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フランス郷土菓子の大家、大森由紀子氏のエッセイ
2009/07/21 23:22
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mikimaru - この投稿者のレビュー一覧を見る
大森由紀子氏の新刊が出ると聞いたとき、迷いなくレシピ本だと考えた。氏のレシピ本は何冊か持っていて、どれも役立つものだが、今後に関しては吟味しないと似た内容があるかもしれないと、今回も急いで読むつもりはなかった。
だがあるとき、買い物の途中に寄った書店で本書を見かけ、エッセイ集だと知った。フランスに初めて料理留学したときの経験から、その後の滞在や思い出話などがあれこれつづられているようだ。そして写真もレシピもいっさいない。そうとわかると、とたんに興味がわいた。
20代後半にしてフランスへの最初の留学(ル・コルドン・ブルーで2年間におよぶ料理とお菓子の勉強)を決意し、現地でどんな体験をしたか、気に入った店に研修を申し込み学生の身分で働いたこと、そうした日々が現在のどんな人脈にむすびついているか——。
読みながら、わくわくさせられた。記憶をひもときながらつづる文章は旅情に満ち、その土地にちなんだお菓子紹介には手を抜かず、ところどころに適切なイラストもはいる。
実に読みやすく、菓子好きにはたまらないエッセイだ。
さて、読み終わってからわかったが、表紙の言葉には、実は「引っかけ」がある。
> キッチンにいつでもあった
> お母さんが作るブリオッシュ。
> 朝ごはんに、おやつに
> いつも食べていた。
これは著者の経験でも、文中の表現でもない。かなり目を引くので、もしや著者の子供時代の話も出てくるのかと想像していたが、編集部の方が考えたキャッチなのだろう。該当すると思われる原文はここだ。
P.197最終行
> だが、そのお菓子とは言い切れないほどにボリューミーなブリオッシュ菓子は、朝食にもなるし、子供たちのおやつにも、ときには家事を終えたお母さんの昼食になるかもしれない。要するに、台所にいつでもあって、いつでも食べていいお菓子なのだ。
編集の方に、やられたと思った。全体を通じ、大森氏はご自分の私生活をほとんど書かれていない。お嬢さんが何度かフランス滞在に同行したという記述がある程度で、ご自身の母上は一度も登場しない。タイトルにある「ママンの味、マミーのおやつ」とは、具体的な誰かではなく、幅広くさまざまな人にとっての「おふくろテイスト」を表現したかったゆえの言葉ではと想像する。
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