紙の本
ガロア理論の起源とその思考について考えていきます!
2019/02/26 12:31
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、今も数学者を魅了してやまないガロア理論についての書です。ガロア理論とは一体どのようなものなのか、どうのようにして生まれたのか、また5次以上の方程式解けるのか?解けないのか?こうしたガロアとガロア理論にまつわる様々な内容を丁寧に解説してくれる優れた一冊です。非常によくガロアとその理論が理解できます!
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まえがき
第1章 方程式の歴史をめぐる冒険
第2章 2次方程式でガロア理論をざっくり理解
第3章 「動き」の代数学~群とは何か
第4章 群は対称性の表現だ~部分群とハッセ図
第5章 空想の数の理想郷~複素数
第6章 3次方程式が解けるからくり
第7章 5次以上の方程式が解けないからくり
第8章 ガロアの群論のその後の発展
四次までなら、Wolfram|Alphaも知っている。次数が一つ上がるごとにとてつもなく難しくなっていくことがここからも伺えるだろう。
a_0x+a_1=0 - Wolfram|Alpha
a_0x^2+a_1x+a_2=0 - Wolfram|Alpha
a_0x^3+a_1x^2+a_2x+a_3=0 - Wolfram|Alpha
a_0x^4+a_1x^3+a_2x^2+a_3x+a_4=0 - Wolfram|Alpha
ところが、五次ともなるとお手上げなのだ。
a_0x^5+a_1x^4+a_2x^3+a_3x^2+a_4x+a_5=0 - Wolfram|Alpha
この定理「ガロアの定理」ではなく「アーベル-ルフィニの定理」という名前がついている。定理の名からもわかるとおり、五次以上の代数方程式には解の公式が存在しないを最初に見いだしたのはガロアではない。
にも関わらず、この件に関してなぜガロアの名前ばかり出てくるのだろう?
「アーベル-ルフィニの定理」が「五次以上の代数方程式には解の公式を見つけよ」という問題の「終わり」だったのに対し、ガロアの理論は「始まり」だったからである。
群論という、とてつもなく大きな数学の一分野の。
それでは群論とはなんなのか。名前のとおり群に関する論である。
では群(group)とは何なのか。
現代では、このように定義されている。
群 (数学) - Wikipedia
空でない集合 G とその上の二項演算 μ: G × G → G の組 (G, μ) が群であるとは、
(結合法則)任意の G の元 g, h, k に対して、μ(g, μ(h, k)) = μ(μ(g, h), k) を満たす。
(単位元の存在)μ(g, e) = μ(e, g) = g を G のどんな元 g に対しても満たすような元 e が G のなかに存在する(存在すれば一意である)。これを G の単位元という。
(逆元の存在)G のどんな元 g に対しても、μ(g, x) = μ(x, g) = e となるような G の元 x が存在する(存在すれば一意である)。これを g の G における逆元といい、しばしば g-1で表される。
これだけ見ると数学に慣れていない人は「ハァ?」だろう。一番簡単な一例を上げよう。
集合{0,1}と演算^(排他的論理和;XOR)は群をなす。
結合法則:(a^b)^c == a^(b^c)
単位元:0: 0^0 == 0;0^1 == 1
逆元:0の逆元は0: 0^0 == 0; 1の逆元は1: 1^1 == 0
ついでに交換法則 a^b == b^a も成り立っているのでこれは可換群すなわちアーベル群でもある。
ついでに交換法則 a^b == b^a も成り立っているのでこれは可換群すなわちアーベル群でもある。
ちなみに0番目に簡単な群は、元が一つ、演算が「何もしない」という群。群というか「孤」といおうか。それはさておき群の一体全体何がすごいのか。
集合、すなわち数の集まりだけではなく、数を別の数にするという操作、すなわち演算もセットにして考えたことである。setは英語では集合の意味にもなるので意図せぬ駄洒落になってしまったが、プログラミング��たとえると、まるでオブジェクト指向ではないか。データとプログラムを分けて考えるのではなく、オブジェクトとメソッドとして合わせて考えるという意味において。群とはまるでクラスみたいだ。
集合、すなわち数の集まりだけではなく、数を別の数にするという操作、すなわち演算もセットにして考えたことである。setは英語では集合の意味にもなるので意図せぬ駄洒落になってしまったが、プログラミングにたとえると、まるでオブジェクト指向ではないか。データとプログラムを分けて考えるのではなく、オブジェクトとメソッドとして合わせて考えるという意味において。群とはまるでクラスみたいだ。
