投稿元:
レビューを見る
タイトルがまず良い。
そして内容がとても充実しています。
各章の本文だけでも、とても読み応えがあるけど、補論や注釈も面白いです。
不破氏のマルクス研究の集大成で、しかも初心者向け。いや初心者から研究者まで必携の書ですね。
マルクスを20世紀初頭に応用したのがレーニンの「帝国主義論」なら、
マルクスを21世紀初頭の世界に応用したのが本書ではないでしょうか。
現代への応用というだけでなく、応用する以前にマルクスとは何なのかを、まったく知らない人にも基本から説明してくれます。
よくある共産主義への誤解も解消するでしょう。
投稿元:
レビューを見る
マルクスを知るとっかかりとしておすすめ。
著者は共産党の幹部を務めたような人だから、左によっているのは否めないけれど、わかりやすい。
1)唯物論
2)資本主義の病理
3)未来の開拓。
の3部。
唯物論の章は科学の話が多くて、「科学もミクロに迫っているのか」というのがなんだか印象的。
初めて経済史に目を向けたのもマルクスだったんだよねー。
これは世界史でやったようなw
資本主義の病理の章が最も面白かった!!
利潤追求が第一だから、労働者を搾取するが、そうすると労働者の消費能力も生産能力も落ちて矛盾するのでは、ということ。
また、恐慌が起こるメカニズムというのも興味深かった。
環境破壊も利潤第一の資本主義が引き起こしたもの…なるほどねー。
環境対策をやりたいために経産省志望の友達もいるくらいだし、経済と環境は切り離せないよね。
未来開拓の章。
ソ連崩壊とともに社会主義は終わった、なんて言われるけれど、そもそもソ連の「社会主義」はマルクス主義とは違ったものであり、新しい社会主義の動きがあること。
今まで共産主義とソ連の政治体制すらごっちゃになっていたような私で、いかに知らなかったのかわかった。。。。
この本をよんで「打倒資本主義!」なんて思わない(し、著者もそれが目的ではなくマルクスを知ってもらうために書いたんだろう)けれど(笑)
共産主義を議論できるくらいに知識を仕入れようとは思えた。
「資本論」読もうー。
あと右側からみた共産主義についても知りたい(笑
投稿元:
レビューを見る
いわずと知れた、日本共産党元委員長不破哲三氏による、マルクスの入門書。
「科学的社会主義」の理論のエッセンスが、キッチリと詰まっている本です。
これしっかり読んでおけば、科学的社会主義の入り口としてはバッチリなんじゃないですかね。
投稿元:
レビューを見る
マルクスというとかつては人類の希望だったものの
政治的な独裁や流血をもたらした政治思想の生みの親だという印象が強かったのだが
これを読んでマルクスはいかに社会的な不平等から人間を解放するかってそこだったんだね
マルクスの説い共産主義は実は地球上に存在してないんだね
空想論なんですかねやはり。。。
投稿元:
レビューを見る
本書は19世紀の大思想家マルクス(1818生-1883没)の思想や目指した未来社会像を、専門家ではない一般読者向けに少しでも理解してもらえるように噛み砕いて説明した読み物である。
内容は3つの独立した章からなり、自然科学的観点から、経済学的観点から、政治経済的観点からのアプローチになっている。思想家マルクスを取り上げた書物で自然科学的立場から記述された章が設けられていることは意外であり、興味を益々深くする効果があった。
「マルクスは唯物論者で、弁証法の達人だった。」これは著者のマルクス像の理解を表現する一部であり、確かにそうなのであろうと思うが、これが正に自然科学の19世紀末から現代に至るまでの発展・変遷が「唯物論」「弁証法的理解」の確からしさを強めていく歴史であったことを物語っていることを説明していく。
「弁証法」なる言葉の定義は、様々あるようだが、簡単にいうと、物事を動的にありのままを理解する方法が弁証法であるとしている。日本にも800年前に作られた方丈記という古典があるが、その冒頭「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず・・・」は「弁証法」という概念は意識されなかったかもしれないが、それに該当する理解を無意識の内に見出していたのであろうか。
現代生物学でいえば一昨年「生物と無生物のあいだ」という書物が出版されているが、これがまさに動的に物事を理解することを十二分に説明した書物の一例であろう。
その他、100年前の物理学の危機として古典力学の行き詰まりから量子力学の誕生があったわけであるが、これもまさに静的なるものから動的なるものへの変遷を代表していると言えるであろう。
経済的観点、政治経済的観点からの紹介は本書に譲りたいと思うが、一言だけ付け加えると共産主義は決して市場経済を否定していない。世間一般に広く浸透している共産主義(社会主義)のイメージには少なからず誤解が含まれていることを説明している。また、共産主義社会とは資本主義社会のいい面を吸収し、悪い面を克服した次世代の社会システムと位置づけている。さらに、旧ソ連は共産主義国ではなく覇権主義・専制主義の巨悪であると断じている。著者自身が元日本共産党委員長であった為難しい所かもしれないが、中国が覇権主義国なのか共産主義国なのか触れていなかったことは少し残念であった。少なくとも人権蹂躙、言論弾圧という中国の実態から推察すると、本書で説明されている共産主義と現代中国は別種の世界であろうと思われた。
一般向けに記述された読み物であり、限られた紙面で様々な説明が加えられている為、一定水準の知識背景がないと誤読しそうな部分もあるが、仔細の勘違いの可能性は了解した上で概観を掴むのには良書ではないだろうか。
投稿元:
レビューを見る
最近注目されている、マルクスを不破哲三は熱く語ります。
マルクスを扱えば当たる、不破哲三が扱えばもっと当たる、その読みも当たってるようですね。
知ってると思う人も、初心者も、面白く読めると思います。
投稿元:
レビューを見る
詳細は後ほど。
いわゆるマルクス経済学についての入門書として活用できると感じた一冊。
平易な文章で表現されているのでいいかも。
平凡社新書で出るとは…驚きです。
ただ。
これだけマルクスがヨイショされていると、マルクス以降の思想家なり運動家なり経済学者なりは何をしていたんだ?ということになると思うのだが、どうだろうか?
