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塩野 七生のローマ人の物語が好きだったので、購入したのですが、とくに英雄などでないため、最初は退屈でしたが、ドンドンと引き込まれていきました。
資源の乏しさ、アンチ・ヒローの国家、宗教からの独立性など千年続いた国家という点など、日本とは抱える構造が似ているため、ベネチアの歴史からは、いろいろと学ぶところが多いです。
英雄による帝国は、英雄の死と共に老化していきますし、システムだけに依存した国家は、個人の勢いで負けてしまうところもあります。
その両方のバランスを考えていた国家だとしても、最終的にナポレオンに滅ぼされてしまうところなど感慨深いです。
おすすめです。
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3巻は同じ海洋国家だったピサ、アマルフィ、ジェノヴァについて、その中でも特にライバルだったジェノヴァについてはかなりのページを使って書いている。後半はヴェネツィアの女性について。両方を通して徹底的にヴェネツィアは現実主義だったことが分かる。奉仕する騎士がその最たるもの。こんなことを思いつくこの国はすごいし、そこをもらさず取り上げた著者もすごいと思う。[2009/07/20]
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中世ヴェネチアの物語。
ヒーロー的存在が少ない中、中世の地中海世界についてよく書かれていると思う。
ただやはり、ローマにおけるカエサルのような圧倒的な存在がいたほうが小説としての面白みは出しやすいんだろうな。
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今までの時系列にとらわれず、ライヴァルジェノバとの対比をする。
枝葉を様々のかたちにしながらも幹を着実に太らせる樹のような、成長の仕方。
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アマルフィ、ピサ、ジェノヴァ、ヴェネツィア。イタリアには
4つの海洋国家があったが、生き残ったのはジェノヴァと
ヴェネツィアの2国。
その2つの国は休戦を挟みながら120年以上も東地中海での覇権を
競い合う。
あぁ、気の遠くなるような年月である。よくも飽きずに戦い続けた
ものである。
航海術でも海軍力でも終始ヴェネツィアを圧倒したジェノヴァ。
地中海最強国の名誉はジェノヴァが手中にするのか。ヴェネツィア、
ピーーーンチッ!
しかし、ジェノヴァには大きな落とし穴があった。それもすぐ足元に。
ジェノヴァ国内で有有力名家4家が2派に分かれて内ゲバを繰り広げた
から、さぁ、大変。ヴェネツィアと雌雄を決する場合ではなくなった。
最終的には個人の力に頼るジェノヴァではなく、盤石な組織力を誇る
ヴェネツィアに
軍配が上がる。
「共同歩調など取るなら死んだ方がまし」
こんなジェノヴァも魅力的ではあるんだけどね。
ジェノヴァの自滅とはいえ、地中海最強の敵を下したヴェネツィア
だが、まだまだ安心は出来ないのだよね。
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第3巻は、第6話ライヴァル、ジェノヴァ、第7話ヴェネツィアの女となっている。
共和国一千年の間には、色んな国難があるのだが、ライヴァル、ジェノヴァとの戦い、休戦、戦いの歴史が描かれている。
一匹狼、天才肌のジェノヴァの商人の気質、戦い方、政治のあり方と神よりも国益のために一丸となるヴェネツィア商人との比較が解りやすく描かれている。
そして、商人に妻である女性がどのような生活をしていたのかも描かれている。
共和国が一千年も続いたわけのいったんが面白おかしく描かれている第3巻である。
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戦いの話になってくると、俄然おもしろくなってきたりする。女達のゴシップに近いような話になると、ますますおもしろくなってくる。
ヴェネチィアの女達は、結局は飾り物であったのだろう。それなりに幸せな生活だったとは思うけど、まあそれだけのことだったような感じがする。ただ、外出がちの夫に変わって妻をエスコートする若者のシステムは、ちょっと考えされられた。
戦いの話に関して言えば、ディテールを細かく書いていないのが残念。個々の戦闘ではなく、大きな国家システムが大きな勝敗を決めた、という趣旨だから仕方がないのだろうけど、案外そういう戦闘のあり方に出てきてしまうキャラクターのようなものがあるわけで、そこはほしかったような気がする。
あくまで組織として動く国と、個人主義の寄せ集めみたいな国では、前者が勝つのはある意味当然だろう。が、今回は敵役であった後者も、実は結構魅力的だなあと読んでいて思った。
2009/9/5
