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マスコミの報道をなんでも鵜呑みにしてはいけないということがメインなんだと思うが、子供を聖域視しすぎないことが必要であるいい例だと思った。子供は保身のためにうそをつく。その最たる対象は親なのに、親は子供が自分に重大な嘘をつくとおもいたがらない。それがかわいい嘘でなければ尚更その傾向はあると思う。
もちろん内容によっては「親が信じなければ誰が信じるのか」という場面もあるだろう。けれど子供にとって親は一番「怒られたくない存在」であり、だからこそ保身の嘘が一番出てきやすいのだということも忘れてはいけないのだ。
またこの事件のケースではいわゆるガキ大将の立場にいる少年が、親には従順であるということも重要な点だと思う。親に誘導されるがままに嘘の証言を続けて教師の悪事を虚言し、裁判用のビデオに出演するなど、彼は親によってどんどんやってはいけないことを重ねてしまう。
こういう経験を重ねていくことで、彼の人生がどれだけゆがむのか。それはまさに虐待だと思う。
自分の子供がかわいいばかりに子供の嘘に振り回され、周囲に対して攻撃的な態度を取ってしまう親にはぜひ読んでほしい。子供は親の顔色を見て嘘をつく。それは周囲に迷惑をかけるためではなく、親を愛すればこそ、親からの怒りをまぬがれようとする子供の浅知恵だ。そこを見極めて正しい方向に持っていかなければ子供は小さなゆがみを積み重ねて、いつか取り返しのつかない成長をとげることもある。
子供を信じることと、子供の話を鵜呑みにすることは違うのだということを肝に銘じてほしい。これは子を持つ親だけでなく、周囲の大人にも同じことが言えると思う。
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教師のいじめか、教師へのいじめか。報道が過激になる時は、冷静なフリー記者の存在が欠かせないが、それに頼っていてはマスコミも末期だ。記者名が全員実名になっているのは筆者なりの警鐘だろう。
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これほど早く読み終わった本は久しぶりでした。とにかく先がどうなるのか知りたくて知りたくて。昨今よく耳にするモンスターペアレンツによって追い込まれた一人の教師が、その名誉を回復していく過程は並みの小説よりも興奮しました。この本の内容が事実とするならば、という条件つきではありますが。マスコミのあり方も含め、2度とこのようなことが起こらないことを願うばかりです。抜群におもしろいのですが、教師を目指す方は読まないほうが賢明な一冊です(笑)
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2003年、全国初となる「教師によるいじめ」と認定された事件が
福岡市の市立小学校で起こった。
アメリカ人を曾祖父に持つという男児児童に、「血が穢れている」
「死に方を知らないのか」と暴言を放ち、ことあるごとに体罰を加え、
被害男児が重度のPTSDを発症した。
事件が発覚するとマスコミはこの教師の悪行をあげつらい、児童に
自殺を示唆したことで「殺人教師」呼ばわりまでする。だが、事件の
真相は被害者児童の両親の言い分とは大きな食い違いを見せる。
糾弾された教師は、差別的感情から虐待とも言える行動をしたのかを
追ったノンフィクションである。のだが…。
本書に書かれていることの全てが「本当」であると仮定すると、被害
児童の両親は昨今話題のモンスター・ペアレントだ。それも「超弩級」
のである。
新学期早々の家庭訪問で男児児童の係累にアメリカ人がいるとの話題が
出た。それも母親からの発言である。その母自身もアメリカ生活が長く、
通訳や翻訳の仕事をしている。
ここから話がこじれていく。「血が混ざっている」との教師の発言が、
いつしか「血が穢れている」に変わり、家庭訪問終了後から人種的差別の
延長とも思えるような男児児童への教師の虐待が始まる。
両親からの抗議を受けた学校は教師の体罰を認め、市教育委員会は該当
教師に停職6カ月の処分を決める。
教師批判のマスコミの大攻勢のなか、福岡市と教師を被告とした民事
訴訟が起こされるのだが公判では被害児童及び両親の申し立ての矛盾が
露わになる。
確かに公判記録や、重度のPTSDを発症し閉鎖病棟に入院処置を取らざる
を得なくなった男児児童の医療記録には首を傾げたくなる点が多々ある。
だが、本書を鵜呑みにしていいものだろうか。著者は教師側一辺倒の
視点でしか事件を検証していない。男児児童の行動に以前から問題が
あったとか、両親も保護者の間ではいい噂がないとか、男児の兄が同じ
小学校に在学中にも問題があった等、被害者側へのバッシングを繰り広
げているが具体的な裏付け証言がないのは何故か?