やはり教条主義から抜け出せないのか…
思考停止すると悩まなくても済むか…
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
十九世紀最大の思想家とされるカール・マルクスは、『資本論』などの著作によって世界を動かす影響力を後世に及ぼした、この知の巨人を「唯物論の思想家」「資本主義の病理学者」「未来社会の開拓者」の三つの側面からとらえ、混迷する二十一世紀のいま、彼が的確に予見したものとは何かを探る。
[ 目次 ]
第1章 唯物論の思想家・マルクス(唯物論は現代の常識 弁証法の方法と自然の全体像 社会観-マルクスは何をもちこんだか)
第2章 資本主義の病理学者・マルクス(マルクスは「搾取」の秘密を解きあかした 労働者の苦難の根源をついて 資本主義の「死にいたる病」-周期的な恐慌 窮極の災害-地球温暖化)
第3章 未来社会の開拓者・マルクス(未来社会への変革のカギは? マルクスの未来社会論の特徴点を見る ソ連とはいかなる存在だったか マルクスの展望と現代の世界)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
タイトルを見て思わず手に取った
某宗教の人が見たらどう思うことだろうか(笑
日本共産党のお偉いさんが書いた3つの切り口からマルクスについて触れた本。
そういえば、マルクス思想、共産主義とは何かということに詳しく説明できない自分がいたので、一読してみた。
何十年も前に日本の学生が運動を起こし、夢見ていた理想とは何だったのか。ソビエト、中国、北朝鮮とは何なのか。
共産主義は未来の社会なのか、それとも過ちなのか。共産主義は復活するのか。
著者によると、ソビエトの政府はマルクスのものと全く違っていたものであって、また同時にマルクスが予見していた真の共産主義に移る際に現れる独裁体制だということ。
まあ、どちらにしろ、相当「左」です。
・唯物論の思想家マルクス
人間が生まれる前に地球があったことを認めるか
人間がものを考えるとき脳の助けを借りているか
他人の存在を認めるか
この3つの質問にYESと答えたら、立派な唯物論者だそうです。
ただ、人間の存在、精神の活動さえもをすべて物質だけで捉えて、「ザッツ・オール」としてしまう立場にはどうしても「?」を投げかけざるを得ない。
・資本主義の病理学者・マルクス
資本主義の搾取の仕組み、バブルや恐慌がなぜ起こるかということに関して。あと、資本主義の利潤第一が環境を破壊しているということなど。
本書のメイン部分で、資本主義の批判が大半。
・未来社会の開拓者・マルクス
ソ連と、マルクスの目指したものは違うということ。
割合、最近の本で、リーマンショックなど今の世界の状況に即して語っていて興味深かった。
投稿元:
レビューを見る
日本共産党の書記局長・委員長を歴任した著者が、現在の社会・経済状況とからめつつ、マルクスの思想とその可能性を語った本です。
第1章では「唯物論の思想家」としてのマルクスが、第2章では「資本主義の病理学者」としてのマルクスが、第3章では「未来社会の開拓者」としてのマルクスが、それぞれ紹介されています。
現代のグローバル資本主義が抱える問題についての解説には、一部同意できるところもありましたが、本書からはマルクスの魅力があまり伝わってこなかったように思います。社会構造が流動化する現在に対応できるような、しなやかなマルクス像を示すことに成功しておらず、どうしても教条的な叙述に終始しているように見えてしまいました。
投稿元:
レビューを見る
十分理解できなかったが、ところどころなるほどねと思うところもあった。
・労働者が資本家に売っているのは「労働」ではなく「労働力」、それにより「余剰価値」が生まれる
・有給休暇は闘争で獲得した大事な社会的権利
・その時点での到達点に安住しない。対象を全面的につかむために理論の発展をどこまでも追及する
・唯物論的考え方
など