紙の本
映画というよりも映画館にまつわる優れたエッセイがつまった一冊
2011/01/31 21:49
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
女優である著者は学生時代からしばらく銀座の映画館でもぎり嬢として働いた経験があります。そんな著者が映画館にまつわる思い出を綴って『キネマ旬報』誌に2006年から2010年にかけて隔号連載したエッセイを集めた一冊です。
今から10年ほど前に渋谷の単館映画館ユーロスペースの客席に著者の姿を見たことがあります。小さな映画館で、なおかつ特徴がある容姿の著者ですからとても目立っていた覚えがあります。
著者が若い頃から無類の映画好きで、病昂じてもぎり嬢になったという経緯をこの本で初めて知りました。知名度の決して高くはない映画作品を上映するあの小さな映画館で見かけた著者がシネフィルであったことが分かり、同好の士として喜ばしく思いながら読み進めました。
著者の銀座時代の思い出話だけでしたら昔話に終始するところでしょうが、女優業として名と顔を知られるようになった今も著者は日本全国の中小の映画館をめぐってエッセイを綴ります。それぞれの街に異国の香りを伝える独特の映画館があることを、足を運んで取材していきます。
時にはちょっとしたいたずら心もあって最近の映画館でもぎりをやってみたりもするのです。「もぎり」はもはや死語であって、今は「フロア」というのだということも著者とともに同い年の読者の私は驚きをもって知りました。
電車賃と入場料を支払って能動的に映画を見に出かける行為はひとつの小さな旅であるように思います。その旅の目的地に対して思い入れや思い出が積もるのは至極当然です。
著者は達意の文章で見事にその旅先の様子を綴って見せています。
確かに最近の映画は元気がありません。それに伴って映画館も元気がないようです。
かつて勢いのあった映画館の姿が、もはや遠い昔日の思い出となってしまう様子を綴った文章も少なくなく、著者同様うらさびしい思いにとらわれます。
著者の連載は既に終了してしまったようですが、旅の思い出をまた別の場所、別の機会に披露してもらえればと思います。
紙の本
映画好きにはたまらない
2015/11/18 00:26
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投稿者:kanako - この投稿者のレビュー一覧を見る
キネマ旬報でのエッセイをまとめた本。とても読み応えがあります。映画が好きな人は特に。はいりさんの映画への思いが詰まっていて持っているだけで幸せな本です。単行本の表紙の絵がとても好きです。
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2010.8.31 家の本
映画館愛に包まれた1冊。シネコン全盛時代になって久しいが、未だにあの行き届き過ぎてる感に違和感がある。僕が一番通った映画館は大学の近くにあった飯田橋のギンレイホール。当時学生料金で1200円だったかな。2本立ての名画座。前の座席との間隔も狭く、ギイギイ音の鳴るイスで2本観終わると腰が痛くなった。でも雰囲気のいい映画館です。
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お芝居をやる人は、言葉を大事にするから余計に文章が面白い。
片桐はいりのエッセイはいつも読んで手楽しいし、新しい事に目を向けて見たくなる。
そんなに自分から映画ずきとは恐れ多くて言えない私にも思いでも映画館があり、そのうち2館がすでに幕をおろしている事に気づいた。
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映画愛、というか、劇場愛。
海老名だろうが、横浜だろうが、川崎だろうが、本牧だろうが、中に入ればどこにいるかを忘れてしまうほど同じなつくりの今のシネコンには逆立ちしてもマネのできない、あの、「劇場」たちを私も知っている。
床が土だったライオン座。
8ミリの上映会かと見まごうた関内アカデミーの2階。
立ち見も床に座ってもアタリマエの日劇文化。
「わたしのマトカ」に引き続き、とんでもなくウマい書き手でもあるはいりちゃんを堪能させてもらいました。
同世代。
あなたほどではなかったけれど、それでも、劇場に熱かった時代を過ごした過ごした、うんうん、過ごした…と反芻しながら。
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「もぎり」と言う言葉が最初分からなかった。
片桐さんの映画に対する思いを読んでて、俳優『片桐はいり』の新たな一面を見れた気がした。
章のタイトルが映画のタイトルをもじっているのも面白かった。
本のデザインがかわいいのも惹かれる要因の一つだった。
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銀座の映画館で働く私にとって、
うん、うん。と頷くことばかり
はいりさんの頃と時代は違うけど
私も映画館には同じくらい愛情を感じている
不思議な魅力に詰まった場所なんだよなあ
「1日もぎり致します」
いいなあいいなあ
ちなみに2010年の今でも私のバイト先では「もぎり」ですよ!
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かなり個性派のイメージが強い片桐はいりさんですが、知的で、プラスとてもおちゃめでかわいらしい女性であることがよ~くわかる一冊です。もちろん映画好きな(映画館好きかな)方にもお薦めです♪
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片桐はいりの文章は、おちゃめで楽しくって、語る対象にいつも愛を感じます。
今作は映画と、映画館について。
わたしのマトカ、グアマテラの弟に続き、とてもよかった。
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もぎり、そういえば今はあまり使われなくなった言葉かもしれないな。
おやつ持って映画館行きたくなった~
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もぎりもバイトをしていたはいりさんの
「映画館が大好き!」が満載なエッセイ。
今では見かけることの少なくなった小さな映画館が懐かしい。
各章のタイトルが映画の題名をもじってあって
あっぱれと唸るような題名もあれば
これはちょっとと思えるような苦しい題名もあり(笑)
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映画について。いや、映画館について、片桐さんの思いがいっぱい詰まった本です。
片桐さんの文章はとてもおもしろくて、読みやすいので大好きです。
もう少し、自分自身が映画に詳しかったら、もっと楽しめただろうなと思うと、残念です。
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樹木希林が帯に書いてあるコメントが素晴らしい。
「自分を知っている人は愉快だ」
まさにその通り。
この本の本質をそっと言い当てている言葉だと思った。
この本、というか片桐はいり(別名:映画館もぎり)の本質というか。
愉快な人だ。
片桐はいりを通してみるこの世はキラキラと楽しげなんだろう。
「映画館が好き」というそのフィルターがあるだけで、こんなにも幸福になることができ、さらにその想いを文章にすることで私たちにも伝染すことができている。
素晴らしい本です。
諸事情あって、涙腺がいまめいっぱい緩くなっている私は、この本が持つほんのりとした切ない愛おしさのようなものに、涙を誘われるのでした。
わざとらしくなく、そしておそらくはいりさんの本物の想いであってわざとではないから、人の気持ちを揺さぶるのだと思います。
くさくさしてる時、なんだか元気のでないとき、よむと良いです。
自分の物差しをもう一度持ち直すきっかけになる本だと思います。
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そうそう、映画は入替制ではなかった時代がありました。
何度も観たい映画はおにぎりと水筒(ペットボトルがなかった)持参で空いている前の方に腰をおろして何度も観たものです。
薄いペラペラのチケット(入場券)でした。
でもそれも大切に持ち帰ったものです。
現代にもそんな涙がでるほど懐かしい劇場があることに新鮮な驚きと懐かしさを覚えます。 試写会のはがきも書きました。
うなずきながら、想像しながら最後まで一息に読めました。
作者のCM登場の頃から強烈なキャラに惚れています。
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映画館でアルバイト経験がある、私には懐かしい事ばかり、お正月にビールを飲んで、てけつの陰で居眠りた事など、懐かしく思い出しました。映画にでてる俳優さんが映画館を愛してるってそ素敵ですね。