紙の本
禅問答か珍問答か
2021/12/10 00:49
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投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
文士と数学者の対話というよりも、
余り噛み合わない問答の記録です。
前者が必死に投げる問いを、
予想もできないような姿勢で後者が
あっさりと躱しているといった風情で。
さらりと読めますけれど、不完全燃焼感が
残りました。
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批評家・小林秀雄と数学者・岡潔の異色対談。
話題は縦横無尽に展開。数学、物理学、ドストエフスキー、ベルグソン、ピカソ、果ては子育てや教育問題など、一見、行き当たりばったりに見えて、実はそれぞれ筋が通っている。
たとえ数学的な真理といえど、情で納得できなければ、研究などできないと説く岡は、なにより「情緒」の重要性を訴える。小林も専門外の数学や化学について質問を重ねながら、自信の批評の姿勢や、文士の言葉に対する接し方を披露。
なかなか飽きさせないのだが、疑問はなぜ、いま、この二人なのか、という点だ。
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対談だからこそ、その会話の雰囲気と言葉の隙間にある「
「何か」が読める気がします。
注解にかなり細かく解説がされているのも、意外と
知らなかったこともあり、楽しめます。
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世界的な数学者・岡潔先生と、批評家・小林先生の対談。
1時間強で読みきれる短さながら、対談内容は多岐に渡る。
特に、(理系)学問の将来へ対する危惧は、
昨今問題になっている「理系離れ」「学力の低下」だけではなく
数学者だからこその経験・視点から語られており、興味深い。
【参考読書時間】
1時間強~2時間
【おすすめ対象者】
教育者の方/子育て中の保護者の方/理系学生・研究者の方
【おすすめページ】
34p. 後ろから3行目~の岡先生の一言。
【おすすめ併読/続読】
アンリ・ベルクソン 時間と自由 (岩波文庫)
永井龍男 青梅雨 (新潮文庫)
どちらも対談中に話題に上っている本です。
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読みたい本。
岡潔という人に最近ちょっぴりだけ興味をいだいているので。
まずは手軽そうなところから。
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これもやはり、絶対読むべしと薦められた一冊。
「好きだと思う」といって薦められるれることは、とても嬉しい。
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知力に優れる人同士の対談はスラスラとは行かないが、読み易い。読みながら考えられる。注解をめくりながらの読みも、心地よかった。
この本の要諦は、ラストの戦前教育「論語の素読」を復活すべきと説いている処なのかも知れない。が、私自身は知性で矛盾がないことを訴えても、相手の感情の満足を得なければ学問(ここでは数学)は成り立たないという岡氏の説諭が印象に残った。
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問答無用の5つ星。日本が誇る最大の数学者、岡潔と評論の神、小林秀雄という2代巨頭の対談。非常に印象深い対談だった。というのも、無明・小我という新しい考え方をもたらしてくれたから。最近数学ばっかりやっていて、頭が数学的な思考で固くなっていくなぁと思う中、その数学的な思考に違和感を持っている自分がいる。現実世界を見るとき、西洋的思考では限界があるのではないか?そんな事を考えているとき、この本に出会えた。相当前に書かれたものだが、やはりそんな時代の到来を予知していたのか、と思った。
ただ、あまり理解できていないので、また読まなきゃ!
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正直、オレの頭では難しい内容。けど、ところどころグッと来るところもあった。一度で理解しようとせず、何度も読んでみることで理解が深まるかもしれない。何よりも小林秀雄の存在を知ることが出来ただけでも収穫。
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知の巨人という言葉はおいそれとは使えないが、
このお二方はそれに十分匹敵すると思う。
文学や評論の分野であまりにも有名な小林秀雄氏と、
日本一といわれた大数学者岡潔氏との
知的刺激に満ちた、とても手に取りやすくまとまった一冊。
どんな具合なのか、ある一節から軽く抜粋します。
小林氏が近頃(当時1965年)日本の酒の質が下がった、と
いうことから「小説も絵も、個性ばかり競って、
物がなくなってきていますね」とこぼす。
それを受けて岡氏曰く「物を生かすと言うことを忘れて、
自分がつくり出そうと言う方だけをやりだしたのですね」
...今読んでも全く色褪せぬ、寧ろ耳に痛いお話です。
日本のかたち、ありかたを考えるときに
明治から昭和にかけてを生きたこの二人の巨人の、
憂いと鋭い眼光は、今こそ大きな糧になると思います。
このような、広く深く明るい造詣と気品をお持ちの方は
今、どのような人がいらっしゃるだろう、と思いつつ。
そして、「数学とは情緒の学問である」と言い切る
岡氏が大変気になってしまい、別の随筆も購入しました。
表紙からすでにお二方のオーラにやられます。
ひとりひとりが日本を見つめ直す時には、この書を是非一度。
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小林秀雄と岡潔。名前だけで読みたくなる2人の頭脳による対談集。本のカバーの写真もいいですね。
対談が行われたのは昭和40年とあるので、ちょうど45年前のこと。その頃に、2人の知の巨人が何を考え、どんな未来を想像していたのか。
小林秀雄が、「小説も絵も、個性ばかり競って、物がなくなってきていますね」と話せば、岡潔は、「物を生かすと言うことを忘れて、自分がつくり出そうというほうだけをやりだしたのですね」と返す---。
難しい話もありますが、何度も読み返して、2人の考えをしっかり吸収しようと思います。
読む価値、大いにあり。
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二人の天才の雑談集。今の自分では理解できない部分が多かったのでまた数年後読み返してみようと思う。
線を引きながら読んだので、そのとき、どこに自分が線を引くか楽しみだ。
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この本は現代思想、西洋思想らを根底からひっくり返す力を持っている。小林、岡による両者の対談は情緒という概念に首尾一貫しており、論題は変われどそこは変わらない。この情緒というものが人間の中心的なものであるとし、それらの周りに理性や論理が配置されていると考えてよさそうである。
それぞれの考え方は新鮮味があるものだったが、ごく自然なものであったと読み終わっているころには考え改めさせられる。
両者は日本という国をとても愛しているようだ。
日本の素晴らしさ、特殊さというものを此書で気づかされる。
必読の書。
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批評家というのはどうもうさんくさく思っていましたが,小林氏は少しばかりうさんくささの軽い人という印象を持ちました(うさんくささが消えているわけではない)。雑談のレベルとしては,岡氏>小林氏でしょうか。「直観」とか「情緒」の重要性をお二人とも強調しておりました。
ただ納得できないのは,「神風(特攻隊)」は,小我(我執にとらわれた自我)を取り去ることができた日本風土のなせる技だと言っている点です。岡氏が発言し,小林氏が同調しています。本当にそうなんでしょうかねぇ。
岡 数学は必ず発見の前に一度行き詰まるのです。行き詰まるから発見するのです。(p.91)
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「情緒」を美しく耕すために と云う題で茂木健一郎氏が書評している。
それを引用。
日本語による近代批評の表現を確立した小林秀雄。多変数解析函数論の分野で独創的な業績を残した岡潔。
二人の「知の巨人」が対談した『人間の建設』は、活き活きとした精神のダイナミクスに満ちていて、何度読んでも面白く、新たな発見がある。
というようのことであるが、ほんとうに頭のいい人二人の自由奔放な「対話」。
シンプルで、メチャクチャわかりやすく、本質の本質論でした。