紙の本
面白い。でも、イチローの発言はこれまでにもどこかで読んだことがあるような気もする。ならば「独占インタビュー」とは言えないのではないか。
2010/09/05 15:16
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
「渡米が決定した2000年秋から2010年シーズン直前までの全100時間超のインタヴュー」とあるように、イチローがメジャーに移ってからの約10年のその時々(おもにシーズン前かシーズン後)の言動が収められている。もともと雑誌『Number』を主とした株式会社文藝春秋が発行する雑誌に載ったものであり、ただ単にインタビューでのイチローの会話が収められているだけでなく、インタビュアーである石田雄太の取材した文章なども収められている。なので、この本の著者は石田雄太になっているのだろう。
さてそれで、イチローのインタビューだが、日本でプレーしていた頃にはあまり多くを語ることのなかったイチローなので、それなりの意味なり価値なりがあったと思う。だが、アメリカへ渡ってからは徐々に喋るようになってきたし、多くのメディアにも登場するようになった。なので、ここに収められているイチローの言動のかなりの部分は、細かな部分を除けばすでに他のところでも見聞きしたことがあるようなものだった。もちろんそこに、石田による解説があることでより面白さを増す部分もあるのだが。
それよりも面白かったのは、イチローと松坂大輔の関係をインタビューを交えて綴った
「あの瞬間というのはいろんな想いがあったので、ジーンとしましたね」 [初対決の真実]イチローvs.松坂大輔「4打数無安打の意味」(初出:Sports Graphic Number 677/MAY 2007)
「おっと、松坂選手、言うようになったね」 [投打の主役の絆と信頼感]イチロー&松坂大輔「チームリーダーの覚悟」(初出:Sports Graphic Number 724/MAR 2009)
であったり、
「王監督にも僕にも、野球のために命を削る覚悟があるということです」 [世界制覇と世界新]イチロー×王貞治「超えた者だけ見える道」(初出:Sports Graphic Number 751/APR 2010)
での王貞治との対談だ。
近年のイチローは、1年1年のプレーについてや各記録について自身で自身を説明することをしてしまっているので、そこに他人のさらなる解説はいらなかったりする。ただし、そこではイチローの言動だけで完結してしまうため、それ以上の広がりをみせないこともある。そこに、松坂大輔なり王貞治なりが関わることで、イチロー自身が意図せずして見せてしまうメジャーや野球そのものに対する想いが出てくるように思える。
視覚メディアがこれだけ発達した世の中で、野球の試合の内容や状況を活字で表現することに何らかの付加価値がないと読めないのではないかと思う。その点、この本に収められている1年を総括するかのようなインタビューやそれを基にした初出記事は、多少読みにくいところがある。それよりも対談や、直接プレー内容とは関係のない(例えばWBC全体を総括するようなインタビュー)の方が面白く読めた。となると、単にインタビューを羅列するだけでない内容のある文章とするには、インタビュアーや記録者、編集者の力量が問われるということなのかもしれない。
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ナンバーのインタビューをまとめた本。もう少し高くてもいいから、写真の掲載と資料的な価値のある本に仕上げて欲しかった。
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DMいう仕事が、応答率がバッチリわかる点において野球の打率に似ているような気がするので、世界一の打率を誇るイチローの本を読んでみた。意外と野球の話が多くて、ボリュームの割にはそこまではっとさせられるような記述があったわけではない。依然読んだ、松坂対イチローの本のほうが、ビジネスや実生活での汎用性が高いような印象。あのときはそこまで感じなかったが、今思えば印象に残っている。
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一流のプロ選手の思考回路は本当に参考になります。インタビューを取るのが難しいイチローの口から「よくぞここまで」語られます。
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イチロー選手のメジャー9年間の軌跡がわかる。
NHKで放送される”イチロー特集”を文に起こしたような本である。
イチローはメジャーで通用するのか?と言われた2001年。
しかし現在は、イチローは200安打打って当然、それに+αが期待されている。
野球を見始めたころ、イチローはNPBのスターだった。
それが今はMLBのスター。現役時代をリアルタイムで見られるだけでも幸せである。
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★2010年26冊目読了『イチロー・インタヴューズ 』石田雄太著 評価B+
日本の野球選手を代表するイチローへのこれまでのインタヴューを取りまとめた1冊。もともと雑誌ナンバーへの連載されていた記事を再編集している。この本では、野球に対するイチローの思い、WBC時の彼の日本への思い入れを中心につづられている。
おそらく人間としてのイチローは、あまりにストイックで、近づきがたい人物であろうが、ここまで一つの事で秀でるためには、その高い意識レベルでないと到達できないであろうことは、容易に想像できる。その高みがよく分かるインタヴュー内容である。孤高の生き方を海外でも貫いている人として、これからも注目していきたい人物である。
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イチローがメージャーリーグに渡ってから10年間のインタビューをまとめた本。
イチローがなぜ寡黙にプレーを続けるのか?
