悪人なら殺してもいいのか
2010/10/11 23:10
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投稿者:ケルレン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヴァランダー刑事シリーズ第6弾。一人暮らしの老人の不在、何も盗らない不法侵入。事件性がないと思われた二つの通報が、たっぷりと苦痛を与えてゆっくりと殺された死体の発見で、残虐な連続殺人事件へと発展する。殺人方法の異常さと、それぞれが何の接点もないことからサイコパスを疑うが、被害者たちの人物像が明らかになるにつれ、ヴァランダーは別の観点から捜査を進めていく。
何年にも渡って他人を痛めつけてきたような人間は、殺されて当然だという感情は抑えがたいし、警察は何をやっているのだ、と思うことはしばしばある。しかし、私達は法によって秩序を保っているのだし、警察だって現場の人間はこつこつと地道な仕事を重ねているのだ、ということが、ヴァランダーたちの捜査を通して、リアルに描かれている。
1996年の作品(スウェーデンが舞台)だが、正義とは何かという問いや、信用できない警察に代わって市民が悪人を裁こうとする動きなど、現在の日本にとってはタイムリーな問題ではなかろうか。
まだ上巻だが・・・
2020/06/14 22:47
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投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作「目くらましの道」のなんと数か月後という設定で始まる今作。
長いこと心が通じ合わなかった父親とのローマ旅行を終えて、気分一新で仕事に復帰したヴァランダーだったが、一見些細な通報2件からまたも身の毛のよだつような事件が襲いかかってくる。秋というよりほとんど冬のような強風と雨の中、ヴァランダーたちの手探りの捜査が続く。
今作で印象的だったのは、人の心もそそけ立たせるようなスコーネ地方の冬の始まりの描写だ。スェーデンでも最南部のスコーネ地方だが、バルト海に面していてとにかく風が強いらしい。以前デンマークのユトランド半島のドキュメンタリーを見た時にも感じたが、海岸が数年で砂交じりの強風により何メートルも崩壊して後退してゆくという人が住むにはかなり厳しいところなのだ。ヴァランダーの住むイースタもドイツや東欧、ロシアとは海を挟んで向かい合い、開かれた世界のようにも見えるが、同時にそれは未知の人やものが入り込んでくる玄関口でもある。そしてヴァランダーはいつも海の向こうからやってくるものに、自分の価値観とのギャップを知らされ思い悩む。
上巻の最後あたりでリンダに語る彼の心情につい感情移入してしまう自分も、年取った者にも若い者にも厳しい現代の新しい価値基準にはあまり賛成できないし、乗っていこうとも思わない。
下巻で展開されるだろう犯人の理屈を読むのが、もう今から憂鬱に感じて仕様がない。
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クルト・ヴァランダーを主人公にした警察小説シリーズ6作目に
あたる本書の事件の幕開けも牧歌的なイメージ色濃い
スウェーデンには到底似つかわしくない残忍な犯行現場。
父とのローマ2人旅の余韻にゆっくり浸る間もないまま
連続殺人事件解決に挑んでゆく。
このシリーズは主人公のキャラクターの魅力に惹かれ、読後事件の
内容は忘れても、家族との会話、同僚や上司、友人刑事たちとの
エピソードが不思議と記憶に残る。
今回も事件解決に忙しい最中、わざわざ遠距離恋愛中の恋人
バイパに電話してもめたり、そうかと思うと2人で暮らすための
新居や飼犬を探してまわるマメでカワイイ中年男の一面も
垣間見れる。またしても次作の翻訳が待ち遠しいのである。
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これでもかと言わんばかりに増えていく謎、伏線。掴めそうで掴めない事件像がなんとももどかしい。主人公ヴァランダーの言葉を借りれば『いくつかバラバラの糸口が見えるが、一つとしてはっきりとした手がかりはない。まったくお手上げだ』という状態で上巻は終わる。これだけ広げた謎をどんな風にたたむのか下巻に期待。
このシリーズは初体験で、加えて冒頭から次次に場面が変わるので始めこそとっつきにくかったものの、キャラクターを把握してしまうと、むしろとても読みやすいミステリだった。
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北欧の小さな町が舞台のお話。登場人物の名前が「ホルゲ」とか「ニーベリ」とかで異国感満点。センテンスが短く(警察官らしい感じ)読みやすい。店主が旅行中の花屋への不法侵入。鳥の詩を書く元自動車販売業者は残忍な方法で殺される。一見無関係の事件が繋がっていく・・・。これから読む下巻が楽しみ。
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上巻後半から、最後まで一気読み。怒涛の展開。
スウェーデン語の地名に戸惑う。
わざとかもしれないが、日本語訳が硬くて、違和感を感じる。
特に会話文。
主人公ヴァランダーのキャラクターが、自分のなかではいまいち浮かび上がってきていない。
困るのは、前作を読んでいないのに、犯人について語ること。一言二言なんだけど、読む前にわかっちゃうじゃん!!順番に読まなきゃだめなのかー。
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スウェーデンの警察物。
クルト・ヴァランダーが主人公のシリーズ、6作目。
スウェーデン南端のイースタという町はそれほど大きくはないのだが、交通の要衝に当たっているために犯罪は少なくない。
クルトは、父とローマ旅行に行って帰ってきた所。
父は気むずかしく、痴呆が時折出てもいたのであまり上手くいっていなかったが、旅行先では楽しく過ごすことが出来た。
父は長年ほとんど同じ絵を描き続けてきた画家で、イタリアに行くのは生涯の夢だったらしい。
その旅行に同行できた幸せを感じる。
帰国後、妙な事件が相次ぐ。
元自動車販売会社経営の老人エリクソンが行方不明になり、様子を見に行ったヴァランダーは、敷地内の壕に落ちて串刺しになっているのを発見。
周到に用意された犯罪の残酷さに、一斉捜査にかかったメンバーは青ざめる。
花屋の老人ルーンフェルトが海外旅行に行くはずが行っていないという事件も。
一見、孤独がちで無害な彼らには、裏の顔が…
犯人の側からの描写も入るので、大体犯人像はわかっているが、詳細はむろんわからない。
連続殺人のきっかけは、思いがけない。アルジェリアで外国人女性が襲われた事件にあった…
前半は、恐るべき犯人が警察の前に立ちはだかるという印象。
連続殺人でもサイコパスというわけではない、知性と狂気を併せ持つ犯人。意志が強く計画的で、ある意味、軍人のよう?
