- 現在お取り扱いが
できません - ほしい本に追加する
エルサレム解放 みんなのレビュー
- タッソ (著), A.ジュリアーニ (編), 鷲平 京子 (訳)
- 税込価格:1,254円(11pt)
- 出版社:岩波書店
- 発行年月:2010.4
- 発送可能日:購入できません
文庫
- 予約購入について
-
- 「予約購入する」をクリックすると予約が完了します。
- ご予約いただいた商品は発売日にダウンロード可能となります。
- ご購入金額は、発売日にお客様のクレジットカードにご請求されます。
- 商品の発売日は変更となる可能性がございますので、予めご了承ください。
5 件中 1 件~ 5 件を表示 |
紙の本
どこまでも人間達の物語
2013/08/12 17:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
十字軍がエルサレムを奪還したというのは本当なんだろうかと思ってしまう。デンマークからフランスからイタリア、ギリシャまで兵力を集めて、しかし迎え撃つのも、シリア、トルコ、ペルシャ、アラブ、エジプトの各軍。とても勝てそうに思えない。宇宙戦艦ヤマトがガミラス艦隊を打ち破ってイスカンダルに到着するぐらいにありえない。この時代11世紀頃にはアラブ、中東のテクノロジーを吸収して、例えば鍛冶屋の技術によって武具や馬具がアジアと同レベルに達して騎馬兵も互角に戦えるようになったりして、かなり追いついてきたのだとしても、相当に無理がありそうに見える。
しかし史実上は、十字軍はたしかにエルサレムを占領したらしい。その占領地とイタリアの各都市の交易によって、さらに物資や技術の流入を促進したというのだから。
とはいえ、この16世紀に書かれた「エルサレム解放」には、そんな話は出て来ない。騎士や将軍の英雄的な活躍、激戦のさまを描いているが、しかし十字軍に正義があるとか、勝利を讃えるということも無い。十字軍側、イスラム側それぞれの英雄の勇気と叡智が描かれるが、ただ十字軍側にだけ少しだけ神のご加護があった、というのが骨子だ。その中で、敵味方に分かれた恋の物語があり、彼らは運命の非常さに翻弄される。
戦争を雄々しきものとして扱い、その中に生きる人々の美しさや激情の歌ではあるものの、戦争を正当化したり、その目的を美化したりという方向には決して流れていないのが肝要に思う。それどころか、この戦争に対して「人間存在の有様の甚だしき悲劇性」「凄惨きわまりない死の情景」などという表現も使い、人物達の悲劇を通して戦争の残虐性が訴えられている。
恋の物語を紡ぐは、女兵士、没落した姫君、魔法使いといった女性達は、みな可憐な乙女であり、行き着く先が悲恋であろうとも誇り高い。戦争が生んだ恋ではあるが、そこにはたしかな人類愛が謳われている。
十字軍の兵士達も、ここでは野心も邪念も無く、戦争の狂気に巻き込まれただけでしかない。彼らがエルサレムを奪還できたのは、むしろ地元側にその狂気が薄かったことによるとさえ思える。イスラム側の魔術師や精霊たちも、自然のままに土地を守ろうとしていることを否定的に見てはいない。この本はタッソーの叙事詩を、現代イタリアの詩人が再編集したもので、あるいは元の作品のいいところだけをまとめているのかもしれないが、作品のトーンがそんなに変わるわけではないだろう。純粋に気高き精神の人々の物語として堪能できるだろうと思う。
紙の本
エルサレムの解放
2013/05/23 09:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ホームズ - この投稿者のレビュー一覧を見る
キリスト教側の英雄叙事詩にしては完全にイスラム教が悪者っ感じではなく読みやすかったかな。イスラム側に悪魔や魔術師が登場してたりはしてたけど(笑)完訳ではないので途中で色々解説があり物語をとらえすいのは良かった。機会があればちゃんとした完訳も読んでみたいな。イーリアスやアーサー王の伝説に似たような話があったような気もする所が色々あった(笑)
5 件中 1 件~ 5 件を表示 |