WBCで見せた喜怒哀楽の理由は?
イチローが毎年進化を重ねていく様子がわかる。
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メジャーに行ってからのイチロー選手インタビュー集。
基本的にはNumberに掲載されたものを中心に載っています。
イチロー本を何冊も読んでいる人にはほぼ目にした事がある文面が並んでいますが。
最近のはやっぱ目新しくて嬉しい。
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イチロー選手を追っかけている石田雄太さん。ナンバーの記事をリアルタイムで読んでいるけど、こうしてまとまった形で出ると、アツさの伝わり度合が倍増
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2010年6月21日 読了。
言わずと知れた野球界のヒーロー、イチローのインタビューをまとめた一冊。よく意外と言われるけど、野球は好きなんです。イチローは素直に凄いと思う。
オリックスだのマリナーズだのWBCだのと言われても興味がない方も多いでしょうが、見方を変えると、言ってみればイチローは「野球界のトップ(クラス)」という存在です。財界や政界なんかのトップの考え方や哲学と同じくらいの価値が、彼のそれにもあるんじゃないかと思います。真似しようとは思わないけど、心に留めて参考にするくらいは損にならないはず。
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2000年(イチロー渡米)~2010年(WBC優勝後)のインタビュー抜粋。
すごい・・・。
「自分の身体感覚を言語化する力」と「自分の状況を客観視し的確に言葉にする力」(メタ認知力と言語能力)。
その二つが優れているので成長・発展していくのかなと思ってしまう。
彼なら50歳現役野球選手になれそう。50歳までやってて欲しい。
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★次はぜひイチローの周囲のインタビューを★イチローよりは松井派なのだが、読んでしまうところが僕も隠れイチロー派なのかもしれない。
新聞などで読むイチローの言葉は、主語や目的語が多数抜け落ちていて、聞き手が補足しないと意味が分からない。ところがこの本のインタビューは分かりやすい。著者が勝手に言葉を足すとはとても思えないから、イチローは長く話せばきちんと意味が通るのかもしれない。「詰まることをイヤがらない」「準備」「イチローを支配できるようになった鈴木一朗」「達成感とは単なる結果ではなく、やりたいことを意識して実現すること」といった趣旨のイチローの発言は非常に興味深かった。
ただ、基本的にこれはイチロー礼賛の本なので、極めて一面的でもある。「ナンバー」という特殊な雑誌の記事のせいもあるが、イチローのインナーサークルに入った著者の陶酔感も透けて見える。もともとイチローは自分からは話したがらず、少数の「何かをやりたい人」に伝わればいいスタンスだというが、傍目には話したがり理解されたがりにしか見えない。ただ言語感覚が中学生的(「ごちそうさまでした」ではなく「ごっそうさまでした」と主張、オールスターで下ネタの掛け声をかける‥)なので、伝わらず理解されず、その不満を募らせてメディアに向けてしゃべるのを減らしているように思えて仕方がない。自分の内面や技術を客観的に分析できるのに、その言葉の選び方が独特で、慣れた人(ずっと取材をして仲間内となった記者)にしか通じにくいのではないか。もったいない。その点で、この本のような翻訳者がいると、独白&礼賛書としてはとてもすっきりする。
もうひとつ、イチローに関して不思議でならないのは、なぜ所属するチームは弱くなるのかということだ。オリックスでもマリナーズでも最初の数年はチームは強い(WBCも短期)が、どんどん下降する。イチローがチームに与えるネガティブな影響があるとしか思えない。そのあたりを誰か拾ってくれないだろうか。王貞治から「(チームではなく)自分のためにやっている」という言葉を得て納得しているが、おそらく周囲に与えるものに決定的な差があるのだろう。嫌味な雰囲気(ここには書いていないが、試合後のインタビューは記者に背を向けて受けるという)もあわせてサッカーの中田と共通するようにみえあまり好きではないが、50歳までプレーしたいという点はとにもかくにも素晴らしい。
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鈴木一郎とイチローの魅力が詰まった本。
特に、WBCの下りを読むと目頭が熱くなる。
野球をこよなく愛し、日本をこよなく愛すサムライイチロー。
この人間は一体どこまで進化するのだろう?