もちろん、ただのクラスではない。閉じたクラスというところに意義がある。メソッドを適用した結果も、そのクラスに属していなければならないのだ。例えばIntergerクラスは+メソッドと群をなしているのに対し、*メソッドとは群を成していない(逆元がない)。
「天才ガロアの発想力」は、そのことをこう表現している。
P. 70
要するに群とは
つなぐことができる
変えないことができる
もとにもどすことができる
の3条件のある世界だとだと思えばいいわけです。
「五次方程式の解の公式は何か」ではなく、「解の公式を導きだす」とは一体なんなのかを考えてみよう」
手段ではなく、手段を作る手段を考える。プログラミングならぬメタプログラミングである。メタ。数学の十八番であるが、数学者の特権では決してない。大岡越前守だってやっている。
三者一両損という話がある。3両が誰に帰属するのか、元の持ち主と拾い主のどちらに帰属するのか争ったとき、越前守が一両持ち出して双方に分けたので持ち主拾い主裁き主がそれぞれ一両づつ損をするという麗しい話だ。私が裁き主なら、一両もらって残り二両を分けて「三者一両得」としただろうが、重要なのはこの問題を考えるときに「両」を一旦忘れて数字だけ考えることである。三者が同じだけ損、あるいは得するにはどうすればいいか。単位は何だっていいのである。しかしどんな単位を使っても裁き主が持ち出す、あるい受け取る分は元の1/3となる。
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群論についてのみ述べた本を手に取るのは初めてだ。そしてそのような諸学者にこの本はお勧めできるだろう。アミダくじの例えは少し我慢強く思考能力を働かせさえすれば、著者の言うとおり中学生でも理解できるように群論を紐解いている。
結局のところ群論を代表とした現代数学理論は高度な抽象化思考であり、数字や計算に強いからといってするりと理解するのは難しいと思う。逆に言えばこれらの思考は強力な論理的思考能力や物事の抽象化(群論が数学外の分野で活躍していることを考えれば自明であるが)に役立つ論理であると言える。
ではそれらの論理が役立つ場所はどこだろう?それは殆ど世の中の全てだろう。論理性と抽象化はコンピュータープログラムから料理のレシピにまで適用できることが可能だろう。
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これはいい本ですね。著者は帝京大経済学部教授の方ですが、数学科出身で数学エッセイストとしても活躍している方。
これまでのガロア理論の本は「お話だけで終わっている」か「すごく難しい」のいずれかであったためその中間を目指したとの事です。狙いどおりで、そこそこ証明を入れながらガロア理論のエッセンスを解説している画期的な本。私にも丁度良かったです。確かにこれまでこんな本、なかったですね。
群に関しても豊富に図形を交え、なぜ群が対象性の表現なのかをわかりやすく解説しています。これは良かったです。
二次方程式、三次方程式の例からガロア理論のエッセンスを説明しておりわかりやすいです。
本書は13歳の頃の自分を想定読者として書き、意欲的な中学生なら読めることを目標として書いているとのことです。私も子供が中学生になったら本書を読ませてみたいところです。
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2次方程式が2等辺三角形、3次方程式が正三角形と対応するあたりは緻密に計算されていて、なおかつ新鮮。ガロアの対応の伏線となるハッセ図の話にも感心した。後半はよくわからなくなって、読み飛ばした。
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5次以上の方程式は代数的一般解を持たない、というガロア理論についての本です。ガロア理論はどういう発想で構築されたものか、ということをわかりやすく説明しています。(・・・ですが、ラストの7~8章はいきなり難易度が上がっているような気もします)
著者も冒頭で書いているのですが、ガロア理論に関するお話ものにとどまらず、なおかつ、難解になり過ぎない程度に説明を端折っていて、バランスの良い本だと思います。
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非常に分かりやすく、5次以上の方定式に解の公式が存在しないことの証明についてのガロアのアイデアも分かったが、さすがに最後の方は議論を追うのがつらくてギブアップ。
