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紙の本
BMIの先端技術をわかりやすく紹介。
2010/12/01 16:43
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
・「大リーグ養成ベルト」のような装置を身に付けた老人が重い米袋を楽に持ち上げる。
・特殊なヘルメットを被って念じると、離れたところに立つロボットの手足が動く。
・小さいマイクを埋め込んで耳の神経につなぐと、聴覚が回復する。
ニュースで取り上げられたので知っている人も多いだろう。このようなものが、本書で説明されるBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)、脳と機械をつなぐ装置である。
序章、第1章は明るい未来の予測、2章は基礎、3章は著者たちの研究を紹介。4章はBMI研究の考え方・方法論について。第一線の研究者である著者はなかなかわかりやすく先端技術を紹介してくれる。説明し慣れているという印象を受けるのは、3章にもでてくるような研究のための協力要請をすることも多いからかもしれない。一般の人に正しい理解を得るための苦労もしているのだろう、5章ではメディアに登場して根拠の怪しい説明をする「脳科学者」への厳しい言葉も出てくる。6章は倫理的な問題を検討する章、7章は著者の自伝的な章である。
BMIには出力型と入力型がある。出力型は「念じると動く」や「弱い力を増幅する」タイプであり、入力型は「マイクで音を拾って伝える」や「脳に信号を送って震えを止める」などである。それぞれかなり現実的な利用に近くなっていて、身体補助や病気治療などには明るい話である。
しかし、「電気信号を脳に送って調整する」という入力型の方にはなんとなく抵抗を感じる人もまだ多いのではないだろうか。それはなぜか。著者もいろいろな説明を加えてくれている。機械は、基本的には構造も機能も全て予測できるように組み立ててある。しかし脳の方はまだまだ「ブラックボックス」の部分がほとんどである。脳からの出力で「わかっている」機械を動かすことにはあまり不安はないが、「わかっていない部分のある」脳に入力することはまだまだ不安、ということかもしれない。
不安は、6章に出てくる倫理の問題にもある。どんな知識も技術も使い方次第と言ってしまえばそれまでであるが、悪用のケースは本書を読みながらもいくつも想像できてしまった。多くの技術は軍事開発から始まったということは良く知られているところである。老人でも重い荷物を持ち上げられる装置は、当然破壊装置としても使われ得るのである。怖れてばかりではいけないが、それに対しての準備はしておかなくてはいけないだろう。
少々「説明慣れ」しすぎているような、企業宣伝のような雰囲気のところもあるが、全体にすらすらと、しかし基本は抑えて上手くBMIを説明している本になっている。これからこういった研究の成果が生活に入り込んで来ることは間違いないので、まずは本書のような本を楽しく読んで基礎知識を知っておいて損はないだろう。上手に取り入れられればこれからの未来は明るい、という気持ちにもなってくる。
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