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黒猫 沖田総司の死線 みんなのレビュー

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みんなのレビュー21件

みんなの評価3.9

評価内訳

21 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

黒猫が象徴したものとは

2010/05/11 23:44

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:wildcat - この投稿者のレビュー一覧を見る

私は今までいわゆる歴史物、時代物を読まないできた。

書評にも当然ないので、「歴史お嫌いですか?」と
書評仲間に、わざわざ聞かれてしまったくらいである。

嫌いで避けていたというのではなかった。

なんとなく読んでいなかったのだが、
そのなんとなくの理由すらわからないというほどなのだ。

私が本書の存在を知ったのは、イックさんの書評だった。

沖田総司の本をたくさん読んだ上で、
この本に描かれている沖田総司が一番好きと語る
文章はとても素敵だと思った。

短い中に本書への、いや、本書の中にいる沖田総司への
愛情がこれほど凝縮されている文章を私は書くことができない。

さて、こんな私が本書を手にした理由は、
実は、「なんて立派な黒猫だろう!」だった。

そして、なぜタイトルが黒猫で、
黒猫は何を象徴しているのかが気になった。

歴史物、時代物をそんな理由で手にする読者もなかなかいないだろうけれど、
猫が好きだから、仕方がない。

しかも、飼っていないのに象徴としての猫や本の中の猫が好きなのだから。

さて、「黒猫」は冒頭から登場する。

総司が眺めていた瓦の上で日なたぼっこを始めた。

黒猫は総司の視線に気づく。

総司は黒猫を土方歳三のようだと常々思っている。

  毛艶も良いし精悍だと可愛がる者もいるが、忌み嫌う者も多い。

  ただ決して黒猫は人になつかない。

黒猫をこのように描写する。

土方を黒猫と見ている者は、本書では総司の他に二人登場する。

一人は表紙の黒猫につながり、もう一人と土方の縁もまたおもしろい。

  黒猫が動き、近づいて来た。

  総司は目をつぶり、黒猫の気配に集中した。

  どんどん近づき目の前までやって来る。

  斬るか。思ったら障子が開いた。

ここで土方登場である。

文章を読んだときに、まず音がイメージされる作品と
映像がイメージされる作品があるが、
本書はまさに後者である。

が、歴史物を読み慣れていない私にとっては、
人がどんどん斬られていく中で、
時代劇の映像が決して映さないものが
克明に文章に描かれているのは、なんとも言えないものであった。

しかも、彼らは、私の倫理観には全く合わないスピードで
人をあまりに簡単に斬っていく。

そしてその場のセリフがあまりに軽快だ。

まともに映像変換しながら文章を読んでいったのでは、
身が持たない、と思った。

私の頭は途中から画質を落として、
漫画変換に変わった。

しっくりきた。

それでも、私が本書を途中で置かなかったのは、
彼らの行動の核を比較的早い段階で拾うことができたからである。

  「いいか、喧嘩ってのはな、相手を殺そうと思ってやると負けるもんさ。
   てめェが死ぬ気で行かねェと勝てっこねえよ」

これが土方の言葉。

  「自分の死を覚悟することです。斬ろうと思わず斬られる覚悟ですよ、
   やっぱり。そこがワタシと岡田以蔵との違いではないでしょうか」

これが総司の言葉。

この部分がなければ、ただ気に入らないと
どんどん斬っていく人たちにしか思えなかった。

でも、彼らは相手を斬って自分だけ生きようというこずるさはなくて、
覚悟を持っていたということ。

土方は、複数の人間から「黒猫」に例えられているのだが、
総司は何かというと、こんなことを言われていた。

  懐いてはくるけど触ったら噛みつく犬っているだろ。

  総司ってそんなカンジだよな。

総司が人を斬るのは、近藤や土方に喜んでもらいたいというところがあり、
なぜ人を斬るのかを決して深くは考えてはいなかったのである。

おそらく、病を得るまでは・・・。

彼の運命は、労咳を患ったことにより、
そして、ミズに出会ったことにより、大きく変っていく。

もともと人の死も自分の死も恐れていない人だった。

だが、明日が知れぬ身となったことにより、
物の見方が変わっていったのではないかと思われる。

本書の副題の「沖田総司の死線」は「沖田総司の視線」としても良いほどに、
彼は周りの人物達とその本質を見つめている。

総司は、土方と竜馬をこんな風に見ている。

  どんな時も服装に気を使い、洒落者の代表のような土方と、
  髪は魔人のように立ちまくり、胸をはだけ、
  袴は提灯のように横シワが入って左右の丈すら違うのに
  気にもかけない龍馬。

