紙の本
葉隠のような恋愛
2015/11/14 09:22
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
【ネタバレ】真紅のまわりに起こるエピソードがきちんと回収されていくさまが丁寧でよかった。とくに最後、父親の絵がきちんと日の目をみたのがステキだ。謎の♯9、王剣なんでしょ、絶対!って思っていたら、全く違ったのである意味感動してしまった。そしてこれもまた切ないくらい切ない恋。成就しない恋。まるで葉隠の如し。美しいけど、なんか実ってほしい気持ちもある。表紙の絵、そのことだったのね。意匠に価値がある1冊だなあ。どこからどこまでも。王剣の気障さ加減。ブレがない。いるんだろうかリアルに。最初のイルカの絵って絶対あの人だよね。。
紙の本
脳裏に鮮明に浮かぶ!
2017/05/25 17:43
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投稿者:アッコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
絵心はそんなにありませんが、よんでいけばいくほど、上海の街並みが脳裏に鮮明に浮かび上がってくる!是非読んでほしい!
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主人公の深澤真紅は、美術関係の職に就くなるために上京したものの現実は「ただのポスターを高額で販売する」ショップの販売員をやっている。しかも仕事の成績は芳しくない・・・
そんな真紅があるときふと立ち寄ったジュエリーショップで上海の実業家「王剣」と運命的な出逢いをする。そこから真紅の運命はジェットコースターのように展開し、中国美術界へ足を踏み込むことになる。
王剣の真紅に成功者ならではの、強引な対応にはプリティウーマンを連想させるようなファンタジー要素が入ってきますが、それを受ける真紅の気持ちの揺れ─無防備に受け入れる→独占欲→嫉妬→反発など─を的確に表現しているので、現実的な話としてとらえることができます。
また、中国(上海)の状況、中国美術の詳細な記述が、脇を固めるというか話のディテールを固めることになり、物語へ引き込まれることになります。
タイトルにある「#9(ナンバーナイン) 」につても、真紅が住まわされる緑葉西路の洋館の名前でもあり、影になり真紅を支える人物の名前であり、、などいくつかの意味を持たせているのも深みを感じます。
※真紅を支える人物がなぜ「#9(ナンバーナイン) 」と呼ばれているかは、読んでからのお楽しみとしてください。
この作品は最初と最後が現在で、途中が過去になる構成になっています。ただし、単純な過去の回想録ではなく見方によっては別の物語といってもいいくらいギャップがあります。この差は意図的なものだと思いますが、あえてこのパターンを選んだ作者のうまさ、自信を感じました。
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山頂に登り立ったとか、
対岸に泳ぎ着いたとか、
そのような類の、
これは完結を迎えたドラマなのだ。
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運命のいたづらのような出会いに導かれ、上海に渡った原石のような芸術を見る目をもった女性、真紅がキュレーターとして成長していき、本物の恋にたどりつく。完成度の高い芸術作品のような小説。
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思うに私は「演出しよう」という意図が見え見えの文が好きではないようだ。
きっとこのお話は本として読むより映画化されたほうが面白いのではないかと思う。
私個人が小説として味わいたいのは、やっぱり江國香織の作品のような、作者独特の言い回しからなる雰囲気なのだなーと再確認。
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原田マハの描く女性が好き。
この小説の女性達もステキだなーと思った。
現代版シンデレラ。
シンデレラらしく、そんなことは絶対ないだろうという展開だけれど
現代版のシンデレラの違うところは
悲しみを知ってもっとしなやかに美しくなるところ。
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とある女性の、プリティーウーマン的なサクセスストーリー。
かと思ったら、大間違いだった。
いや、そういう部分も多々あるんだけど、それだけじゃない
っていう意味でね。
若干都合がよすぎるかな、と思う設定もあるけれど、でも、
そういう部分がないと描けない物語だってあるしね。
全体の構成がとても上手だなー。
あと、さすがはキュレーターをやっていた原田さんだ。
美術関連の話題が難解になりすぎず、でも、重要な要素として
組み込まれていて、とっても興味深かった。
美術に興味のある女子、メインターゲットはそのあたりでしょうか。
わたくしの個人的な意見としては、最後の1行がかなり気に入りました。
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女の願望ありありの妄想物語。美術品に心動かないと面白み半減?読み安くってサクサク読めるけど、枯れた女には妄想にしか思えない話だな。
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上海を舞台にした小説。
そろそろ行きたくなってきたなぁ・・・。
簡潔にストーリーを言えば、“映画プリティーウーマン”。
現実にはあり得ないほどのシンデレラストーリーなのだが、
アート界の圧倒的なディティール、上海の空気感など
リアルな描写によってその世界に引き込まれていくため、
男性でも嫌悪感を抱くことはない。
そして、この物語のキーとなる“#9”が、
単なるシンデレラストーリーから脱却させ、
物語に深みを与えている。
また、物語が進むにつれて、展開のテンポが速くなるので、
一気に読破することも可能。
上海を訪れ、明と暗とを実際に目にした人であれば、
よりこの物語は楽しめると思う。
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あまり期待せずに読み始めたものの、一気に物語に吸い込まれ、そのまま最後まで読んでしまった。
中国アートとそれに携わる人々。歪んだ愛情。一途な愛。アートに対する情熱。面白かった。
#9には深い意味があったのね。最後まであの人の本当の・・・が謎のままだったのが私的にはとても良かった。
時間が経ったら、また読みたいな。
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うまく言えないんだけど、やっぱり原田マハさん好きだなぁ~って、
スゥって入り込んでった作品。
現実逃避したい時向け(笑)
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情熱的。自分の身体の中が熱くなるような小説。
一見シンデレラストーリーかと思いきや、主人公の女性の情熱と行動力と審美眼がすべての流れを作りあげている。その強さがとても美しい。
上海の街並みと、美しい深紅色がまぶたに残るイメージ。#9の意味には脱帽。
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ひさびさに出逢った極上の恋愛小説。いや、雷桜も面白かったから久々ではないかな?笑
「カフーを待ちわびて」も良かったけれど、個人的にはこちらの作品のほうが琴線に触れて、ハマりました。
他の作品ももっと読んでみよう!
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凄く雰囲気がある作風で作品全体がもたらす空気感に好感が持てた。
上海を舞台に流れていくストーリー。映画でも小説でも中国モノの醸し出す独特の影。
この作品にもその雰囲気が上手く表現されていて。
美術アートのコレクター・バイヤーの世界が日本と上海の間で繰り広げられ、突然の出逢いがリンクしてリンクして・・・繋がってゆく関係。
恋愛モノとしては設定があり得ないくらい出来過ぎていて非現実的ですが、それがまたどこか浮遊的な雰囲気を醸し出していてドラマチック。
作者本人も作家以外にアートコーディネーターというもう一つの顔をもっているため、美術知識に長けた文章の繰り広げ方は、知らない世界の勉強にもなる。
アートの世界の奥深さ。
知れば知るほど虜になる。
じんわりと染みてずっと本棚に置いておきたい作品。