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光があるから影ができるのか。影があるから光が生まれるのか。ここに、時代小説でなければ、書けない男たちがいる。父の遺骸を前にして泣く自分に「武士の子なら泣くなっ」と怒鳴った幼い少年の姿。作法も知らぬまま、ただ刀を合わせて刎頚の契りを交わした十四の秋。それから―竹馬の友・磯貝彦四郎の不遇の死を知った国家老・名倉彰蔵は、その死の真相を追う。おまえに何が起きた。おまえは何をした。おれに何ができたのか(「BOOK」データベースより)
藩内で起きた百姓一揆。
その顛末を目の当たりにした勘一(後の彰蔵)と彦四朗の胸にそれぞれ宿ったもの。
今の境遇ではおよそ実現不可能だが、形になれば藩を救う勘一の夢。
それを聞かされた彦四朗の決意。
様々なもの、様々な想いが重なって進むストーリー。
百田さんが描き出す初の時代小説。
文句なく面白いです。
読んでいる途中では、彦四朗に「器用貧乏」というレッテルを張ってしまっていたのですが、実は○○だったとは・・・!
ネタバレしてしまうから話せないけれど、こんなに読後の印象が変わった登場人物はなかなかいないかも。
読後、もう一度初めのページをめくりたくなる一冊です。
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下士の身分から筆頭家老まで上り詰めた名倉彰蔵は、20年ぶりに帰った国元でかつての刎頚の友・磯貝彦四朗の死を知る。かつてあれほど優秀だった男が、どうして落魄の末に野垂れ死にしたのか。そこには誰にも知られることのない想いがあった…
バディものの変形版としての時代劇。
抑圧が強い士族社会だからこそ高じる人の内圧が
一人の侍の人生を通して描かれる。
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何回も感情が込み上げて来そうになった。
永遠の0もよかったけど、これもいい。
友情なんて言葉が生ぬるいと思うくらい、熱い二人の武士の人生にぐっときた。
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自分の高い能力の使い方を高い志をもったもののために使う人生を選んだ主人公。久しぶりに人に勧められる本に出会った。
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装丁のいい本というのは,手にとってもらえるチャンスが多いだろう。カバーに著者紹介におやっと思うようなことが書いてあれば,もう鬼に金棒。この本のカバーはとてもいい。光沢の黒に白抜き文字で影法師。黄色文字で百田尚樹とある。あの『永遠の0(ゼロ)』の著者だ。
読んだ読んだ。今年は初めての涙本。著者は1956年生まれ。私よりふたつ若い。
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百田 尚樹
講談社 (2010/5/21)
夏に図書館予約したけれど借りられたのは先日でした
『ボックス』がすごくよかったので早く読みたいなあって思ってました
これも「男の友情」
でも身分制度が厳しい江戸時代が背景
ここまで自分を犠牲にできるのかなんて思ってしまったけれど
読み応え十分でした
影法師とはそういうことだったんですね
≪ 夢を追う 刎頚の友 その影に ≫
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「永遠の0」という小説を読んだ後だったので、読み進めるうちに、こうならないでほしいなと願いながら読んだが、まったく裏切られた。帯に高田純二が涙したとあったが、普通であれば涙するストーリーだと思う。江戸時代という時代背景から、たぶん彦次郎は勘一にかけてみたのではないかと思われる。最後に丘で田を眺めていた、二人それぞれの風景が頭に浮かんだとき、正直ジーンと来るのものがあった。人へ夢を託し、影として生きる彦四郎のような人生が今の世の中にあるのかなと思う。
本当に、百田尚樹の小説は読みやすい。すぐに読めてしまう。やはり会話と説明のテンポがいいのだと思う。これからも、作者の作品を読んでゆきたい。
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男同士の友情の美しさを見た。互いが互いを認め合い、命をかけて行動する。時代物ならではの良さもあって、ラスト50ページは涙なしには読めなかった。展開自体は予想がついたが、その描写の素晴らしさや会話文のテンポや言葉の選択に感動せずにはいられなかった。まだ1月だけど今年最高の1冊。
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感動で言葉が出てきません。友、勘一を、自らの人生を捨てる覚悟で守り続けた天才剣士、彦四郎。まさに勘一の影となり最期はひっそりと死んでいた様は、壮絶の一言。時が経ち、少しずつ真実を知る事になる勘一こと彰蔵の、胸を張り裂かんばかりの心の叫びが聞こえてきそうです。当時の下級武士の家柄問題や、年貢制度の不条理さも含め、やるせなさに打ちのめされました。
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生涯の契りを誓った2人の少年。1人は異例の出世を果たし、1人は貧困のなかで朽ち果てた。国家老となった名倉彰蔵は、竹馬の友・磯貝彦四郎の不遇の死の真相を追う…。
ボクシングのスポ根モノ、60年代日本のボクシングのノンフィクション、第二次大戦の特攻隊モノ、ハチが主人公のファンタジー…と多岐に渡る百田尚樹の本を読んできたが、今度は二人の男の友情がテーマの時代劇。現代ではあり得ないような話も、サムライの時代ならあってもおかしくないかも…と思わせる。終盤いくらなんでも造り過ぎと感じたけど、一気に読ませる力は十分。
(A)
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一気読みでした!おもしろかった!