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数学の知識が少ない人に向けて、5次以上の方程式の解を代数的に求めることができないというガロアの理論を解説した本。
いくつかの定理の証明は大胆に省略してあって、論理の流れをつかむことを主眼にまとめてある。簡略化しながらも、重要な部分は押さえてある。と思いきや、肝心の部分である(ように僕には思える)5次以上の方程式の解を求めることができない理由が、かいつまんで言えば「解を求めるための群の系列がないから。証明は略」となっていて、なぜ5次以上が特別なのかがわからないのである。悲しい思いをした。
また、13歳の自分を読者に想定して書いたとのことでわかりやすく書いてはあるが、それでもかなり難しい。高校数学が得意という程度では読み通すのも無理じゃないかな。大学で数学を学んだ人(数学専攻以外)が、専門書を読む前に感じをつかむために目を通すレベルの本だと思う。
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非常にわかりやすく群論を導入している。
と言っても筆者が述べているようにあまり厳密ではない。
これを足がかりに次へ進むとよいかも。
最後に被覆に関しても述べているが、これは予備知識がないと厳しい。
しかし何にせよ紙と鉛筆は必須。
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今を去る事40年前、私が未だ紅顔の美少年(?)だったクリクリ頭の中学生の頃に、この本の著者と同様私もまた孤独な数学少年が例外なく読んでいた遠山啓「数学入門」によって得た疑問、即ち「4次方程式までには根の公式が存在するにも拘らず5次以上の代数方程式には存在しない」という40年間私の脳裏をを捉えて離さなかった疑問をこの本はほぼ理想的な形で解明してくれたのだ。21世紀の数学少年達は幸運である、何故ならこの本が目前に在るのだから。(4次方程式の解法をこの本に倣って自力で見出す事はこの本の良い理解の助けになるであろう)
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【内容】
ガロア理論の入門書
20歳の生涯の最後の遺書として数学の論文を書いたガロア少年が考えた理論を紹介している。
2次方程式、3次方程式には解を求める公式があるが、ガロアは群論というものを用いて、5次以上の方程式には、解を求める公式がないことを証明した。
【得たもの?やってみること】
・2次方程式の公式の求め方。
2次方程式は正方形の面積を求める考え方を入れることで、公式が求められることが発見。
【感想】
数学に興味がある人には面白いのかもしれないが、理解するには、数式を解いてみないと理解できないと感じた。
現状読めないし、読んでも得られるものが少ないと判断して、途中で読むのをやめてしまった。
もっと若いうちに出会えていたら読んでいたかも。
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ガロアのアイデアに迫ることができる。群論についてお話で終わらず、きちんと本質が理解できるよう書かれてあり、とても興味が湧いてきた。
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かなり考えながら読まないと理解が出来ない。繰り返し読んだ。それでも理解出来たか疑問。まだまだ理解に努めたい。他の参考書など理解の助けとなる書の紹介がある。
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[関連リンク]
404 Blog Not Found:群の叡智 - ガロア理論を知るための三作: http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51507410.html
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☆実にわかりやすい。
(お勧めの本)難しさを*の個数で表現
1.***ガロワと方程式 草場 名著。ほぼ完全に証明
2.***代数方程式とガロア理論 中島 完全に証明。ただ分厚い
3.*代数に惹かれた数学者た ダービシャー 代数学の発展の歴史
4.****ガロアの夢 群論と微分方程式 久賀 名著。一読の価値あり
5.***対称性からの群論入門 アームストロング 対称性の観点から群論を講義した教科書
6.*生命世界の非対称性 黒田 化学物質の対称性から生命現象をさぐる、すばらしい本
7.*ガロア理論の世界観 伴 (現代思想 2008.11号所収)数学の思想がみごとに描かれている。