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ヴェネツィアVSジェノヴァの戦争、ヴェネツィアの女たちの話が中心。同じ商人でも全く異なる両国の差がこれでもかと言うほどに分かる。
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ヴェネツィアの最大のライバルはジェノヴァだった。海洋国家として地中海の制海権を握ろうと、両者は対立する。個人主義で天才肌のジェノヴァ人に対して、リーダーを立て国として一丸として立ち上がったヴェネツィアが、最終的に勝利を収める。
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○天才・個人集団ジェノヴァとの比較
・実力伯仲
・講和の後の政体の違い
○遠く離れる夫の代わりの「奉仕する騎士」
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ヴェネツィアのライバル、ジェノヴァとの四回に渡る戦争とヴェネツィアの女たちについて。性格の異なる登場人物の切磋琢磨の成長物語は数あるが、これが国家規模かつ理由が貿易のガチンコの潰し合いだというところに凡百の物語にはない面白さを感じた。
ヴェネツィアの女たちは、当時のヨーロッパでモードの最先端をいっていたという。究極の美を追う女たちは、なぜフィレンツェの女たちとは違ったのか。また、ヴェネツィアの女たちがなぜ歴史上ほとんど登場しないのか。ここにもヴェネツィアの徹底した現実主義が垣間見える。
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地中海の制海権を握ろうとした海洋都市が次々に現れ、なかでも最強のジェノヴァとヴェネツィアとの争いに焦点が当てられている。ヴェネツィアは国家に対する忠誠、共同体意識が強く、ジェノヴァは個人主義のるつぼという対比がおもしろかった。後半はヴェネツィアの女性の政治参加には神経質なほど警戒的だった話が書かれている。本書で紹介されている、「カヴァリエレ・セルヴェンテ」「奉仕する騎士」の制度は信じられない思いで読んだ。「だからこそヴェネツィアは持ちこたえたのです!」だと。
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ヴェネツィアとジェノバの地中海をめぐる戦いが描かれている巻です。
ジェノバの様にいくら軍事力が強くてもそれだけで相手の国を滅ぼすことは難しいのですね。何が必要なのかというと、安定した内政の力。これが無いと国を永らえさせることは難しく、長い戦いを国体として続けることができない。
とはいえ一歩間違えたらヴェネツィアは滅ぼされてしまうギリギリのところにいたわけで、やっぱり軍事力も大事なのだな、とは思いましたが(笑)
面白かったのが海賊行為とアンチ海賊行為のゲームバランス。商船団一つ一つに十分な護衛を付けると軍船がいくらあっても足りない。ヴェネツィアはそれで守りが中途半端になってしまいジェノバにいいようにあしらわれるし、ジェノバに対する海賊行為に振り分ける軍事力も余っていないのでジェノバの交易を邪魔することも出来ない。
最終的にはヴェネツィアもジェノバ式の運営を行うことになるのですが、攻撃は最大の防御を地で行く話だな、と妙に納得した。こうなるとたまに襲われる商船は運が悪かったねとなるのだが、こういう大義の為の小さな犠牲を今の時代は許容するかというとなかなか難しいものもあり。
などと色々考えさせられる面白い巻でした。
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当時の海洋都市国家はヴェネツィアだけではなかった。アマルフィ、ピサ、そしてジェノヴァ。
「四つの海の共和国」と呼ばれ、現代のイタリア商船旗の中央に当時の国旗が描かれている、その国々は次第に淘汰されていく。
最後に残ったヴェネツィアとジェノヴァ。そしてこの2国間で地中海の覇権を巡る熾烈な戦いが繰り広げられる・・・。
第3巻はヴェネツィア以外の海洋都市国家の紹介、そして最大のライバル・ジェノヴァとの戦いの歴史を3分の2ほどを費やして記述し、残りはヴェネツィアの女性たちのことを詳しく紹介していました。
当時の政治や文化を細かく紹介しているところは、流石としか言いようがないです。
「ローマ人の物語」が基本的に編年体で書かれていたのに対して、本著シリーズは各話単位で記述されています。
ヴェネツィア誕生から衰退までが、色々な視点で描かれていくので、「ローマ人の物語」とは違った面白さ・楽しさがあります。
次が楽しみです。
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封鎖されたヴェネチアの一致団結っぷりが熱すぎて鳥肌立つ!と思っていたら、新宿を乗り過ごし、代々木で引き返す羽目になった。代々木には浴衣姿の女の子たちが大勢いた。