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一話目で「お、昔の川上弘美っぽい!?」って思うものの、
あとのはわりと今風な感じ。
しかしあいかわらず、出てくる食べ物がおいしそうで、
特別に描写が細かいわけではないのに、これってすごいことなのではないかと思う。
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クウネルの短編集
当たりもあれば、はずれもある
けれど、川上弘美さんの文章がとても好きだ
この感覚に、ときに共感して、ときに影響される
ブイヤベースとブーリード
てっせん、クレマチス
が、中でも好き
悲しいけど、幸せなのは、過去だからなんだろうと思いながら本を閉じる
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短い作品なので、眠る前にちょこちょこ1週間ほど読んでいました。
面白いんだけど…自分としては初期の少し毒のある川上ワールドのほうが好きだなぁって思いました。
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(2010.05.14読了)(2010.05.12借入)
22の作品が収められた短編集です。21の作品は、雑誌「ku:nel」(クウネル)に連載された物です。2006年9月~2010年1月の作品で、それぞれ読みきりですが、一度登場した主人公が又使われているのもあります。
●海石(いくり)
浜辺の穴に住んでいる生き物の話です。50年に一度くらい人間の姿になって人と暮らして、気に入らないと食べてしまい、気に入ると一緒に穴に連れて帰るのだそうです。
「神様」のころのわかったようなよくわからないような何でもありの世界です。
●染谷さん
染谷さんは、川原で石を拾っている。いんちき霊感商法のためのものだという。
染谷さんは、藤の籠にいっぱい生卵を入れている。元気ない時は、卵を思い切り割るといいというので、わらしてくれた。
(この話はいったい何だろう)
●すき・きらい・らーめん
一子ちゃんは、一番上の兄の娘だ。わたしの姪だ。一子ちゃんは中学生、私は、今年度大学を卒業する予定だ。一子ちゃんには母親がいない。一子ちゃんが生まれてじきに、病気で亡くなった。兄は結婚後すぐ転勤になった大分県に、ずっと住んでいる。だから、一子ちゃんは生粋の大分生まれ大分育ちだ。
大晦日の昼に、一子ちゃんが東京にやってきた。お正月になって一子ちゃんに「なにか、あったんだね」と聞いて見た。「お父さん、再婚するんです。」と言った。
「お父さんと静さん(再婚相手)がセックスするのが、いやなんです」
●パスタマシーンの幽霊
恋人の隆司の部屋でパスタマシーンを発見した。ばあちゃんの形見だという。
ばあちゃんは、麺棒を使ってパスタを作っていたけど、孫たちからクリスマスプレゼントとしてパスタマシーンをもらってからは、毎日パスタを作って、すぐ死んじゃった。
死んだあとときどき出てきてパスタを打っていた。
わたしは料理が下手なので、隆司のばあちゃんに助けを求めたら、ばあちゃんが現れて料理を教えてくれる。
●ナツツバキ
コロボックルの山口さん(42歳)と人間の誠子さん(32歳)の話。二人で高尾山に出かけました。
●銀の万年筆
大竹さよ、30歳。30歳になってから、突然「もて」が始まった。
桂木くんは、学生時代のサークルの同級生。
平井くんは、同期で営業所属。
吉田先生は、クラシックギター教室主任の立原先生の代役。
田山くん、小林先輩といずれも飲みに誘われ、気がつくといつの間にかホテルにいた。
吉田先生は、ブダペストに行ってしまったけど、平井くん、田上くん、小林先輩、桂木くん。その四人と同時に付き合っている。
●庭のくちぶえ
「ナツツバキ」の続編
川上弘美ワールドが繰り広げられます。ちょっとけだるい感じを楽しみたい方にお勧めです。
☆川上弘美さんの本(既読)
「夜の公園」川上弘美著、中央公論新社、2006.04.25
「ざらざら」川上弘美著、マガジンハウス、2006.07.20
「ハヅキさんのこと」川上弘美著、講談社、2006.09.29
「真鶴」川上弘美著、文芸春秋、2006.10.30
「東京日記(2) ほかに踊りを知らない。」川上弘美著・門間則雄絵、平凡社、2007.11.20