事件当時、教師弾劾の報道を繰り広げた記者はその名前をはっきと表記
しているのに、事件に疑問を投げかけた記者については「ある記者」と
匿名にしているのは何故か?
著者がいうように教師に何も問題がなく、男児児童の両親の申し立ての
全てが虚偽だとするならば、何故、PTAは動かなかったのか?新学期早々、
担任が交代する大事件である。
他の保護者が教師救済の為に、教育委員会に申し立てを行って当然の
事件ではないか。
ノンフィクションにしてはバランス感覚に欠けていると言わざるを
得ない。書籍購入サイトで高評価を得ているのが不思議だ。
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2011.12.21-2011.12.24
マスコミや教育関係者の御座なりな対応により、内気な無実の教師が児童を虐待する「殺人教師」として週刊誌に取り上げられ、停職6ヶ月といふ厳しい罰を受けるに至る過程を追つたドキュメント。
虐待を申し立てたクレーマーの両親が起こした民事訴訟で、事実無根であることが明らかになつて行く。
報道や教育といつた社会の基盤となる仕事に携はる人達には、自らの責任をもう一度しつかりと自覚して欲しいと思はされる。
この事件について言へば、クレーマーの家庭にこそ問題の発端があると感じられるのだが、その部分の解析がないのは、少し残念。
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「殺人教師」と報じられた福岡県のある小学校の教師の問題を取り上げているノンフィクション。
自分の子どもを差別し、さらには自殺を強要したためにPTSDになったと主張する両親。学校という立場から保護者のいいなりになってしまう管理職。児童虐待という悲惨な状況から正義感に燃えるマスコミ。
これらの要素が重なって、一教師の言い分がかき消されてしまった。
本書を読みながら気分が悪くなった。何が正しい情報なのかをしっかり見極めていかなければならない。という意味では、本書もすべてを信じることは出来ないということ。
すこし気になったことは、父親のこと。本書ではあまり触れられていない。狂気じみた母親の肩を持ち、助長させている。母親のウソに気付かなかったのだろうか。そんなわけはない。留学先で出会って結婚?なんのことだ?と思うはずだ。もう引っ込みがつかなくなってしまったのか、はたまた本当のことなのか・・・。
ぜひとも、父親視点での言い分を聞いてみたい。
いやー、怖かった怖かった。
年越しまでに楽しい気分になれる本を読もう。
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2012年一冊目は私にしては珍しいドキュメンタリー。
本屋で立ち読みして、どうしても続きが気になって購入してしまった。
内容はドキュメンタリーなので、取材によってわかったことが、被告の視点から描かれているのだけれど、何がいいってものすごく読みやすい。
こういう本は書き手によってはひどく読みづらい時があるけど、この人の文章は柔らかく入ってきやすかった。
こどもと関わる仕事をしてきて、一度だけクレームが私に来たとき(保護者の勘違いだったけれど)、上司が保護者に迎合して、全く守ってくれなかった経験が私にはあるので、釈然としない気持ちで読了。
事実だから仕方ないんだけど、冤罪はきちんと(すぐに!)晴らせる世の中にならないかなあ…。
裁判に時間がかかりすぎるのも人生の有限な時間の中ではもったいないよね。
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マスコミは間違える。マスコミは嘘をつく。どちらかと言うと後者が多い。1対99の割合だろう。マスコミに関わる人は真実を伝えようとする傲慢な志に故に真実からは一番遠く離れたところにある。事件が「でっち上げ」か「事件が『でっち上げ』」かは分からない。1つだけ真実はどっちの側も事実を隠蔽歪曲しているだろうということである。
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TV、週刊誌の類は
いっさい見ないので
この「事件」のことは 全く知らなかった
でも、ここにかかれてある「冤罪」の構造は
こうした「学校現場」だけではないような気がする
それも、かなりの確率で起きてしまっているような
気がする
今起きている全ての「事件」に
本書で提起された構造があるのではないか、
を心して欲しい
あらためて
人は間違いを犯す動物である
を 肝に銘じたい
そんな気持ちにさせられる
一冊です
