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紙の本

こんなに素敵なミステリを書く人がいたなんて、気づきませんでした。なにより、男女関係を描かない見識に感動です。そしてミステリとしての完成度、ご立派・・・

2010/11/04 20:23

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

朝倉めぐみのカバー画はいいです。線がいいしデッサンがしっかりしていて、それでいて上手にそれを隠している。このモダンなセンスは内容のオシャレさにぴったりです。それとカバーのタイトルなどの字体と色です。文字色だけで5色でしょうか、字体は二つですが一文の中でサイズを変えたりしているし、全体でも字の大きさは7種類くらいあります。それが実に違和感が無い、というより上手い。ここらは装幀の矢島高光の力です。

でも私が、全く知らないS・J・ローザンという作家の本に手を出したのは、そのしゃれたカバーデザインゆえではなくて、カバー後ろの内容紹介に出ている〈MWA最優秀短編賞受賞作〉という文字列です。弱いんです、推理作家協会賞、っていうのに。私の中では英国推理作家協会賞>日本推理作家協会賞>アメリカ探偵作家倶楽部賞(MWA賞)というヒエラルキーが厳然としてあるんです。ともかく、この三賞に絡んでいれば、読んで損する可能性は低いんです(新人賞は怪しいですが)。

いつものように、東京創元社の文庫なので、カバーより長めの扉に出ている内容紹介を見ると
         *
中国系アメリカ人女性のリディア・チン
と、白人の中年男性ビル・スミス。対照
的なふたりの私立探偵はときに単身、と
きに協力して事件に立ち向かう。現代屈
指の私立探偵小説作家ローザンの清華を
収めた、日本オリジナル短編集。殺人の
罪で起訴されたものの、無罪となった容
疑者が隠し持つ証拠を入手するため、リ
ディアとビルが罠を仕掛ける「夜の試写
会」、リディアと詐欺師とのやり取りを
軽やかに描くMWA最優秀短編賞受賞作
「ペテン師ディランシー」、ビルが高校生
バスケットボール選手の死の謎を探る
「ただ一度のチャンス」など全7編を収録。
         *
となっています。もう少し各話について、書誌的データも交えて細かく書くと

「夜の試写会」Film at Eleven(Dreadly Allies 2,Doubleday,1994):(殺人の罪で起訴されたものの、無罪となった容疑者が隠し持つ証拠を入手するため、リディアとビルが罠を仕掛ける.リディア・チンが主人公。交際中の中国人女性を殺害したかどで逮捕された男が、名うての弁護士の力を借りて無罪となる。その無罪となった男をビルと協力して罠にかけ殺害の証拠をつかもうとする)

「熱き想い」Hot Numbers(P.I.Magazine,Feb.1992):(若手女性歌手のボディガードを依頼されたもののビルが断ると、銃撃事件が起き、その事件の真相をビルが探る話。華々しいショービジネスの裏側で何が起きているかをたんたんと探り、意外な犯人を見出す。)

「ペテン師ディランシー」Double-Crossing Delancey(Mystery Street,publisher TBA,2001):(リディアと詐欺師のやり取りを描くMWA最優秀短編賞受賞作。リディアと詐欺師の虚々実々の駆け引きを軽妙に捉えた一篇。売買されるのが熊肝というのが日本人には面白い。売買されるもののあやしさと、詐欺師のうさんくささと、その詐欺師のカモになる男の初々しさばどが渾然となって楽しい。)

「ただ一度のチャンス」Hoops(Ellery Queen's Mystery Magazine,Jan.1996):(ビルが高校生バスケットボール選手の死を探る。ビルが高校のバスケットボール選手の心中事件を探る話で、その真相は何とも苦く、何ともやるせない。犯人が見つかってからの現実的な対応も面白く、罪と罰の関係が曖昧なままになっていて、なおかつ最善の選択というものが存在しないことを如実に物語る)

「天の与えしもの」Birds of Paradise(Alfred Hitchcock's Mystery Magazine,Mid-Dec.1994):ビル・スミスが主人公。由緒ある大きな樫の木の前で金物店を営むハリーから、樫の木の前で説教し、寄付を強要する宗教団体を排除してほしいという依頼を受ける。いかにもあやしげな団体のようであるが、何かというと聖書を持ち出してくる相手には閉口。ビルがとった方法は)

「人でなし」Subway(Vengeance Is Hers,Signet,1997):(リディア・チンが主人公。地下鉄構内で起きた強姦事件の犯人探しと被害者の苦悩を捉えていて、最後に意外な結末が待っている。チンとともに事件を追及するイザベル・カッチョーネの存在感がいい)

「虎の尾を踏む者」A Tale About a Tiger(Criminal Records,Orion,2000):(男性機能の回復に役立つという噂の、虎のペニスの売買をめぐって展開するゆったりとしたコメディ。ビル・スミスがここぞとばかりに“下品”な役を嬉々として演じて相手との交渉をリードしようとするくだりがおかしい。

となっていて、最後に池上冬樹の解説がつきます。好きですね、全体にサッパリしていて、あまり引き摺らない。といって軽薄さとか甘さがない。日本のミステリで年頃の男女を探偵にすると、ミステリ部分と同様かそれ以上に男女の話に筆が割かれてしまう。それ自体は悪くないんですが、その殆どが小児的というかただベタベタイチャイチャしているだけで、大人の私などにはとても読むに耐えません。無論、西尾維新のように突き抜けちゃえば、全く別なんですが、今のところ銀行みたいに横並びで、どれも同じ。

ところがです、リディアとビルの話には、そういう部分が殆どありません。むしろ、読んでいるこっちが「心の底では気にしてるんだよ、絶対に」と思っていても、サラリとかわす。感じ、でいえばミステリ98%、男女関係2%、そんな感じ。無論、オリジナル短篇集なので、そういう傾向の作品を集めた、っていうところがあるかもしれません。長篇では、もっと仲良くしてたよ、とか。でも、この本に限って言えば、それがない。

だからといって、無味乾燥なパズル小説か? っていうと、そうではない。ミステリとしてここまできちんと話をまとめながら、人間がいるという感じがきちんと伝わる。クイーンやクリスティ、ドイルのことを思い出しました。乱歩も正史もこうだって。でも、今の日本にこんな作家いるかな、って考えました。北村薫? 近いけど、違う。法月綸太郎のほうが近いかな。そう、極めて正統的なミステリなんです。それにリディアとビルの存在がうまく利いています。もっと夜みたい作家です。

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