「風花」川上弘美著、集英社、2008.04.10
「どこから行っても遠い町」川上弘美著、新潮社、2008.11.20
「これでよろしくて?」川上弘美著、中央公論新社、2009.09.25
(2010年5月19日・記)
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『お金は、あるに越したことはないけれど、あまりなくてもいい。恋愛も、まあ適当にあればいい。健康はけっこう大事。友達は、いてもいなくても大丈夫。なにより一番大切なのは「揺るがないこと」』-『銀の指輪』
クウネルはいつも立ち読みする。本屋に行くと、ああそうだ、と思い出して雑誌コーナーをあちこち探して回る(クウネルは本屋によってジャンル分けが異なります)のだけれど、見つからないこともあるし、思い出さないこともあるし、何より最近は本屋に行きたい時に行って立ち読みすることもままならない。だから、ああこれは読んだことがある、これはない(あるいは忘れているだけ)と、全く個人的な思いで無意識のうちに一篇ごとに色分けがされる。でもそんな風に一粒ずつ楽しむドロップスのような短篇が、振るとガサゴゾと音を立てる缶のようにずしりとあって安心できる短篇集は楽しい。特に、少しドキドキとしながら読まなくてもいいので(何しろクウネルはいずれにしても女性がたくさんいる辺りに置いてあるので)、落ち着いて味を確かめられる。これはオレンジ、これはハッカ。ああこれは、さっきの味の続きだったんだね。でも、どれも同じ缶から出てきた同じ形のドロップス、おなじデコボコの形の川上弘美。
この短篇集の主人公は女性ばかり(クウネルだから?)だし、やっぱり川上弘美の描く女性には共通したおももちがあるので、読んでいる内「夜の公園」のリリや他の作品の登場人物のことが思い出されたりするし(立ち読みの時には気づかない)、思いは漂い出しそうにもなる。でもこの短篇集では一つのテーマが繰り返されていることにも気づく。それは「変われないと思い込んでいる人がほんの少しだけ変わることができた話」のように書かれているけれど、本当は「変わらないと思い込んでいる人が変わってしまっている自分にほんの少しだけ気づく話」。この受動的なふりをしつつ頑なな主人公の態度こそ、川上弘美の描く女性に共通するおももちだと自分は思う。
そんな風にざっくり言ってしまうと身も蓋もないように感じられてしまうけれど、この変われないことを気に病むというのは現代人にとって実は大きなテーマ。変わることばかりを促される時代に溺れそうになる人はたくさんいる。「どうしてあたしはこうなのだろう」と気に病みつつ、変わらない自分も愛おしい。だから、少し自分の感情や周りの気持ちに疎いように描かれる主人公が悩んでいると、読者は知らない内に共感してしまう。しかも神様の視点で読む読者には、主人公がどうしたらいいかという意見が自然と醸成されてもいて、じれったくもなる。実は、そのじれったさこそが自分が川上弘美を好きな理由なのではないかと思ったりする。
主人公が変わってしまった自分に中々気がつかない。ともすれば時代の流れに逆らっているようにすら見える。でも主人公はやはりつぶやく「どうしてあたしはこんな気持ちになっているんだろう」。それは変化の兆し。そして大概はそのつぶやきで短篇は終わる。短いお話の中で自分の変化にようやく気持ちが追いつく、そのフーガが短篇の結末の後で、読者のなかでもシンコペーションで起こる。じれったさが、ほんの少しだけ、���消される。その余韻のようなものに川上弘美好きは、しみじみしてしまう。特に「蛇を踏む」の好きな川上弘美好きにとって、この短篇集の川上弘美は、何も足りないところがなく、何も余分なところがない。
振ってみるとガサゴソと重たい音を立てていたドロップスの缶は、いつの間にかカランカランとさびしい音に変わっていて、コロリと少ししけった最後の一粒が転がり出てくる。でも缶の口を鼻に近づけるとやっぱりそこにはドロップスの甘い香りが。それはあたかも蓋をきちんと閉めて待っていれば翌朝には再びサ行の乾いた音をたてるドロップスが詰まっていそうな甘い夢。
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切ないような、ちょっといいみたいな、そんな感じ。
「ブイヤベースとブーリード」「きんたま」なんかが、好き。
