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みんなのレビュー15件

みんなの評価4.2

評価内訳

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紙の本

幕末から明治維新にかけて、語られるのはあくまで明治維新後に勝ち組となった人間たちのことばかり。でも、そのような政官学が作り上げたまやかしの歴史観から脱却して、本当の人間を見つめるべき時が来ています。

2011/07/04 20:06

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

佐藤賢一が『女信長』を書いていたことをすっかり忘れていました。だから単純に私は「おお、ついに佐藤はフランスを中心にした西欧歴史小説から、日本の時代小説にまで手を伸ばしたか、あ、そういえばカポネについても書いていたっけ、それにしても、いきなり〈新徴組〉っていうのは「ストレートでの真っ向勝負だな」なんて思ったんです。間違いでした、『女信長』に続く時代小説第二弾! です。〈信長〉に〈新撰組〉ではなく〈女信長〉に〈新徴組〉っていうのが、ちょっとマニアっぽくていいな、なんて。

ちなみに、新徴組は、江戸時代後期に結成された、江戸幕府による警備組織で、京都へ上洛した後に清河八郎に率いられて江戸に帰還、清河暗殺後、新徴組として再組織され、主に江戸市中の警戒、海防警備に従事したそうで、屯所は江戸の本所あり、1864年に庄内藩御預かりとなり、大政奉還、王政復古により江戸幕府が消滅すると解散します。小説にあるように新選組幹部の沖田総司の義兄、沖田林太郎が組頭を務めているなど、新選組との交流もあったそうです(wikipedeia 参照)。

それはともかく、村田涼平の下手ウマな絵がとても心地よいカバーです。何といっても色がいい。正面の山はなんでしょ、小説の中にあった山の名前といえば、鳥海山と月山。東北に足を踏み入れたことのない私には、これがそのどちらか、それとも全く異なる山なのか、全く分かりません。ただ、多分、酒井吉之丞であろう馬上の人間に率いられた庄内藩の人間と新徴組の男たちの隊列のぎこちない歩き方と、ウマの足のあげ方がなんとも面白いのです。でも、こんな洋装をしていたのって、官軍じゃなかったの? なんて思ったりして。で、お話ですが出版社のHPには、
             *
沖田林太郎。激動の幕末、義のためでも志のためでもなく、家族のために戦った男。

「家族が大事で、何が悪い!?」沖田総司の義兄、林太郎。使命感に燃える道場仲間を横目に無難第一を決め込むつもりが、時代はそれを許さなかった――新撰組の前身・浪士組から発し、江戸市中取締を経て、庄内兵として戊辰戦争に参戦した新徴組の軌跡を、愛する家族のために自分の剣を取り戻す男の姿に重ねて描く歴史ロマン。
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とあります。学芸通信社の配信により、山形新聞(2007年2月6日~08年3月18日)、秋田魁新報、山梨日日新聞、佐賀新聞、南信州新聞などに順次掲載されたものを、単行本化にあたり改稿したそうで、装画は、既に書きましたが村田涼平、装幀は新潮社装幀室、地図製作はアトリエ・プランとなっています。沖田総司の義兄の林太郎って、本当に居たんだ、司馬遼太郎の本に出てきたことあったかしら・・・

主人公は、多分、幕末の人間のなかで最も女性に人気のある沖田総司、の義兄、沖田林太郎です。林太郎は総司の実の姉ミツの夫で、38歳。ミツと夫婦になる前は、井上林太郎といい、後の近藤勇、土方歳三などと同じ道場で剣を学んでいました。総司は、いうまでもなく新撰組の隊士で、剣の天才で、この物語当時20歳です。父の勝次郎は肺を病んで亡くなっているといいますから、総司の病気は父から受け継いだといえそうです。

受け継ぐ、ということでいえば、総司の天才ぶりは、ミツ、林太郎の息子で、12歳になる沖田芳次郎に受け継がれます。総司に直接剣を教わってはいませんが、この少年は叔父譲りの剣の才能をみせる大器と評されます。ことほどさように、このお話における総司の存在は大きく、私などは出版社の内容紹介のことを完全に忘れ、いつ総司がでてくる? どうやって、どのタイミングで、なんてことばかり考えていました。