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こういう問題では客観的な事実のみを挙げるは難しく、どうしても当事者の語るストーリーを追うことになるが、それも100%「正しい」ことはあり得ない。一歩引いて読むことが必要。
裁判所の判決が一刀両断ではなく玉虫色になることには自分の経験に照らしても憤りを感じる。どうせ控訴されるのは同じなんだから、良心に従って判断して欲しい
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モンスターペアレントの虚偽な主張によって、教師が極悪人にしたてあげられるも、裁判により親子の異常さが明らかになる。
こういう虚言癖の人が存在してるのはわかるけど、夫婦ともそうだってのは不思議。相手の嘘をたしなめないのかなあ。
真実ははっきりしないけど。裁判しても、わかるわけではなく、多分って程度が限界なのね。
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現実に起こった事件なので、こう言ったら不謹慎かもしれないけど…面白かった。私にしてはスラスラと読み進みました。
内容は、頭のおかしいモンスターペアレントの話。
学校の先生も大変だな〜と思いました。まぁ学校だけに限った話でもないでしょうけど。
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2003年に起きた「殺人教師」事件。警察官でも日常的に犯罪を犯す昨今、かういふ教師もゐるのだらうなと思つてゐました。むろん報道を通しての知識しかありません。
著者の福田ますみ氏も当初は同じ認識だつたやうですが、自ら取材を続けるうちに、これはをかしいぞ、と考へるやうになつたと述べてゐます。
被害児童の両親が、今でいふモンスター・ペアレンツであり、彼らの事実ではない発言を報道が一方的に鵜呑みにしたといふのです。
実際には無かつた(あるいは軽微な)体罰やいぢめを、家庭側の抗議により教師本人に認めさせやうとする校長の対応は、現在の学校と親の関係を如実に示してゐると申せませう。
まるで教師をサービス業の店員、校長を店長と同列に見てゐるやうです。つまり、親側には自分はお客様であるとの認識が有るのではないでせうか。
思へばわたくしが小中学生の頃、学校の教師は恐い存在でありました。暴力教師はごく普通に存在し、「職員室へ来い!」とどやされ、煙草のケムリいつぱいの教員室へ行き、グウで殴られる。オソガイものでした。
ま、そんな時代は過去のものになつて当然ですが、現在では逆に先生たちが親に怯える風潮のやうです。これもをかしい。
本書への批判として、教師側からの一方的な見方であるとの意見も聞きます。が、元来報道は偏向してゐるものです。客観的な報道は有り得ません。
従前親側からのみの報道一辺倒だつた事件を、新たに被告側からの視点で語ることは、ジャアナリストとしてまことに健全だと思ひます。むろん、事実の歪曲などはもつてのほかですが。
ただ、結果としてどつちつかずの判決が出たのは、藪の中となつてゐる部分が多いからでせう。例へば教師が最初に家庭訪問をした時の母親との会話は、立ち会つた人はゐない訳で、双方の証言が食ひ違うならば、その再現は残念ながら推測の域を出ません。
それでもなほ、ひとつの大きな意思が動く時、でつちあげは容易に起こり得ることを認識させた点で、本書の存在価値はあると考へるのでした。
では、今日はこれで。
http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11393866884.html
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鉄拳さんの現時点での新作が使われたPV『弱虫』↓
http://rocketnews24.com/2012/11/19/268149/
を見たときと同じ感想。ひたすらもう!な気持ち。
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タイトル『でっちあげ』
タイトルどおり、冤罪の話しである。
警察が、でっちあげたのではない。
平成15年6月の朝日新聞の報道から始まって、小学4年生の担任教諭が、『教師が担任の児童をいじめた』とマスコミと、今で言う『モンスターペアレント』が、でっちあげたのだ。
マスコミによる裏付けのない過剰報道。
まったくの嘘をつき続ける両親。
マスコミは、火を付けるが、報道後の報告をしない。
いつ、何でもない一般人が、罪人となるか、分からない恐怖。
そして、まったく理不尽な人の存在。
(私の職場にこの手の人がいるので、周囲は混乱している。)
恐ろしい世の中だ。