修三ちゃんとか山口さんとかも、好き。
前作より全体に好き。なんとなく。
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久々に読んだかも、の川上弘美。22篇から成る短編集。決してHappy endのお話ではないけど、ふーっと息を抜いちゃう感じ。中林さんと修三ちゃんのがイタかった。
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2011.03.09. 山口さんがいい。私の前にも、現れないかなぁ。誠子さんは、もしかすると女の人に嫌われてしまうタイプかもしれない。
2010.08.02. 半分近くはクウネルで読んでいる。誠子さんと山口さんが気になる。ふたりとも、とても好感が持てるのです。純情でまじめなのです。★4つ
2010.05.27. 今日の夕刊、文芸時評-5月にて。東直子さんのおすすめ②。東さんは、小説の文体から推測するにきっと川上さんが好き。
→予約5人待ち。
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表題作だってよいけれど、やはり「海石」に尽きる。こういう「性」と「食」が入り交じった生々しい作品は、川上弘美だけのものだと思う。魔物のようであり、女という生き物に対する隠喩のようにも感じられる「海石」の存在。私は「ああ、女だ」と思ったけれど、男の人の目にはどう映るのだろうー。
> あたしたちの「好き」は、どんどん育つ。育ったものは、ものすごくかさばった入り交じりのもの。いちばん大切なのは、食べ物をすりつぶすための歯のじょうぶさ。
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もともと節がある川上さんだが、今回は、「椰子・椰子」や「蛇を踏む」の頃の、へんてこな設定がよくでてくる短編集で、惹き込まれる様に一気に読みきった。最近はしんみりとしみじみとした恋愛小説が多かったが、やっぱり川上さんはへんてこでなくっちゃと思ってしまう。そこに川上節のワビサビが散りばめられていて、思わずうなる。
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もう最高!!
川上弘美ワールド満載。
頭の中のぞきこみたいくらい。
短すぎるおはなしのなかで、きちんと成立し、確立されている。こんな短編は川上さんしかかけませんよね。
どのおはなしもあたたかくて、素敵。
やさしくなれちゃう。
もっと、もっと読みたいのに、終わり方が素敵だからすっきりします。
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20~30代の女性が主人公の短編集。
川上弘美さんらしい雰囲気が健在^^
人生や恋愛について、深くぼんやり考えるヒント。
パスタマシーンの幽霊は、おばあさんです。
コロボックルの山口さんもイイキャラです!
雑誌クウネルに連載してたもの。
短くて読みやすいですよ。
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何人もの女性視点で描いた掌編とも言える短篇集。
優しくて繊細で、読むとどこか切なさを感じるお話が沢山詰まっていました。
個人的にはアン子と修三ちゃんが出てくるお話が好きです。
あと「銀の万年筆」。彼女が最終的に選んだ道の、その理由がなぜだかとても共感できたので。
この作者の長編も好きだけど、ここまでお腹いっぱいになれるのは短篇ならではかもしれない。
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久々に(良い意味で)変な川上弘美さんに触れたような気がしました。1作1作はとっても短いのだけれど、最後には必ず余韻が残る。どんな話?って言われても答えられないような、めくるめく不思議な世界。
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雑誌ku:nelに連載されていた短篇集をまとめたものだそうです。
「せんせいの鞄」を彷彿とさせる、私の思う、私の好きな川上弘美氏の世界を堪能しました。短編よりもっと短いストーリーばかりですが、どれも好きです。