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主人公リュウの傍観者としての視点は、しつこいまでの描写である。臭い、色、痛みがリアルに伝わってくる。
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麻薬にもセックスにも溺れてないけど、なんとなく分かる世界。まだ垢抜けない若者のアンニュイさが伝わる。孤独で儚くて美しいと思う。
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村上龍は、本を読む行為に魅力して引きずりこんでくれるだけでなくて、現実をきちんと生きようとさせてくれる作家。現実を生きたひとの文章に感じる。そういった点、村上春樹とは違う。村上春樹の方が現実に揺り動かされる描写が多いのに、どうしてだろう。(現実に彼らがどう生きているかと、わたしがどちらを好むかは関係ない)
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【村上龍のデビュー作品!】
村上龍のデビュー作品ということで、
どんなものだろうと読んでみたものの・・・・
んー、ドラッグやセックスの描写、複雑な人間関係に読む気が失せ、途中で断念。。。
ちょっとマニアック過ぎるのかもしれないですね、テーマ的に。
最後の方はきっと面白い展開になるのでしょうが、あまりに汚い内容に耐えられませんでした・・・。
そういうのに慣れている方、きっと面白く読めるのではないでしょうか。
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山田詠美著『タイニーストーリーズ』の一編「クリトリスにバターを」が『限りなく透明に近いブルー』の第一稿タイトルを使ったものだと知り、こちらも再読。初読は19か20歳の時。大学の友達と感想を話し合ったのを覚えている。
ドラッグ・セックス・暴力に明け暮れる横田基地の若者たち。その荒廃した生活が、今なら問題となるであろう表現も含め鋭い言葉で綴られており、あまりにリアルであたかも自分が乱交パーティの只中に居るかの如き不快感を共有してしまう。綿矢りさが巻末の解説で「作家と読者が互いの頭のなかにまったく同じ映像を思い浮かべる」文章力と讃えていたが、昔の芥川賞はずいぶん過激だったんだなと。最後に残ったのはリュウの喪失感か。
リュウとリリーがラリってドライブしたとき鉄条網で車体を傷つけ、凹まなかったけど塗装が高いと話していたところなんかが以前は印象的でよく覚えていた。
それにしても山田詠美と村上龍の小説は、足を踏み入れてはいけない世界を覗いてしまったような後ろめたさをいつも読後に感じさせる。
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個人的に、映画にせよ小説にせよ、パーティピープルものが基本的に苦手だから、決して面白いものではなかったが、
よくもまあこのノリで一行目から最後までこうも巧くまとまったなと感心した。長さが素晴らしい。
綿谷りさ氏の解説が、何ともしっくりきた。
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文章自体がラリってる。
「面白いかつまらないか」以前に、生理的に受け付けない。無理。課題図書だったから読めたものの、一体何度投げ捨てよう、と思ったことか。凄い作品なんだろうし、それは文章からも伝わって来るのだけど、壊滅的に自分には合わない。
きっと僕がまだ未熟なんだろうね。かといって、じゃあ何年後かに再読しよう、とは微塵も思えない。
芥川賞受賞の際にも揉めたらしいが、確かに好みがはっきり二分する作品だと思われる。
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この本で社会に衝撃を与えた村上龍。
主人公のリュウの傍観者のような視点に、社会は"現代の若者"観を投影した。でも本当にそうなのか、と僕は思う。ていうか、この本の登場人物に総体的な若者観は適応できないでしょ。
いや、それでも読んでて思ったことが一つある。この本が現れたのは1978年、つまり35年前だ。それは2013年の今からみると遥か昔の感が僕にはある。まだ生まれてもない。
そんな僕らが、これは若者の一般的姿じゃないよねって言っても、自信を持てない。昔は野蛮だった、カオスだった、洗練されてなかったっていう印象を持つのが多分当たり前のことだから。どこかで、昔ならこれくらいの破壊的衝動が許されたのじゃないか、と思ってしまう。その点で、この本は昔を表す資料的なものになりうるのかもしれない。ただ今も読み継がれるこの本、脈々と生きている感もある。
不思議不思議。
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あなたが何かを見よう見ようってしてるのよ、まるで記録しておいて後でその研究する学者みたいにさあ。小さな子供みたいに。実際子供なんだわ、子供の時は何でも見ようってするでしょ?赤ちゃんは知らない人の目をじっと見て泣き出したり笑ったりするけど、今他人の目なんかじっと見たりしてごらんなさいよ、あっという間に気が狂うわ。p69
