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紙の本
春にであえて
2010/04/05 08:47
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学生から読めるように漢字にふりがなのついた、「豊かなことば 現代日本の詩」シリーズの一冊。知らない詩人をひとり見つけました。野原でちいさく咲いている黄色い花を見つけたみたいにうれしい、武鹿悦子の詩集です。
武鹿悦子さんの詩は教科書にもたくさんの詩が採用されたそうですし、日本童謡賞やサトウハチロー賞などの受賞歴もありますから、知らなかったのは私だけかもしれません。手のひらにつかまえたバッタのように、こころのなかでつんつん飛び跳ねるような詩の連続にうれしくなります。
言葉は簡単ですが、詩人の心は自由です。春のスキップのようです。
『あくしゅ』という詩。その前半部分。「あくしゅは/てと ての でんわ/ことばが つたわる/ことばが つながる」。少しも難しい言葉はありません。漢字ひとつない詩です。それでも、握手(あくしゅ)って、こうだよなと、うなづいてしまいます。そういう力が武鹿さんのたくさんの詩にあふれています。
そして、握手を電話だと想像できることの素晴らしさ。固いおとなの頭ではなかなか浮かんでこないことです。それが子どもの手のようにやわらかく、魔法使いのように鮮やかに、言葉がことばをつないでくれます。もうどの詩をとってもそうなのですが、『おへそ』では、おへそがお母さんと別れた痕だと書いて、最後にこうつづきます。「涙がひと粒はいるだけ/ほろりと/くぼんで」。なんとかわいいおへそでしょう。
この詩集の収められた56編の詩は、できるなら声にだして読んでみたい。きっと花の木に群がる小鳥のように、たとえば『うぐいす』に書かれたように「うちゅうが 一しゅん/しん、とする」にちがいない。
この詩集と春にであえてよかったなあ。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。
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