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千々石ミゲルが底なしに良い人に思えた。しかしその中でもところどころに人間味があったのが妙にリアルだと感じた。ミゲルというと、一人だけキリスト教を捨てたということであまり良いイメージは無かったが、この物語では形は捨てても心の中ではキリシタンだったという設定なので悪いイメージは全くなく、ただ本当にいい人。
自分は物語中盤まで知らず知らずのうちにミゲルに感情移入していたので、ミゲル以外の少年使節が再び行ってしまう場面は込み上げるものがあった。
そしてなにより、四人の友情が素晴らしい。一人で四人、四人で一人という言葉が今も頭に残っている。
最後の方のミゲルが私はキリシタンだというシーンからラストにかけてはボロボロと泣いてしまった。
この本を読んで良かったと思う
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ミゲルの妻・珠を主人公にした(?)小説。
そのため、妻の心情がメインになっている気がします。なんだかうっすら恋愛小説のような印象を受けました。
★良かったところ
だいたいの歴史の流れをたどってくれるので、使節帰国後の日本の様子が想像できます。
使節たちがミサの言葉を使っていました。日常で使う(使っていた)のかはわかりませんが。
使節の4人の仲が良いです。ほほえましいです。
★物足りなかったところ
ミゲルの棄教を描くのであれば、信仰についての描写がもっと欲しかったです(でも作者の意図とは違うのかも)。
ミゲルの心情についてあまり描かれていないせいか、何をもって棄教としているのかが読み取れませんでした。
他にも、信者でないと思っていた妻が棄教したと書いてあったり、読んでて「あれ??」と思う点がありました。
誤植もあって残念。
…と、最初に読んだ印象はこんな感じです。私の読み取り不足もあるかと思います。
あとで考えてみた結果、
他の3人の人生は、ミゲルの支えの上に成り立っていたものだ、ということが描かれていたのだと思いました。
ああ、そういうこともあるかもなあと思いました。
時代小説としては面白いです。
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2014.07.27
大名たちが南蛮貿易のためにキリスト教徒になったり、都合が悪くなるとあっさり棄教するのはわかる。(全員というわけではないけど)
でも一般庶民たちが命を捨てるほど、キリスト教を信じたのはどうしてだろう?
もしあの頃、禁教令や鎖国などが無かったら、
今の日本はどうなっていたんだろう?
いろいろなことを考えさせられだけれど、
小説としては、ミゲルやジュリアンに感情移入することができなかった。
ミゲルの妻の珠の視点で書かれているので仕方ないかもしれないけれど、彼ら自身がキリスト教をどのように信じているのかというようなことが
あまり良くわからなかった。
それ以上に最愛の夫から大事なことを何も話してもらえない珠がかわいそうだった。
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村木嵐さんの歴史小説『マルガリータ』を読了。豊臣の時代から江戸時代にかけて基督教が禁教された時期の直前にスペンにまで学びに行った日本人4名。宣教師になり、日本人初の司祭を目指し切磋琢磨をしてついに帰国。だが待っていたのは想像以上に過酷な禁教の世での宣教師としての生活だった。その四人のなかで、ただ一人遺教したと言われミゲルという名を捨て清左衛門として行きながらも、心の中の主を信じつつ、仲間の3人を支え続けたと言われている主人公の半生を描いた素晴らしい小説だ。ここまで人の犠牲になって生きる事の出来た人は数少ないだろう。殉教を説いた外国人宣教師、殉教に疑問を持った日本人宣教師。同じ宗教に帰依しても大きく違う教えが存在しうる。宗教って不思議すぎる。
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若桑みどりの名著『クワトロ・ラガッツィ』読んだ後、読みはじめました。
信長による天下統一への道が着々と進む中、九州のキリシタン大名によってローマに派遣された天正遣欧少年使節。帰国後、その中で千々石ミゲルだけが棄教してしまいます。信仰心の篤い彼に棄教を決断させたものは何だったのか。
中盤までは主人公にあまり大きな動きはなく退屈な展開ですが、徐々にキリシタン弾圧への動きが激しくなるなかで、登場人物たちの行動も葛藤も増していきます。
ネタバレになるので詳しくは書けませんが、ラストは序盤の退屈さを払しょくする、感動的なものでした。
でもこのラストが待っているなら、中盤ももっと書きこむべきだったんじゃないかと思います。
作者の若さが出てしまっています。惜しい!
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天正遣欧少年使節の中で唯一棄教した千々石ミゲルの話。
ちょうど、映画『沈黙』を見た直後だったので、とて興味深く手に取った次第。
個人的には最後の最後まで秘密が明かされないので、ずーっとイライラしながら読んだが、これが真実であって欲しいと願う。
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天正遣欧少年使節団の4人のうち、唯一、信仰を捨てた千々石ミゲルの生涯の苦悩を妻・珠の視線から描いたもの。
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2019/08/29
宗教って、神様ってそんなに絶対のものなのか?
そんなに対立するものなのか。
実際、イスラムとユダヤの対立は未だにある。
歴史の勉強で知識はあるけど、珠やミゲルの個人を知ると、閉塞感にやりきれなくなる。
四人の決心、結束が心を打つ。
四人の作戦も、幕府の作戦も思いもよらないものだった。
宗教の自由がありがたいと、思う
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”キリスト教は殉教するもの”、と信じていた。ローマ帝国の迫害や江戸初期の禁教令。
ある意味、殉教に対峙するキリスト教徒の強靭さ・信仰心に驚愕していた気がする。(クオ・ワディス!ではないけど)しかし、…。
天正遣欧少年使節の千々石ミゲルたちの帰国後の禁教令下の殉教とミゲルの妻・珠の物語。
キリスト教の迫害に関しては、その危険に身を晒し続けていた伝道士たちは自分たちが殉教することになることを知っていと、という。その状況に、普通の教徒を巻き添えにしたという。それは、キリスト教の布教として、正しい道だったのでしょうか? はじめて疑問を持ってしまった。
一方、珠の方は、「ミゲルが愛したのは、伊奈姫?それとも、珠?」と悩む。
順番を付けるわけではないし、比べられるものでもないけど、天主様、使節団の3人、伊那姫そして、珠。最後までミゲルの本心に近づけなかったと感じる珠の、一途な思い・絶望感に涙が止まらない。
「マルタとマリア」の話が出てきますが、聖書では、マルタは窘められてはいないハズ。マルタもマリアも、各自が必要なことをして、イエス様にすべてを受け入れていただいた、という話。だから、珠もすべてを受け入れられていたはずだと、思えてしかたがない。
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千々石ミゲル清左衛門の話。
ミゲル、マルチノ、マンショ、ジュリアンは南蛮を学ぶために少年の身でありながらローマへとむかった。帰ってきた4人にはそれぞれ使命というものが待ち構えていたが、一番苦しかったのが、このミゲルであろう。
4人とも、南蛮人がのぞむ殉教などこの国のものには1人も出させぬという誓いを立て、それぞれの使命を全うする。
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この話がどこまで事実なのかは分かりませんが、この時代、日本でもこのようなことがあったのかと知ることが出来ました。前半はひたすら史実を追うので読むのは大変かもしれませんが、歴史の勉強をするよりも、この一冊を読めば分かることが沢山あると思います。後半からの展開がよかった。珠とじゅりあんのやり取りのあとの、結もよかったです。今の時代は珠のような人が多く、皆それぞれに、尊いですね。