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南京からウーフーまでのバスの中でガタガタしながら読んだ本。カツを入れられたような本。同世代だから余計に言葉が心に入りやすいんだと思う。バスの揺れに関係なく一気に読んでしまいました。ただ、バスの運ちゃんが自分の好みで車内で大ボリュームでかけるわけ分からない音楽がたまに気になったけれど。
石田雄太著「イチローインタヴューズ」文春新書(2010)
* イチロー選手が持っている最も重要な武器。それは、飛びぬけたバッティングセンスでもなければ、類いまれなトータルバランスでもない。彼の第一の武器は「心」の持ち方である。「あいつは特別だから」と誰もが言う中で、もっともイチローと特別視してこなかったのがイチロー自身だった。彼をココまでにしたのは、想像を絶する練習量であり、その練習に足を向けさせた彼の心の強さである。かつてイチローに与えられた最大の能力はなんだと思うかと聞いた。「たとえ4打席ノーヒットでも、5打席目がまわってきて欲しいと思える気持ちかな」と言った。ヒットが出てもノーヒットでも一喜一憂しない揺るがない心。
* イチローは準備という言葉を良くつかう。そのことを尋ねた見たら「多くのヒットを打ってもてはやされて、少しうわついていたと思います。ただいい時はそれでもいいのですが、悪くなったときの周りの反応はすごく差が激しいです。ああ、世の中はこういうものだなって。その時に『自分は一体何が大切なんだろう』って考えたんです。人の期待に応えることなのか、自分のものを出すことなのか。それを天秤にかけると、自分が力を出すことの方が絶対に大事だと思いました。そこからですね、ゲームにはいっていくためにいろいろと準備をしなくてはいけないと思うようになったのは。準備をしておけば、試合が終わったときにも後悔がないじゃないですか。要するに準備というのは言い訳の材料となりえるものを排除していく、そのために考ええる全てのことをこなしていくということです」
* 人を自分を比較するという価値観は僕の中からもう消えています。僕は僕の能力を知っていますから、いくらでも先はあると思うんです。人の数値を目標としている時というのは自分の限界よりはるか手前を目指している可能性がありますけれど、自分の数値を目指すというのは、常に限界への挑戦です。飯の種として野球をやっている選手では、絶対に上に上がれないと思います。
* 『目の前で起こっていることが100%だ!』起こるべくして起こっていることだからそればすべて受け入れなくてはいけない。
* 相手にこう思って欲しいがためだけに、安易に言葉を発しないということは大事だと思っています。
* 重荷を背負おうとする自分がいたのは、自分に自身があるからです。自分の内面を出していくって言うのは、そういうことだと思います。自分のことを隠そうとしたり、本当のことを言われたときにそれを否定したくなる気持ちって言うのは、自身のなさの現れでしょう。
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シアトルでのデビュー戦、首位打者、リーグMVP、メジャー記録262安打、WBC連覇から、不調にあえぐ苦悩、弓子夫人の献身、日の丸に寄せる想いまで-。イチローが全てを語り尽くした、100時間超のインタビュー。
10年間イチローを追い続けている故の内容の濃さだった。「尖って弱さを隠そうとした20代前半、大人のふりをして強さを隠そうとした20代後半、正直に振る舞って弱さを晒そうとした30代前半、強さまでも平然と晒せる30代後半」…イチローの価値観の変化を的確に描く。付き合うには骨の折れる人だろうけど、それぐらいの個性があるからこその「結果」だとよくわかる。
(B)