現代思想の最重要論点を整理して解いてくれる画期的な哲学書です!
2020/04/14 09:27
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、現代思想において最も重要な論点を平易に教示してくれる哲学書の決定版です。同書の中で著者は、「現代の私たちを取り巻く<知>というものは、20世紀以降の世界に現れた4つの状況から発生している」と主張します。その4つとは、(1) ポスト・グーテンベルク状況、(2) ポスト・モダン状況、(3) ポスト・ナショナル状況、(4) ポスト・ヒューマン状況、だと説かれています。さらに著者は、そこから浮かび上がってくる「イメージと記号論」や「情報とメディアの思想」、「ナショナリズムと国家」といったものを、ソシュール、レヴィ・ストロース、フーコーといった偉大な哲学者の思想をを読み直しながら見つけていきます。なかなか読み応えのある画期的な一冊です。
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現代思想の重要課題を15章にわたって解説。
「思想」が決して机上の空論ではなく、私たちが生きる社会にしっかりと根ざした、アクチュアルなものであることが良く分かる。
扱っているテーマはどれも難しいものだが、非常に平易に書かれているため、初学者にオススメの一冊。
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神保町の三省堂で一章を立ち読みして購買。タイトル通り現代思想をコンパクトにまとめた教科書的なもの。
どこかの本に教養と雑学の違いは関連性と一問一答方式の違いである。ということが書いてあったが、そういった意味での教養をつけるには様々な問題を統合した視座で捉えようとする軸が必要である。それこそが(現代)思想であると思う。
やはり、テクノロジーの発達によって近代までは当たり前にしていた物事そのものが不確かになってきているということが現代なのではないか。その当たり前のことの根拠付けを必死に探している。
あくまでこの本は教科書である。内容も表面的なことをなぞる程度。こういった考え方があるのだなと知るのにちょうどよい。参考文献が巻末にあるので興味を持った内容はそこから調べていけるのもよい。
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二〇世紀の思想を現代にも通じるものとして解説した、本の名前のとおりに教科書のような本。
全一五章のうち、まだラカンについて勉強していなかったため、特に六章の「欲望とは何か」が参考になった。後ろのほうについてる読書案内も今後の学習のためには有益だし、僕のようなまだまだ勉強しなければならないことの多い学生には良い本だと思う。
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概論。読みやすいが、教科書的では無いかもしれない。
ただ、単なる概論に留まらず、特に後半において学際的に思想を捉えていこうという態度は良かった。
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2013.03 興味がある分野とない分野が混在していたか、教科書というだけあってたいへん勉強になった。
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分かりやすい章立てと文章がとても嬉しく、読みやすい本だった。
とっつきにくくないのが魅力的。
何度でも読み返したい。
気になった章から読み広げられそう。
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「現代思想の教科書」石田英敬を久しぶりに読み直しみた。
放送大学「現代思想の地平」の講義を元につくられたこの本はタイトルのように教科書的(知識を教えることに特化した本)で、私としては退屈なところが多い。思考の動き、ゆさぶりがみられるのはゲストを招いた回で、特に西谷修さんを招いた回はよかった。
「正しい戦争」というものを問わなくなり、「権利があるものどうしの正当な戦」という言い表し方は、9.11以降の混沌とした、形容しがたい靄がかかった戦争に当てはまる。
イラク戦争前に発言された「危機の防止」という言葉は、危機管理にも聞こえるが、実際のところ相手の地を踏み、根絶やしにしようという勢いだった。これではやられたから、やりかえすという子供の殴りあいと、さして変わらない。
既に、根本的な解決の見通しは失い、未来が見通せなくなったのは、良き未来すら私たちが想像できなくなったからだろうか?