  人をすぐ疑い、自分のことは絶対に見せない土方と、
  人をまず信用し、自分もさらけ出してくる龍馬。

  正反対な二人なのに、なぜか総司には重なって見えてしまう。

最初は、土方と竜馬を正反対と見るのだが、似ていると気づく。

どこが一緒なんだろ……同じなんだよなァと静かに思っているのだ。

本物とそうでないものを見分ける力を持っていた。

それを理窟じゃなくて感覚でつかんでいる。

  いい悪いは分からないが、
  会うと独特の雰囲気と凄味を肌で感じた。

  同じ雰囲気と凄味は近藤や土方にもあるし、
  池田屋で出会った宮部鼎蔵も持っていた。

  そうは簡単に手のひらを返さないぞという固いなにかが核にある。

本物はこのように見えるから口先だけの者にはだまされない。

表面の部分は、ご主人を喜ばすためならなんだってまっすぐにやってのける
純粋まっすぐな犬のようなキャラクターだが、
いやいや、奥の奥は、総司こそが黒猫キャラクターなんじゃないかとも思えた。

そうやって観察していながら、本当の芯の部分は人には見せないのではないかと。

龍馬は総司に問う。

  「おんしゃその剣で、毎日なにを斬っちゅうぜよ!」

そして、先を見通したこの言葉が、とても切なかった。

  逃げて逃げて逃げまくれ。

  逃げることは恥ずかしいなんて、ひと昔前の考えだ。

  これから剣は残らない。

  残りはしないが、「ココは残る!剣のココは残るき!」
  と龍馬は総司の胸を叩いた。

  だから死ぬな。死んではいけない。

そんな総司が心の奥底を語れる唯一の相手が、ミズだったのではないかと思う。

彼らは、同じ労咳を患っていたのだが、傷をなめあうという意味ではなくて、
残された時間が短くても今をともに生きたふたりだった。

そういうふたりだったからこそ、総司がミズに語った
「もし生まれかわったら、もう一度、ワタシと出会ってくれないか」は、
ただ甘いだけの言葉ではない深みを持った言葉に感じられた。

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紙の本

この本を読んで 沖田総司に嵌った

2010/03/23 09:34

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:イック - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本を読んで 沖田総司に嵌った。立て続けに5冊の沖田総司の本を読んだけど この本より魅力的に沖田総司を描いた本はなかった。まだまだこれから 何冊も沖田関連・新撰組関連の本を読みたいと思っているけど この本よりも魅力的な沖田に出会えるだろうか?

 元々小説は好きだけど 歴史モノはどかこ固くて 史実を元にしている分どの本を読んでも大まかなストーリー展開は変わらず小説としての魅力が乏しいと思っていた。でも「黒猫」を読んでそのイメージが変わりました。

 沖田総司が主人公とされている他の物語を手に取ると 書き手によって登場人物の性格が異なり 会話や細かい部分はオリジナルなんですよね。なので違いを楽しむという読み方が出来るようになりました。

 少しでも多く沖田総司について知りたいと思い。知らない一面を知るだびに 違った解釈を見るたびに彼に惹かれてく。若くして病気で亡くなった彼の生涯は波乱に満ちてる一方 ひたむきで潔いとさえ感じてしまう。

 魅力的な自分物だけに ラストが本当に悲しくてツライ。生き生きと動く彼がみたくて また違う沖田総司の本を手にするけど 結局この本にまたもどってしまうんですよね。私はこの本の沖田総司のキャラクター そして生き方が一番好みです。
 

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2009/04/18 22:43

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2009/05/18 22:23

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2009/05/20 22:04

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2009/06/10 00:18

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2009/09/11 01:05

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2009/09/20 03:57

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2009/10/13 23:42

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2010/06/09 13:12

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2011/01/08 23:44

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