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実に重い内容であった。
神戸で「酒鬼薔薇事件」の起こったのが97年。
その28年前に起こった少年による殺人事件のその後を、
被害者視点から、ノンフィクション形式で記している。
少年法に関する問題は、本当に難しいと思う。
加害者の人権を保護し、厚生を期待するのか?
被害者の家族のことを思って、重い罪に処すのか?
日本では圧倒的に後者重視であるが、
犯罪の低年齢化の進む今、後者の比重を高めていく
必要性を個人的には感じている。
使われている国の予算の差もそれを物語っている。
死刑廃止論とも似てくるが、
罪を重くすることで、正直抑止力はないと思う。
本書を読むと、事件後四半世紀経っても、事件の負の
影響を受けている被害者家族の実態がよく分かる。
反論もあろうかと思うが、
被害者の気持ちを優先した厳罰が必要と考える。
あとは、加害者の親の責任をどうみるかという
問題も残っていると感じる。
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高校1年か2年でこれを読んで、
ズドーンと突き落とされた気分になった。
いまでも覚えているのが、
これを読み終わったのが、ちょうど夕食の前で、
読み終わった後すぐに、母親の
「ごはんできたよー」という声が聞こえて
ダイニングテーブルについたんだけど、
なんていうか、
ごはんの味もしなかったし、
いつもはうるさいぐらいに喋る私だけど、
口があんまり動かなかった。
法学部志望の人は必読。
そうでなくても、ぜひ読んでおくべき。
文庫版には、その後の経緯も書いてある。
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何かを題材にした話なのかと思ったら…ノンフィクションだったんですね。
確かに、なぜ殺した方があれだけ保護されるのに
殺された家族は何もないのでしょう?
殺された方は何もかも失うのに、殺された方は何もかも保障される。
もちろん保護法があろうと、もれてしまう情報はあります。
何もないよりは、何かあるだろうものを保護しなくては
という考えもわかります。
けれど、これは差がありすぎではないでしょうか?
読みながら、真剣に考えてしまいました。
結婚しようとした相手がこうなら、恋人がこうなら…。
一人の人間として、という前に、そんなうやむやにした状態には
許せないものがあります。
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犯罪被害者の遺族へのインタビューでほぼ構成。
もちろん重い読後感が残ります。
とは言え、
読んだだけの私はこの感覚を多分すぐに忘れてしまうでしょう。
だけどご本人がたは
この重い鉛のようなものと一生付き合っていかざるを得ない。
その昔、多少のやんちゃをした者として
一線を越えることのなかった幸運を感謝せずにはいられない。
にしてもこのタイトル、深い。
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小説風に書かれたある少年事件のレポート。
加害者の立場にたって書かれた類書は多いが,被害者家族を長年追いかけて,しかも,その生育歴まで辿って追いかけているのは圧巻。
異なった視点で少年犯罪を考え直させられた気がする。また,事件が被害者家族に及ぼす影響力が凄まじい一方で,「更生する」こととは何か?ということを考えさせられた。
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昭和四十四年に起きた未成年による、猟奇殺人の被害者家族のその後。
こんなにも放ったらかしにされたのか。
現代ではどうなんだろうか。
少年Aがその後弁護士になっていたというのは大変な皮肉だと感じた。
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初めて被害者側がどんなに苦しんでいるのかが分かった。描写が詳細で、なんどもつらくて本を閉じたくなったが、法について、現在の在り方につて疑問視できた一冊だった。
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1969年に実際に起きた殺人事件。事件現場の沿線に在住している身としては、40年近く前にそんな事件があったなんて、本書を読むまで知る由もなかった。
被害者の遺族の苦悩を考えるとやりきれない。そして、加害少年(今では立派な中年?初老?)は弁護士として人生リセットしたなんて。
重い内容だけど、こんな世の中を生きていかねばならない今の自分達へ現実を突きつけられた気がします。
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長男を刺し殺され、首まで切断された被害者遺族のその後の生活を追ったドキュメント。
なのに、なぜか加害者の生い立ち読んでる気分になった。
普通の家庭と言うのは幻想?
それとも家庭の壊れ方というのは原因に関わらずにかよるものなのだろうか。
お姉さんに一番感情移入した。
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酒鬼薔薇事件や、この事件の犯人、少年Aの心理について、興味があるし、なぜこんなひどい事をするんだという憤りはあるが、それらは私たちには理解出来ないものなのだろうか。何かの病気だから理解できないと、片付けられるのだろうか...。
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読むだけじゃあ伝わらないものだってたくさんあるんだろうな、と思いながら読了。
読む前に危惧したような、被害者をネタにして加害者を酷評するような本でなくてよかった。被害者の救済とは何かを改めて考えさせられました。それは多分、加害者に自分の罪を思い知らせて被害者に心から謝罪させるところから始まるものなんでしょうね。
弱い親に潰されそうだった娘さんの悲鳴が堪えました。
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とても重い本です。
少年法の改正が絶対に必要だと思います。
友人を惨殺して、その家族を苦しめた加害者が
なんら反省することもなく罪の意識さえないままに弁護士になれる。
絶対に間違っている。
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かのサレジオ事件。
少年法改正前ゆえ、殺人をおかしても、資格取得制限がほとんどなかった。弁護士、医師になることも可能であった。
当該加害者も、弁護士。
あまりにも、凄惨な体験をすると、ひとはじぶんがこわれるのを避けるため、記憶を失するようだ。
たとえば、DVで音が消えるという怪奇現象もそう。
にんげんは意識より無意識の方が、限界を知るということか。
ことあるごとに、考えさせられる少年法改正。
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やりきれない。被害少年は殺害されたのち、首を切断された。胃の中には、好物だったイチゴ。その日、彼の母親が弁当にいれて持たせたものだ。
遺族の無念は、究極的には法がどうこうという問題ではないのかも知れない。しかし、被害者は人生を奪われ、遺族が地獄の苦しみを味わう一方で、加害少年がその若さゆえ「更生への期待」によって法的に守られ、皮肉にも弁護士にまで登りつめたことは、やるせなく、釈然としない。
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あの酒鬼薔薇聖斗事件をきっかけに、似たような出来事があったと再び注目を浴びた28年前の高校生首切り殺人事件。30年近く経った今、あの時の加害者の少年A、そして被害者・加賀美洋くんの遺族は一体どうしているのか?
本書は中立的な立場ではなく完全に被害者側にたって書かれたものであり、加害者の少年に対しては
たとえ詳細に取材できたとしても
Aの「心の闇」を理解できるとは到底思えなかった
ということで、彼のバックボーンや内面に迫るような取材はほとんどなされていない。それよりも、被害者少年の妹や母のその後、妹の手記などが主である。被害者側がどれだけの傷を被り、そして今の少年犯罪への法律にどれだけ問題点があるかというのはよくわかったが、”なぜ”の部分がすっぽり抜け落ちてしまっている本書にはやはり物足りなさや少し不公平さを感じてしまう。少年Aが法に守られた上によりによって将来弁護士という職業につき、のうのうと生きているだけでなく、被害者家族に対しては謝罪がないどころか全く反省のかけらも見つけられない言動を目の当たりにした筆者からすると、当然の方向性なのかもしれないが。文庫版のあとがきには、本書が単行本として出た後の世間の反応や少年Aの動向、そして被害者の母親の手記などが載っているので、読むなら絶対文庫版をオススメする。
更生って一体何なんだろうか。
少年法によって守られた加害者少年少女達は皆、一体どんな生活を送っているんだろう。本当に心を入れ替えて生活している人間が、果たしてどれくらいいるのだろう。