後半、犯人に迫っていく様子がスリリングに描かれます。
父の死、その前後の家族の気持ちややりとりも。
娘のリンダは独り立ちしていて、なかなか連絡もくれない。クルトは恋人のバイバと結婚を考えているが、両親の離婚を見ていた娘には結婚に向いていない人間と批判される。
バイバになかなか連絡ができず、結婚したい気持ちになっているにしては、仕事優先過ぎ?おいおい、どっちなのよっていう。
感情的で、のめり込みタイプな名物刑事なのよね。
警官仲間とは上手くいっている様子。
シリーズ1作目で妻に出て行かれたものの、諦めきれないでいたみっともなさよりは少しは進歩しているのかな?
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ヴァランダー・シリーズです。今回は、アフリカで過去に起きた事件と、スウェーデンでの連続殺人事件との関連を探るという内容になっています。いつもながら、ドキドキさせられる展開で面白かったです。
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三年ぶりの新作。
プロローグで明かされる“五番目の女”。なるほどそういう話なのかと了解するも、コトはそう単純ではないことを早々に思い知らされる。
捜査に忙殺されるヴァランダー。父を亡くした喪失感、手掛かりゼロの焦燥感、その合間に将来のプランを空想しては、新たな被害者の出現に絶望を感じてひたすら沈み込む。このヒロイックとは縁遠い主人公に、シリーズ特有の頑固さや堅実さがよく表れていると思う。脇を固める捜査官たちも等身大で人間臭い。プロフェッショナルのいない小さなチームだが、役割分担に長け実に手際が良い。「少数でこれだけ機能している捜査陣とは一緒に働いたことがない」とは、応援に来た捜査員の台詞。
突破口はおろか手掛かりさえ掴めない難関な事件は、バラバラの点が線につながるのか予測も出来ない。ゼロの地点から、集まった少ない手掛かりに対し、角度を変え想像力を働かせ事件の骨格を見出そうとする。そこに偶然の証拠や証人は存在しない。寝る時間を削って歩き聞き、信念と執念を持って追いつめたチームワークの勝利である。そして冒頭のタイトルの意味に帰結する。これこそまさに警察小説の真髄。
読後は余韻が後を引き、じわじわと感情の奥底に沁みこんでくる。いいミステリとはそういうもの。特にこのシリーズは考えさせられることが多い。国や地域の抱える問題が常にストーリーとリンクしているので、北欧ミステリはただの謎解きでは終わらない。エンタメ性に傾斜することもなく、真摯で奥が深く、そして仄暗い。捜査の終焉にある種の脱力を感じながら、一方でどことなく身を引き締めてくれる、私にとっては唯一無二のシリーズなのである。
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スウェーデンの警察小説といえば、これ。ヘニング・マンケルのクルト・ヴァランダー刑事シリーズ、3年ぶりに第六作が登場です。父とのローマ旅行を終え、仕事に戻ったヴァランダーを待っていたのは、無人だった花屋の侵入事件と一人暮らしの老人の失踪事件。やがて老人は惨殺されていたことが分かる。さらに、旅行中ということだった花屋の主人も・・・。二つの事件に接点はあるのか。ヴァランダーたちの捜査は思うように進まない。続きは下巻で。
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刑事ヴァランダー第6シリーズ。今回は父との楽しいイタリア旅行から帰ったところへ、事件が発生。花屋の失踪、槍で刺されるという残虐な殺人事件とは関係があるのか?という話です。
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前回に引き続き、連続殺人物なので、
似ている感はいなめない。
でも、まあミステリーっぽい作品であることも
前作同様なので、許せる範囲か。
ただ、傭兵とかテロリストとかを持ち出したのが、
面白い展開に結びついていないというか、
功を奏していない気がする。
(下巻に続く)
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ヴァランダーシリーズの6冊目。
残酷な串刺し殺人事件と監禁の末、衰弱した後の殺人事件。この二つの事件のわずかな共通点から同一犯との推測を固めるヴァランダー。個々として謎がつながらなくなってゆく。
これまで確執を深めていた父親の突然の死を迎えながらも事件解決のため文字通り東奔西走。
娘リンダとの心が通じ合いそうなシーンで「上」のエンド。スエーデンという国の持つ寂しさ、厳しさに気づかされる。
風景はあんなにも凛として美しいのに。
「下」は明日にならなくては届かない。一緒に買えなかったのが残念でしょうがない。
最後の行
『これからどうやって生きていったらいいんだ?』
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スウェーデン版怨み屋本舗の気配が…何かヴァランダーもののスウェーデンっていつも天気が悪いようなイメージがある。
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6作目。
作品としてのまとまりがあり、登場人物たちになじみもあって入り込みやすい。
シリーズ物はこーでなくちゃ。
タイトルや承前が内容とどうからむのかなかなかわからなかったり、
読者の心をつかむ術が巧み。
犯罪内容と謎解きが古めかしいのは仕方ない。
あとがきを読んで本シリーズは10作で終わっていることを知った。
あとちょっとか。。。