投稿元:
レビューを見る
ちまちま読んだ。
だって石ころだらけだから。
二、三行読み進めるだけでつまづいて、反芻して、またつまづいてのくり返し。避けることも可能だけども川上さんだもの、よろけてみたほうが楽しそうでしょう?
つまづいていちいち思うことは、思い出や経験を共有した今は疎遠になった人間のこと。進行形で付き合っている人間ではない過去の人間、それは仲違いした友人であったり別れた恋人であったり、ある一定の距離にもういない人間のことを想ってこの一冊を読み終えた。
大好きだなあ。九ヶ月もかかったよ。
投稿元:
レビューを見る
ほわほわした短編集。ただ、一冊にまとまっているのではなく、連載している時に個別に読んだほうがいいかも。
山口さん、かわいい。
投稿元:
レビューを見る
二十二編からなる短編集。「ブイヤベースとブーリード」「すき・きらい・ラーメン」「ほねとたね」このみっつが気に入った。特に一番目のやつ。これだけ短い物語の集まりだとここまで『ぐわっ』とくるものはなかなかないのだが。「海石」や「ちいさい山口さん」のような不思議な物語も著者の真骨頂だろう。
投稿元:
レビューを見る
パスタマシーンの幽霊を含む短編。うーん、川上さんの作品はどこまでも気配がない、と言いますか。でも、言葉にハッとさせられます。風鈴の音よりもう少し活発で、工事現場のようなガガガという煩さではなく、カラーンコローンと心地良い下駄を鳴らす音のような文体だと思います。男女の深い関係を書いている事も多いのに、どこか何か違う話を読んでいる感じに陥ります、はい。
投稿元:
レビューを見る
現実感のない世界の映像が淡々と流されているのを、眺めているような読み心地。
コロボックルの山口さんの話が、ほっこりした気分になれてよかった。
ちっこくて紳士で照れ屋なおっさんなんて、可愛い。
私のとこにも現れてほしいな。でも現れたら、自分の寂しさに気づいて切なくなるのだろうか。
投稿元:
レビューを見る
現実と向こう側の境界線がない。
ので、突然、海の中で暮らす事になったり、ちいさなちいさな人間(公務員。口笛が巧い)に恋をする羽目に陥ったりする。
今回は特に、同じ登場人物がちらりと出てきたりして愉しかった。
誠子ちゃんと山口さん、どうにかうまくいくといいのにな。
投稿元:
レビューを見る
図書館で借りたけど、やっぱり読まないでもいいや、と思って一度返しかけた。気まぐれで読み始めてみたら面白くて止まらなくなり、一気に読みきってしまいました。
きちんと丁寧に不思議でひねった短編集。
投稿元:
レビューを見る
川上弘美ワールド満載、といったところか。センセイの鞄以外のこの著者の世界観(がどうも大部分らしい)はあまり肌に合わないなぁ。でもまぁ、龍よりはちょっと鞄寄りの雰囲気。。
投稿元:
レビューを見る
読み始めててすぐに、不思議な生き物や幽霊がさりげなく登場する川上ワールドに引き込まれてしまう。短いセンテンスで語りかけるような文体に、ついつい順応してしまうのかもしれない。あれっと思う間もなく、異世界が身近なものになっている。 そこで繰り広げられるのは、食べる、飲む、恋愛するなど、あくまで普通の女性の日常生活のはずなのだけれど、そこはかとないユーモアの中にマジックが隠されているようで、いつのまにか不可思議なお話になっていくのだ。何とも言えない魅力に惹きつけられ、ついつい先を読みたくなってくる。
投稿元:
レビューを見る
コロポックルの山口さん(村の助役補佐。助役って偉い人を「助ける」役割だとすると、それを補佐するひとも助役じゃない?)って意外とやりてだなぁ。33歳の女性のみならず、中高年の心までも奪ってしまって。きっと可愛さを武器に攻めているんだろうな。いくつになっても男はカワイイものよ なんてセリフを昔のテレビで聞いた様な気がしますが、あれはウソだと気づく年齢になってしまいました。そんなシチュエーションになっても「いい年して馬鹿じゃねえの?」と言われるのか現実です。(あくまでも個人的な感想です。)ああ、山口さんがうらやましい。
投稿元:
レビューを見る
かわいらしいお話でした。ほっと一息ついて読むにはいい本。登場人物それぞれに感情移入できるのはさすがだと思いました。
投稿元:
レビューを見る
