、ちゃんと第三部と書いてあります。チェ、単なるミスかよ、しかし目次でミスっていうのは痛いよなあ、なんて思いました。

閑話休題。主人公の間嶋祐一は今年で20歳になる大学生で、二年前、交通事故に遭うまでは20年に一人の逸材と言われていた元超高校級スプリンターです。両親を阪神・淡路大震災で亡くし天涯孤独。足が不自由になってからボートに乗ることを楽しみにしている、ということは分かりますが、天涯孤独で大学生、ボート遊び、っていうのが簡単に結びつきません。祐一のことを気に入り、気前よくボートを貸してくれるのが〈シーウルフ〉の持ち主で、レストランのオーナーシェフの溝渕です。

で、祐一が巻き込まれることになった事件の被害者ドゥアン・ウォラチャットですが、19歳のタイ青年で、震災の時、殺されていたのが発見されました。祐一の友人です。両親は日本人らしいのですが、タイで現地人によって育てられています。実の親にあいたくて来日したとなっています。タオはタイにいたときからのドゥアンの友人で、ドゥアンを追うようにして来日し、その後、祐一の友人となっています。三人でよく遊んでいたものの、友一の知らないところでドゥアンと二人で危ない橋を渡っていました。

もう一人の主人公、といえるのが古賀俊夫です。兵庫県警が暴力団の抗争で忙殺されていた1975年、タレ込みのあった台湾の麻薬ブローカー陳国順を取り逃がし、友人であった高見を半身不随にしてしまった元刑事で、それを契機に警察を辞めています。現在は田辺探偵事務所の事務員ですが、事件との関連で古賀には悪い噂がついてまわります。古賀の後輩で、今でも彼を慕い、協力を惜しまない兵庫県警刑事が松田で、逆に優秀な刑事として有名だった古賀に嫉妬し、今も悪意を持っているのが松田の同僚の語頭です。

そして、古賀の友人である高見聡がいます。陳国順逮捕劇に協力したために半身不随となり、その後、父の後を継いで(株)高見の社長になっています。体は不自由なものの、容姿に恵まれ経営の才能もあることから、或る意味カリスマ的な男と言えるでしょう。京子は高見の婚約者でしたが、事故を契機に婚約を解消し海外に行ってしまった、古賀と高見の二人から愛された女性です。

彼らに、高見の投資コンサルタントで、高見に悪いことが起きないことを願う暴力の臭いがする男・真木良介、漁船〈あけぼの〉丸の船長で、川西弘明の息子や、真木の後輩のヤクザ・岡部、暴力団の長で荒事をこなす一方で、健全な生活をすることをモットーとする男、関西の暴力団楽祐会の組長・野崎健吾、その部下の岡田、高坂、17歳の時、生家を飛び出し台湾流みんの仲間になり、その後、台湾の麻薬・拳銃ブローカーとして成功した陳国順、日本での通名は山口正夫などが絡んで物語りは展開します。

骨太な、という表現はあたっていますが、どうでしょう、今までの和製ハードボイルドを一歩も出ていないのではないでしょうか。正直、これを男性が書いたとして、こもまで注目を浴びたかどうか。話の展開もありがちですし、何より登場人物に魅力がありません。無論、悪くはありません。ただし輝きはない。これだけ筆が立つ人ですから、もっと違った世界を描いて欲しい、そう思います。

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紙の本

復活への道筋

2011/08/20 13:56

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 少し前に、新聞に載った作者の写真を見る機会があった。元気があふれてくるような顔である。
 本当は『タワーリング』という小説にまず注目したのだが、縁があってこちらが先になった。今年4月発行の『タワーリング』が最新作かと思えば、その後2冊の新作が出ている。やはりエネルギッシュである。
 読んでみても元気があふれている。文章は簡潔、あっさりしたもので、つまり、言葉の味わいとか陰影とかで勝負する作家ではない(それでも一番最後はなかなか凝っている)。売りは、小気味よいテンポでエピソードを連ねる物語の展開力だろう。
 『タワーリング』がそうであるように、主としてクライシスノベルの書き手ということになっていて、災害、事故、犯罪、IT、経済危機などの大きな事件を扱うらしい。そこで面白く読ませるには、何よりスリリングな展開ということになるだろう。どれほど衝撃的な事件でも、ただ描くだけで面白いわけではない。面白さには緊迫感がいる。めまぐるしい変化、魅力的な人物像、謎の連鎖。この小説自体はいわゆるクライシスノベルではないだろうが、そうした基本的な要素はすべて備えているように思う。
 見た目は動きが早いアクション主導の物語だが、同時にそれは、たぶんに心理的なドラマでもある。何らかの挫折、あるいは「空洞」を抱えた複数の人物が、それをどう乗り越えるか、というのが基本パタンになっているからだ。時間的空間的背景が、阪神大震災からの復興途上にある神戸周辺というのも興味深い。神戸出身でもある作者が、個人的な祈りをも込めた作品ではないかという気がする。
 いずれ『タワーリング』も読むことになりそうだ。ほかに作風に新しい捻りが加わったように言われる『怪物』も面白そうだ。もしかすると新しい作家との幸運な出会いかもしれない。

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2009/03/02 10:02

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2009/03/16 20:35

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2009/03/30 20:11

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2009/09/26 14:52

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2009/04/20 19:57

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2009/04/29 08:51

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2011/10/03 22:27

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2014/02/12 17:32

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2015/06/05 13:56

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2018/06/09 10:40

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