想像はすべての源とであり、到達すべき場所である。
私たちそれに向かって、なにができるかを考えるべきじゃないのか。
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放送大学の講義をもとにした現代思想の入門書。トピックごとに章立てされており、言語、記号、無意識、文化、情報とメディア、戦争、宗教、ナショナリズムと国家などの問題が取り上げられる。登場する思想家は、ソシュール、パース、フロイト、レヴィ=ストロース、ラカン、フーコー、ブルデュー、マクルーハン、フッサールなど。また、11・12章は西谷修、13章は小森陽一との対談となっている。巻末には読書案内が付される。
冒頭で著者・石田は、「今日における知と世界との関係」の特徴として「四つのポスト状況」を指摘する。すなわち、「ポスト・グーテンベルク」状況、「ポスト・モダン」状況、「ポスト・ナショナル」状況、「ポスト・ヒューマン」状況、というのがそれである。正直なところ、本編を読んでいる最中、僕はこの問題規定を忘れがちだったのだが(著者も無理やりそこに引き付けたりはしない)、最終章である第15章においてその観点から全編のまとめがなされ、「四つのポスト状況」が有効な視角であると納得することができた。
著者によれば「四つのポスト状況」は総合知としての「人文知」ないし「哲学」を失効させる。それに対して「来るべきユマリスト」(ユマリストとはルネッサンス以降の人文主義者を指す)が求められるとし、その要件として、1.メディア横断的な知の実践、2.ポスト理性の時代にあって「理性」の復権を目指す実践、3.多言語的で多文化的な教養に依拠する能力、4.自然と人工、生命と数理、リアルとヴァーチャル、意味と計算、情報と記号の、それぞれの「間」の関係づけを行いうる能力、を挙げる。いかにも抽象的だが、「来るべき」人間類型を描いているのだから具体性を伴わないのが当然ともいえる。どのようなかたちで四つの要件を満たすことができるのか、考えていくことが重要だろう。
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近代は理性によって活字や書物により知を総合した人文知の時代であった。ポストモダンはこの西欧を中心として構成された理性に対して懐疑を投げ掛けたのであり、そしてポストナショナルはこのモノリンガルな知の前提を崩壊させた。そして理性によって自然や野蛮を支配し、合理的な秩序を打ち立てることが出来るというヒューマニズムの原理を否定したのがポストヒューマン状況である。 これから目指すべきは非統合的な総合知であり、すなわちネットワーク型、横断型の知である。
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現代思想について、短時間で大雑把に把握したい場合にオススメの本。この本をとっかかりにして探究を進めると良いかもしれません。
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現代思想を学ぶために古典をどの順番で読めばいいか教えてくれるまさに教科書。
最初はわからない単語だらけだがここで引用されている本たちは「教科書に載るような本」ばかりなので、それらを読んではまたこの本を読み直すを繰り返すこと数年。少しずつわかるようになった!
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素人でも読める現代思想の入門書やっとみつけた
体系的にまとまっているので、
以前他の現代思想を読みかじって「???」となっていたのがどういう歴史的流れでの話だったのかがなんとなく分かった
なんとなくの全体像掴むのにいい本だとおもいました。
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哲学の本は相変わらず難しいけれど、少し理解できるようになった気がする。
それでも最後のまとめはあまり理解できなかった。
とりあえず、いくつか心に残ったことを書き留めておく。
・フーコーのディシプリンという考え方
近代社会は規律型訓練のもとに成り立っている
学校や刑務所、病院など至る所にあって制服もその典型。これらのおかげで成功したとされる社会の再生産が行われる。
上手な刷り込みだと感じた。
・イメージの過剰の時代だからこそ、イメージの貧困に陥っている
・ナショナリズム
そもそもこの言葉をあまり知らなかったので勉強になった。
明治維新後日本は国家を作り上げてきたが、最近は国家をいじできなくなってきている。だから、本来の反対の意味である憲法を使って政治家が国民に対してナショナリズムを強制しようとしている。これは非民主的になっていく懸念がある。
・マークがついていないのがマジョリティ
女優、女医など女という枕詞をつけるのもマイノリティの証
不自然の区分になっている
19世紀までは西洋の同一性をもとにされた世界観であったが、20〜21世紀は差異を中心にされた世界観
ソシュールが言葉そのものに意味はなく、歳を生み出すためのものだといったように、全ての価値観もそうなのである。
ちなみにマジョリティは単に多いだけでなく、主要なと言う意味がり、マイノリティは従属していると言う意味も含まれている!
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①ポスト・グーテンベルク
②ポストモダン
③ポスト・ナショナル
④ポスト・ヒューマン
56 ソシュール
人間社会を意味の生産・流通・消費の観点から研究する可能性
66 パースのセミオーシス(記号過程)
81 ホフマイヤーの生命記号論
153 フーコーのdiscipline
242 戦争
260 「戦争が腐乱していく」『夜の鼓動にふれる』
271 ウェーバー「世界の脱魔術化」