紙の本
ナンバーワン
2011/01/06 09:28
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:わたなべ - この投稿者のレビュー一覧を見る
これもまた期待に違わぬ嫌な話で非常に面白かった。「サラブレッド」「エース」「コールガール」といういささか古い言葉を章タイトルに、その言葉で表される人物の一人称で記述が交互に展開するスタイルなのだが、その一人称がさまざまな偏差を通して(たとえば会話の中で語られる一人称とか、物語的な叙述の一人称とか)物語が重層的に構成され、半生記的な前半部分と、現在時と一致してからの中盤の速度変化の見事さと、そのクライマックスのほとんどタランティーノを思わせる面白さ、そしてぐだぐだな後半から苦い余韻を残すオープンなラストのある種の物足りなさまで、ぐいぐい一気に読まされてしまう、本当に練りに練られた作品だなあという複雑な読後感が残った(つまり「物足りなさ」まで計算の中にあるようで、読後いろいろ考えさせられてしまうのね)。タイトルにもあるが「嘘」の使い方が本当に素晴らしい。小説という文藝形式は本性的に「嘘」を露呈させずにはいない形式なのだが、物語的にも形式的にも嘘を確信的に用いる技法の堂に入り方は並大抵ではないと思う。いわゆる「エンターテイメント」の作家としては年に一回の刊行というのは少ないような気がするのだが、作品のクオリティーの高さはそれを補って余りあると言うか、まあさもありなん、という気がする。最近の若手小説家ではナンバーワンで好きだ。
投稿元:
レビューを見る
政治家の父を持つことだけをよすがに生きる響子。会社をクビになり、生活もひっ迫したある日、異母姉妹を名乗る初音に出会う。初音の裕福な様子に響子は嫉妬するが、初音は夫に売春を強いられていた。思い悩んだ末に家を飛び出す初音、守る生活のない響子、あるトラブルを抱えた新之助が加わり、三人は海外逃亡をくわだてて…。2005年、『夏がおわる』で第4回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞受賞。
投稿元:
レビューを見る
どうしようもない男と女と女の話。タイトル通り、嘘つきとエゴイストばかりいる。なのに腹が立たないのは、全員が嘘つきのエゴイストだからだろうか。人間のずるさが描かれていて、個人的には好き。
投稿元:
レビューを見る
内容(「BOOK」データベースより)
政治家の父を持つことだけをよすがに生きる響子。会社をクビになり、生活も逼迫したある日、異母姉妹を名乗る初音に出会う。その裕福な様子に響子は嫉妬するが初音は夫に売春を強いられていた。思い余った末、家を飛び出した初音。守る生活のない響子、あるトラブルを抱えた新之助が加わり、三人は海外逃亡を企てる。新之助の策略、響子の願望、初音の決断。ギリギリに追い詰められた三人の行く末とは―。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
南 綾子
1981年愛知県生まれ。2005年「夏がおわる」で第4回「女による女のためのR‐18文学賞」大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
投稿元:
レビューを見る
政治家の父を持つことだけをよすがに生きる響子。会社をクビになり、生活も逼迫したある日、異母姉妹を名乗る初音に出会う。その裕福な様子に響子は嫉妬するが初音は夫に売春を強いられていた。思い余った末、家を飛び出した初音。守る生活のない響子、あるトラブルを抱えた新之助が加わり、三人は海外逃亡を企てる。新之助の策略、響子の願望、初音の決断。ギリギリに追い詰められた三人の行く末とは―。 (「BOOK」データベースより)
うわぁ、後味悪い!
でも多分そういったものを書きたかったんだろうな。
まんまと後味の悪さに、読後、いやーな顔をさせられてしまいました(←ほめてます)。
三人が三人とも、救いを求めつつ、心の底ではそれを求めてはいなかったような気がします。
流されるままの生き方に馴れてしまった人間って、もう元には戻れないもんなのかなぁ。
投稿元:
レビューを見る
嘘とエゴイストな女と男と女の話し。前半はそれなりに面白い展開で進むのだけど…後半になるにつれ、展開だけでなく登場人物たちも少々めんどくさくなる。
デブでブスで貧乏な響子…。高校球児のエースと云う過去の栄光を引きずって容姿を武器に女を渡り歩いているダメ男新之助。養子ではあるがそれなりに裕福だったはずなのに売春婦となっていた初音。
そんなダメダメな人生を生きる3人が出会った。
どん底の生活を余儀なくされる人物たちの生活を垣間見て「不幸やなぁ。」「お気の毒」と思う自分がいてそこで自身のエゴをも見てしまう。
自身にとって都合のよい嘘。人と比べて少しでも勝っているところを探してしまうこと。
そのどちらも人が生きて行くうえで、多かれ少なかれ必要なこともあると思う。
劣等感だけでは世の中なんて渡って行けない。
どんな家庭であっても周りには見えない不幸な出来事もあるはずだし、これはそのマイナス要素を最大限に濃縮した物語だと思う。
「すごい面白いよ。」とは言えないけれど「あり」かな。と云う感じ。
投稿元:
レビューを見る
最初はどう話しが繋がるんだろう・・・と読み進み、まあこうなるんですか!と。
なんとなくスッキリしないエンディングだけれど、でもこういうそうかもねぇ、と妙に納得したりもして。
大なり小なり、ウソやエゴって誰でもあると思う。
そこに焦点を当ててクローズアップするとこうなるかあ・・・と感心さえしてしまった。
投稿元:
レビューを見る
政治家の父を持つことだけをよすがに生きる響子。会社をクビになり、生活も逼迫したある日、異母姉妹を名乗る初音に出会う。その裕福な様子に響子は嫉妬するが初音は夫に売春を強いられていた。思い余った末、家を飛び出した初音。守る生活のない響子、あるトラブルを抱えた新之助が加わり、三人は海外逃亡を企てる。新之助の策略、響子の願望、初音の決断。ギリギリに追い詰められた三人の行く末とは―。
投稿元:
レビューを見る
だれしも劣等感をもち、
こんなはずじゃなかった、
未来はこうなるはずだった、
自分のせいじゃない、
周りがわるいんだ…
そこから抜け出そうとしない人は
嘘とエゴで自分を正当化するのかもね
そして、だれしも、共感するところが
あると思う
投稿元:
レビューを見る
嘘つき〜!嘘ばっかり。ほ〜んと嘘ばっかり。自己中心的。反面、よくこれだけ嘘をつけるなぁとも。振り回される周囲が気の毒だと同情します。
じゃぁオマエは嘘を一つも吐いてないのか?と言われれば、まぁねぇ・・・。で、でも私は嘘をつき通せる自信がない。バレた時がコワイし、辻褄あわなくなると困るから、あんまり嘘はつきたくないなぁ。それについちゃイケナイ嘘があると私は思っているんですよ。
投稿元:
レビューを見る
誰も救われないなあ。新之助みたいな家族いるのかな。初音は結局売られちゃったってことなのかな。なんかさみしい終わり。
投稿元:
レビューを見る
南綾子さんの初めて読んだ
嘘て見栄とかこっちみて、ていう虚栄心などでついちゃう、
さらっとよめました