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相変わらず宇江佐真理は上手い。人物が眼前に浮かんでくる。主人公の料理屋の隠居の清兵衛の心理も手に取るように描かれている。清兵衛が死にかけていたとき、霊感を持つ親しい蝋燭屋の隠居の甚助が死神を追っ払って助けてくれる。その関りで、何人かが集まって、怪奇な話を聞く会に参加することになる。作り話ではなく、本当にあった話をするというのがみそなのだが、そのうちに話だけで終わらずに、会の人間関係がぎくしゃくしたり、実際の怪異に出会ったりすることになる。最初は、興味本位で面白いなと思っていたことが、だんだんとそうでなくなってくるのだ。その辺りが、結構怖い。最後も…。読む楽しさは堪能させてくれるが、ほんわかとは終わらない。苦みがある。それもまたよしか。