さらにこの後成長した達也の物語が続く
2016/03/16 06:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:クマチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
少年の日の一ページとしてこの一冊を読むも、良し。大人になっていく達也の成長を、その後のそれぞれの物語で読むも良し。ナオミとは不思議な縁でこの後も再会を重ねます。
江戸時代の身分制度の後遺症
2017/05/26 23:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代にエタヒニンなどという身分が創設され、差別され続けてきたという部落問題。昔はかなり問題になっていたのであろう。
ナオミが人殺しの子であるとしてクラスから浮いているという状態は始め、犯罪者家族の辛さを描くものなのかと思った。東野圭吾の『手紙』では、強盗致死を犯した兄を持つ主人公の理不尽な社会からの扱いに対する苦悩が描かれていて、考えさせられるところが大いにあった。それに近いのかと思っていたら、人殺しといっても死刑執行人とのことである。現代人は死刑執行人を父に持つ子供に対して偏見を持つだろうか。主人公カズヤが、ナオミの父が死刑執行人ではないかと疑い始めた頃、偏見にまみれている様子が描かれていて、それを安子ねえによって解消させられている。そして差別に疑問を持ってというストーリーである。しかし現代人である私には、そのようなことで偏見を抱いてしまう人間の感覚を理解することができなかった。そこらへんにリアルさを感じられなかったのである。
本当の悪は直接いじめを実行しているノリオではなく、問題を表出しないようにとしか考えていない教員達だというのは、現代でも一緒であろう。そもそも‘いじめ’という言葉自体が軽いものにしてしまうため、もっと犯罪性を表す言葉を用いたほうが良いと思っているが、いずれにせよ、いじめ問題はそれを実行している人達以上に、見えない振りをしている教員達こそが悪質だ。それは昔からそうであったのであろう。
投稿元:
レビューを見る
小学生の少年が転校先で得た友人達二人とともに、根深く残る差別、いじめ、大人の押し付けに抗いながら成長する一夏の物語。
昭和40年代のややノスタルジックな雰囲気と、当時の少年達の純粋な心に触れることの出来る作品。
子供だからこそ感じる理不尽さや無力感。それでも立ち向かおうとする力強さがまぶしい。
読んだ後にもの寂しさと温かさを感じさせ、思わず自分の事を振り返ってしまう小説でした。
投稿元:
レビューを見る
自伝なのかフィクションなのか?大人になって子供を振り返るスタンスで描かれる作風には読者として安心して読める雰囲気がある。悔しさも悲しさも誇らしさも甘酸っぱさも経験し大人になったからこそ振り返れる当時。
あの頃があったからこそ今の自分に誠実に向き合えるといった作風は凄くいいな~と思う。
投稿元:
レビューを見る
少年の日の思い出的な作品かと思って読み始めたら、そんな単純な話ではなかった。部落差別の町に引っ越してきた少年が、差別に巻き込まれ・・・という話。差別やいじめ、先生の無関心など、重いテーマで、考えさせられた。部落差別の存在は知っていて、差別が今現在もあることも頭ではわかっているけれど、実際に差別に遭遇したことのない私に何か言う権利なんかないのかもしれない。けど、子供らしく、差別は正しいことじゃないと言い切る主人公達を応援したいと思う気持ちは間違ってないと思う。差別をする側には回りたくないし、自分の子供にもそう教育するつもり。でも、そんな簡単なことじゃないんだろうな・・・
投稿元:
レビューを見る
爽やか。
子供の頃の、いじめいじめられ、を思い出す。どっちにも子供なりの論理があるんだよね。
和也の父。遠くから丸。素敵な態度。
投稿元:
レビューを見る
いじめと差別。小学生の主人公の目を通してみる、社会の歪みの縮小版。友達を通して、真実は何なのか、正義を貫く様子は痛感に気持ちがいい。振り返れば、きっといい少年時代。
投稿元:
レビューを見る
私は作者と同い年、そして仙台生まれ仙台育ち。
仙台市内の地名町名などを思い浮かべながら少年時代を思い出しました。
投稿元:
レビューを見る
自分の中にある正義、それに気付く事とそれを貫く事。
少年がこれに迷いなく邁進していくさまが、とっても気持ちよかった。
良質な一冊。
投稿元:
レビューを見る
最近ハマっている熊谷達也
文章が優しくて丁寧な言葉使いでお行儀のイイ文体という感じ
お話しは、少年時代の思い出。転校してきた和也が、差別やいじめを体験するお話し。子供ならではのキラキラとした視線があって正義があって。。。間違いに立ち向かおうとする。
放送室を占拠して自分たちの思いをぶつけたビラを屋上からまき散らします。だからって、何かが変わったわけでもないけれど。
投稿元:
レビューを見る
部落差別やいじめなど、考えさせられる内容もあるが、子供たちの世界が生き生きと描かれていて気持ちが良い話。その後の話もぜひ読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
主人公よりも同級生のユキヒロとナオミが気になります。因習という本人たちには関係のないことが、小学生までも巻き込んでしまう。理屈では分かっていてもなかなか変えることができない世界。子供たちの純粋な気持ちが重い内容をさわやかにしてくれる。続編「モラトリアムな季節」に期待!
投稿元:
レビューを見る
同和問題を扱った作品です。とは言うものの、主題はむしろ少年の成長の物語でしょう。
良い話です。いじめがあり、友情があり、淡い恋があり、生き生きした中にどこか照れくささや懐かしさもあります。安子ねえ、沼倉のおんちゃんと言った脇役も個性が際立っているし、主人公の3人の少年少女も見事に描かれています。そして、彼らが最後に起こす行動は痛快で、どこか寂しい終わり方にも好感が持てます。
それにしても、熊谷さんはえらく幅が広がっていますね。デビュー当時は東北と動物の作家さんだと思っていましたが、時代物を書いたり怪奇物を書いたり、こうした少年物を書いたり。あまりに幅を広げ過ぎていなければ良いのですが。
投稿元:
レビューを見る
よく噛み締めて読む小説なのかもしれない。
普通に読み進めて楽しめたけど、サラッと読み終えてしまったのが、これで良かったのかな?と。
タイトルももっとインパクトあるほうが、と思いましたが、これでいいんでしょうね。
投稿元:
レビューを見る
著者の実体験に基づく小説。
昭和40年代。小学生五年生の主人公は、父の仕事(当時まだ地方では珍しかった塾の経営)のために宮城県の地方都市から仙台市に引っ越す。彼が住んでいるところは実は被差別部落の人々が住む場所だった。
そうとは知らずにヒロユキとナオミの二人と親しくなった主人公は学校でいじめを受けるようになる。
昭和の学校の雰囲気がよく出ている。結局親の差別意識が子どもに影響している。親が差別しているから、子どもも差別して当然だと思うのである。
よくできていて読みやすい。
しかし私にはエンタメが過ぎるかな、という気がした。特にキャラクター設定。
ナオミは賢い美少女で、いじめるクラスメイトはいかにも嫌な奴。安子ねえは性格はサバサバしているが色っぽい美人(いかにも婀娜な姐ちゃん、という感じ。昔の倍賞美津子さんみたいな感じかな。)、凄むと怖いが日ごろは気のいい元ヤクザの沼倉のおんちゃんなどが「いかにも」って感じで、ドラマにしたいのかなという気持ちになった。(なっているのかもしれない。昭和の役者さんで見たい。)
まあこれだけ読みやすいと、差別問題を考える、というより物語を楽しむという感じだとは思う。
宮城県(仙台)に詳しい人ならより楽しめる。