宮部以外の時代小説ってほとんど読んだことないんだけど、いいな、こういうのも。
彦四郎の武士としての決意、父・千兵衞の子を思う気持ち、母・ぬいの凛とした強さ、五郎次の懐の広さ、恵海の師としてのあるべき姿、島貫の彦四郎への敬意、、、いろんなものが染みました。
人が刀を持ち歩き殺人が横行する時代、身分差があって生まれた家で人生が決まる時代、嫡男だけが優遇される時代、何代も前の祖先の因果を引きずる時代、居間は当主しか自由に使えない時代、今から考えるとそれはもう散々な時代なんですが、それでもその時代を懸命に生き抜いた人たちがいて今の私たちがあり、確かに歴史は紡がれていて。見習わなくてはならない礼儀が確かにそこにはありました。
一度すれちがってしまうと、もう二度と会えることがない…そんな時代ってすごい、今やメールもネットもあるし、飛行機も新幹線もあるし…でもやっぱり、今、会えてるその時間を大事にしないといけないな。
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貧困の差、身分の差、そして自由が認められない時代にひたむきに生き、義理や人情の素晴らしさ、そして命をかけて守れる程の友や愛おしい人が居る人生の魅力を伝えている作品だと思いました。この時代背景だからこそ、読み手をグイッと惹きつけるんだと思います。表舞台に出る人、それを陰で支える人。現代なら、まだサラリと流せる内容だけど、この時代じゃないと、ここまで胸が熱くならないんだろうねぇ。素晴らしい一冊に出合いましたよ。
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「武士」「武士道」「人情」「友情」
のお話かなぁ。
武士は基本的に「君」に「忠」を尽くすものとされてるけど
この本だと「君」の部分が「友」になる。
メリット度外視で主人公の影になってせっせと尽くす彦四郎に
なんでそんな不器用なんだー!ってツッコミも入れたくなる。
有言実行じゃなく無言実行なシブイタイプですね。
最後彦四郎がせっせと助けてくれたことを知るんだけど
ときすでに時間切れ、彼はもうこの世にはいない!みたいな。
もうちょい早く気づいて酒を飲み交わすような仲で終われていたらなぁと
願わずにはいられなかったのでした。
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江戸の時代がここまで不条理だったとは・・頭で分かっていても、実際に一揆を起こし、一家全員はりつけの刑になる覚悟とはどんなものだったか、想像するにはかり余るものがあります。
まして、それは実際に400年という徳川の歴史の中で幾度となく繰り返されたこと。
ならば武士の家に生まれれば不条理はないのか、というとそうではなく、武士のしきたりや、喧嘩沙汰になったときの不条理は百姓のそれとは比べものにならないと思いました。
日本の歴史が好きならば1度は読んでみる本だと思います。
ところでこの影法師の主人公の勘一ですが、同じような内容の話を水戸黄門で見たことある気がします。実際にこのような人たちが今の日本を支えていたんだと思うと、畏敬の念を禁じ得ません。
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勘一の夢を実現する方法は彦四朗の方法でしかなかったのか。
なんで彦四朗はそこまでしたのか。
朴訥真面目な勘一の人生を夢中で読みつつ、最終的に彦四郎にもやッとさせられた。泣かせどころはそこなのだろうけど…もやッ。