サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

「e-hon」キャンペーン 本の購入でe-honポイントが4%もらえる ~7/31

hontoレビュー

予約購入について
  • 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
  • ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
  • ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
  • 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。

みんなのレビュー2件

みんなの評価4.0

評価内訳

  • 星 5 (1件)
  • 星 4 (0件)
  • 星 3 (1件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)
2 件中 1 件~ 2 件を表示

紙の本

パトリック・ヘイリーのPotentialとは

2009/08/11 00:12

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、「I am Potential : Eight Lessons on Living, Loving, and Reaching Your Dreams」の訳である。

パトリック・ヘンリー・ヒューズと父・パトリック・ジョン・ヒューズが、
コラム編集者のブライアント・スタンフォードと
共に書き上げた自伝である。

パトリック・ヘンリーは、目がなくて、
手足が変形しているという障害を持って生まれてきた。

義眼をつける手術や体の手術に何度も耐えながら、
心根のたくましい子に成長していく。

類まれな音楽の才能を示し、独特の奏法でピアノをマスターし、
ルイビル大学のマーチングバンドでトランペットを担当する。

パトリック・ヘンリーは車椅子に乗ってトランペットを演奏し、
車椅子を押す父が指示通りのポジションに行進するという方法で
マーチングをこなす。

大学ではスペイン語を専攻する学生だが、
様々なところで演奏会を行う音楽家でもある。

マーチングバンドでの第一希望は、ドラムだった。

パーカッションの音と深く豊かな振動が大好きだったのだ。

だが、彼は、ベースドラムに足が届かず、シンバルに手が届かなかった。

続けざまにすばやく体を動かしてトラムをたたくのも
無理なようだと彼は悟った。

トランペットは第二の選択だった。

彼の腕と手はトランペットを持ってバルブを押すのに問題はなかったのだ。

最初は呼吸ができなくて大変だったという。

彼はまっすぐに立てないが、最高の音を引き出すには深い呼吸が必要で、
スポーツ並みに体力を要したのだった。

ここは、アメリカである。

だから、パトリック・ヘイリーの障害が重いからといって、
特別な配慮が行き届いているというわけではない。

むしろ、彼らが住んでいた家は、かなりバリアフルな上、
雨季には毎年地下室が水浸しというひどいところだった。

それが解消するのは、
まさに、ありえない夢のような偶然が実現したためなのである。

ここは、アメリカである。

だから、挑戦しようと思ったら、チャンスは開かれている。

高校までは、マーチングは、演奏のみで行進はやらなくて良かったのだが、
大学のマーチングの顧問は
ほかのメンバーと同じ練習をして行進にも参加することを要求していた。

しかも、マーチングは、正式なバンドメンバーになるための登竜門で、
当時はバンドに入るためには通らなければならない道だった。

彼らは、マーチングに参加する道を選んだ。

その先には、最大限の賞賛が、
ディズニー・ワイド・ワールド・スポーツ・スピリット賞を
スポーツ選手以外ではじめての受賞するという形で待っていた。

障害の重い子どもがいた場合、
母親が孤軍奮闘しているというイメージがある。

ひどい場合は、父親が子どもの障害に耐えられずに去ってしまい、
母親だけが子どもを育てているということもある。

だが、パトリック・ヘイリーの場合は、
母親が息子のために奮闘するだけでなく、
父親が息子のサポートにかなりの時間を割いている。

母親がフルタイムで仕事を続け、父親が時間の短い仕事に就き、
パトリック・ヘイリーのサポートのために自ら大学に雇われて、
大学のスタッフの支援では足りないところを補う。
(家族の介助は無償じゃなくて、大学に雇われる。
これは、ポイントだと思う。)

マーチングバンドにいたっては、
サポートではなく、まさに2人で1人のような役割を果たす
バンドメンバーなのである。

両親は、最大限に子どものために尽くし、
しかもそれをちっとも苦にしていない。

甘やかすのではなくて、
自分のやれることは自分でやる心を残しながらも、尽くす。

親子ともに、自分のしていることは特別なことではない、
当たり前のささやかなことだとさらりと流せるようにさりげなく語る。

重い障害を持って生きることも、
重い障害のある子をサポートして生きることも、
なんだか自然なことに思えてしまうくらいに。


第1章
 もしも人生がすっぱいレモンをくれたとしても
 それでも受け入れ、感謝しよう

第2章
 君ができることを帰るために
 なんでもやってみよう

第3章
 情熱を注ぎ続けよう
 それこそが人生を決めるのだから

第4章
 君のお母さんが誇りに思うような君でいよう

第5章
 いちばん素晴らしいヒーローは
 きっと君のすぐそばに

第6章
 まず、行き先を決めよう
 そうして、そこへ行く地図は焼いてしまおう

第7章
 惜しみなく与えた愛は
 何倍にもなって戻ってくる

第8章
 毎日、夏休みの最後の日のように生きよう


まるで自己啓発用の物語本のような章タイトルが並ぶ。

いや、このまんまの自己啓発物語があったら、
ちょっと引いちゃうかもというくらいのくすぐったい言葉が並んでいる。

各章の扉には、名言が並ぶ。

第1章から、ラインホールド・ニーバーが引用されているような・・・。

そして、章タイトルになっているパトリック・ヘイリーの言葉が、
章の途中で、囲みで大きな字で書かれている。

やはり、自己啓発本のようだ。

が、読み進んでいると、なじんでしまうのである。

それは、彼らの積み重ねてきた二十数年を表現するのに
ふさわしい言葉たちなのである。

パトリック・ヘイリーは、無理せずとも、
こういう言葉で自然と語るのだろうなと思う。

特別に信心深いとか慎み深いとかいうのではなく、普通の親子なのだが、
彼らがお互いのことを思うと、
障害に対しても家族に対しても感謝の言葉が自然と出てきてしまうような、
そんな親子関係、家族関係を築いてきたのだ。

パトリック・ヘイリーのPotentialは、
音楽の才能とか、障害の克服とか、
彼個人のものだけを指しているのではなく、
人はどんな過酷な状況においても、
お互いを愛することができる存在になりうるという、
親子の、家族のPotenntialをも含むのではないかと感じた。

このレビューは役に立ちましたか? はい いいえ

報告する

2012/05/04 16:28

投稿元:ブクログ

レビューを見る

2 件中 1 件~ 2 件を表示
×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。