でも、お話はこちらの期待を裏切り、あくまで沖田林太郎中心で展開していきます。第一部は江戸、第二部は庄内が舞台となりますが、メインとなるのは後半の庄内変であることは間違いないでしょう。その中心にいるのは、現庄内藩主である酒井忠篤のはずですが、なにせ11歳とまだ子供。ということで庄内藩中老酒井玄蕃了明の嫡男、天保13年生まれで、この話が始まる文久三年には未だ22歳の酒井吉之丞が活躍することになります。

吉之丞とともに藩政を動かしていく仲間が、松平権右衛門家の嫡男で、庄内藩中老、天保9年生まれの26歳の松平権十郎親懐で、吉之丞の幼馴染です。そしてもう一人が、元は150石の家柄ですが、その異能が認められ、文久三年には中老の補佐として江戸に送り出されている菅善太右衛門実秀で、文政13年生まれの34歳です。そこで林太郎は・・・

幕末から明治維新にかけて、語られるのはあくまで明治維新後に勝ち組となった人間たちのことばかり。しかも、手前勝手な評価で、同じ人間ばかりが、本当に偉かったかどうかの検証もされずに、持ち上げられ続けてきました。そのような、いかにも政官学が作り上げたまやかしの歴史観から脱却して、本当の人間を見つめる、そのためにも佐藤の仕事は貴重です。改めて、明治維新の真実を見つめたい・・・

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もうひとつの幕末史

2010/11/21 14:24

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る

佐藤賢一作品は、とにかく主人公の破天荒なイメージが強かった。『双頭の鷲』のデュ・ゲクラン、『褐色の文豪』のアレクサンドル=デュマ、そして現在も続く『小説フランス革命』ではミラボーをはじめとして、フランス革命の立役者のうち、誰をとっても個性的。佐藤氏は、遥か遠くにいた歴史上の人物を、「並外れた能力は持っているが、どこかちょっと子供っぽいところがある人」として描くことで、私たちの身近に引きずりおろし、親しみを感じさせてくれた。

だから、長年佐藤作品を読んできた方たちは、本作の主人公、沖田総次郎も庄内藩家老の息子・酒井吉之丞に、意外な印象を持つだろう。何しろ破天荒さが少しもない。彼等は平穏を愛するタイプだ。波風を立てぬように生き、昨日と同じ日常がこれからも続いてくれることを望んでいる。同じ幕末には、倒幕、尊王攘夷、公武合体とさまざまな動きがあったにも関わらず、である。主人公とするならば、総次郎の義弟・総司の方が、よっぽどふさわしいのではないかと思われる。

だが一方で、今年の大河ドラマしかり、【激動の幕末を自分の主義主張を貫いた人々】の話ならば、もう散々見てきたのも事実である。そして、歴史書に書かれていたからといって、数多くの『普通の人々』が、歴史上の人物のように、どちらかの立場に立って激しく争っていたわけではない。どちらかといえば、総次郎のように、なるべくもめごとから避けようと努めていたに違いない。だが、彼らのスタンスや思いは、『普通』であるだけに、作品になりにくいし、地味で読まれにくい。だが、滅びゆくものたちの中にも一つの矜持があり、派手な江戸や京都の戦だけではなく、都から遠く離れた東北の地で、村を焼かれた人々もいたのだ。『普通』であるがゆえに作品とならなかった目立たぬ彼らの生き方もまた、分かち難い日本の歴史の一部であるのだから、もっと作品として出てきて良いのではないだろうか。読まれるかどうか、面白いかどうかは、要は中身次第だ。

本作が、主人公の破天荒さを前面に出さずとも読ませる作品であることは、氏の作家としての幅が広がったということに繋がると思う。
今後、氏がどのような作品を生み出してゆくのか楽しみである。

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2010/09/11 01:56

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2010/10/20 23:55

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2020/07/02 21:29

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