『ざらざら』と並べて、質感の違い(とか同質感とか)を確認。文字のポイントがかなり違う、その点では少し印象が違う、な。これも1篇を除いて「クウネル」連載のもの(掲載順)で、実際には4年近くかけて読み継いできたはずのものだけれど、こうやって続けて一冊の短編集として読むのは愉しい。この人の書くものは、お天気のいい昼間に読むのが似合うような気がします。私だけ?ともかく、気持ちのどこかがふっと解れます。やっぱり、好きなんだな。そんなふうに口にしてみます。私はやっぱり好きなんだな、この人の書くものが。
投稿元:
レビューを見る
2010年11月に再読私はいつもそうなのだけど、再読の方が楽しめる。話の流れが分かっているから落ち着いてゆっくり読めるからだと思うんだけど、それってなんか子どもっぽいよね・・・。^_^; で、この「パスタマシーンの幽霊」も同じく、始めから川上さんの作りだす小川の流れのような空気に馴染んで気持ちよく読むことができました。コロボックルの山口さんが何度も登場しているのは、川上さんも彼が気にいったから、なんでしょうね。始めはベランダ菜園をしているOL誠子さんからの視点のみで語られる彼だけど、後から、彼が別の菜園にも出没していて、誠子さんに「よこしまな心を持っている」なんてそこの菜園主であるお婆さんに打ち明けたりしているのが嬉しい。(だって誠子さんから見た山口さんは、好ましいながらも穏やかな大人の男性でしかなく、なんかそのとっかかりのなさがもどかしい、というか切ないんだもの)そしてまた、職場での誠子さんが同僚のOLの目線から描写され、そっか、誠子さんって意外と・・・なんても思わされたりね。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2010年5月29日うん、よかったです。「クウネル」に連載したものをまとめた短編集。なんか根っこがはっきりしない女の子の話が多いのに、出てくる食べ物は随分家庭的で地道な感じがして、そのギャップが面白かったり、寂しさを誘ったり。私は、自分のいるところを大事にしたい、と思う古いタイプの人間なんだなぁ、と読みながら、しみじみ思っちゃいました。この短編集に出てくる女の子たちは、どこかフワフワしていて、哀しくて、でもそんな自分を「甘さびしい」なんて結構肯定しているところが、うん、そっか、と・・・。また、異界だったり、幽霊だったり、不思議な人物だったり、と、かなり現実離れした人々が優しく登場してくるのも、その「甘さびしい」感情を増殖させてくれてね。自分の「しっぽ」を人生のいろんな時期に見てしまう女の子の話がよかった。「しっぽ」とは、少し先の自分を見てしまう自分で、現実にその時が来ると、その自分を見ている前の自分をも見えてしまうという・・。「しっぽ」のおかげで、人生を踏みはずなさいですんでいるのか、逆に、自分の意志からは逸れた方向に進んでしまっているのか、とぼんやり悩む主人公。また、ベランダの家庭菜園に時々やってくるコロボックルの山口さんに恋する女の子の話。山口さんは「村」の補佐助役とやらで、無駄な段取りが多くてね、なんて愚痴をもらす・・。「クウネル」のシリーズってこの前に「ざらざら」があったんだね。こちらも読んでみようと思います。
投稿元:
レビューを見る
雑誌「クウネル」に3年余りにわたって掲載された短編と他1篇をまとめたもの。 そういう場合、あまり期待して読まないんだけど、読み始めてすぐ思った。 あぁ〜、私、川上さんの書く話が本当に好きだ。 20数編、どのお話の世界にもすっと入り込め、感情を振幅させられる。 川上さんは、たぶんほとんどの作品を読んで来たと思うけど、過去長編よりも(もしかしたら失礼かもだけど)、この作品が最も好きだ。 いろんな人の人生のそれぞれの場面での感情を描きだす。 こんなにしっくりくるのは、川上さんが同年代女性だからだろうか… なかでも、山口さんの話、アン子ちゃんの話が再度出てくるのがうれしい。 その4作の他のお気に入りは、どの話も心に残るけど、「ほねとたね」、「輪ゴム」、「すき・きらい・らーめん」かな。 同じ「クウネル」掲載の短編をまとめた前作「ざらざら」より、ずっと好きに思うのはなぜだろう。
投稿元:
レビューを見る
感性豊かな人のための作品。そうではない私には、いまひとつ入り込めない世界が描かれていた。寓話のように、文章の裏に隠されている教訓や風刺を感じはする。ただ、私の場合、こういう物語のかたちで読みたいと思えないだけ。自分の頭が固くなってきたことを感じる。