青白い閃光が一瞬全てを透明にした。リリーのからだも僕の腕も基地も山々も空も透けて見えた。そして僕はそれら透明になった彼方に一本の曲線が走っているのを見つけた。これまで見たこともない形のない曲線、白い起伏、優しいカーブを描いた白い起伏だった。
リュウ、あなた自分が赤ん坊だってわかったでしょう?やっぱりあなた赤ん坊なのよ。p84
影のように映っている町はその稜線で微妙な起伏を作っている。その起伏は雨の飛行場でリリーを殺しそうになった時、雷と共に一瞬目に焼きついたあの白っぽい起伏と同じものだ。波立ち霞んで見える地平線のような、女の白い腕のような優しい起伏。
これまでずっと、いつだって、僕はこの白っぽい起伏に包まれていたのだ。
血を縁に残したガラスの破片は夜明けの空気に染まりながら透明に近い。
限りなく透明に近いブルーだ。僕は(中略)このガラスみたいになりたいと思った。そして自分でこのなだらかな白い起伏を映してみたいと思った。僕自身に映った優しい起伏を他の人々にも見せたいと思った。
主人公のリュウは、仲間の暴力や薬をただ呆然と客観的に見ている。そして
‘‘赤ん坊”のように全てを見ようとしている。大人は見る必要のないものは自分から目を反らすことで自分を守る。現実の世界には見たくないもの、見る必要のないものまで沢山存在していて、リュウはその全てを見ようとするから苦しんでいる。
p84の‘‘白い起伏”とは見る必要のないものを覆ってくれるものであり、全てが見えてしまう‘‘透明な世界”から自分を守ってくれる。
最後の分のガラスの破片は、本来なら透明なので全てが透けて見えてしまうが、血が付いていることで‘‘白い起伏”が生まれ、見る必要のないものからリュウを守ってくれた。
限りなく透明に近いブルーとは、
全てが見えてしまう‘‘透明な”(赤ん坊の)世界、残酷なこの世界を‘‘白い起伏”(大人になら目を逸らすこと)で少しだけぼかし、この世界で行くていけるようにすることだ。
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リリー、鳥を殺さなきゃ俺が殺されるよ。
ぴったりハマる時期に読んだら大変なことになってただろうなと思う。
単純に気持ち悪いなと思ってさらっと流し読みしてたけどラストはぐいぐい飲み込まれそうで怖かった。
リアル、というのは少し違うけど生々しくて妙に力を持った文章を書く人だ 。怖いからあまり近寄りたくない。
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「リュウ、あなた変な人よ、可哀想な人だわ、目を閉じても浮かんでくるいろんな事を見ようってしてるんじゃないの?」
ドラッグ、セックス、嘔吐、暴力で彩られた本。
解説を読むまでは、なぜこの本がこのように高く評価されているのか分からなかったが、綿矢りさの解説によって初めてこの本の本当の意味での素晴らしさに触れる事ができた。イメージを喚起させる文章、外見は健康に見えても内面が破壊されつつある主人公、鳥と町と彼自身の関係性、これらは確かに綿矢りさの解釈が正しいように感じた。
p72 からp88までの、リリーとリュウの会話はとても引きつけられるもので、この部分だけでも村上龍の文章力が優れているとわかる。
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ドラッグとセックスと嬌声が音楽に彩られる米軍基地の街。
退廃の日々に空虚さを超えた希望を見出す物語。
汚い描写と美しい描写の強弱が強烈でした。
汚い描写は吐き気がするくらい生々しく、美しい描写では森林でクラシックを聞いている感じで。
でも正直、難解な印象でした。
ほかの方の感想で綿矢りささんの解説のことが書かれてて、私は読んでなかったので今度読んでみよう。
社会現象を起こした作品に興味ある方にお勧めです。
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限りなく透明に近いブルー/村上龍 / 2010.2.25(7/32)
この本を知ったきっかけ:日経新聞土曜日夕刊。村上龍を世に知らしめた一冊として関心。
芥川賞受賞作品だが、往々してありうるのが、受賞作品が面白いか、読むに値するかは別の話ということだ。この本も例外ではない。
酒、薬、わけわからんプレーが永遠と続いて、気がついたら終わったという感じ。何がいいたいのかメッセージ性がない?
題名が南の島のダイビングを思わせるような。ようは、気がついたら結構深くもぐってしまうという危険。文中のドラックはまさにこのことか。
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爽やかなタイトルとは裏腹に
ドラック、暴力、セックス・・・。
縄張りに徐々に去っていく仲間と
そして壊れていく主人公
もの凄いデビュー作だな
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息苦しそうに快楽に溺れる若者たち。
歪んだ顔、濁った目。澱んだ水はどんどん腐る。その様子がたんたんと語られる。
それはきっと貧しい時代の醜い汚れ。