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琉璃玉の耳輪 みんなのレビュー

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みんなのレビュー32件

みんなの評価3.8

評価内訳

32 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

翻案じゃあありません。だから、時代を超えることはない。いかにも戦前の作品。でも、それが面白い。江戸川乱歩や新青年に拠った作家たちの世界に戻ったような大活劇を素直に楽しみましょう。

2011/08/08 19:41

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

相変わらず北見隆の装画はいいな、って思います。彼のイラストに出会った時の驚きは今でも忘れることはありません。あわてて本の奥付をチェックして名前を見つけたものの、現在とは違ってインターネットで仕事の内容や作品の発表の場を検索することもできない時代のこと、どうやって実際の作品にお目にかかれるかと悩んだものです。その北見隆がこの本では装幀・装画・扉イラストも担当しています。

そして津原泰水、作品数が多い作家ではありませんが、コンスタントに質の高いものを書く、私のお気に入りの作家の一人です。でも『琉璃玉の耳輪』とはいかにも時代を感じさせるタイトル。今までの作品とはあまりに異なる様子に首を捻った私が出版社のHPを調べると
             *
三人の娘を探して下さい。手掛かりは、琉璃玉の耳輪を嵌めています――女探偵・岡田明子のもとへ迷い込んだ、奇妙な依頼。原案・尾崎翠、小説・津原泰水。90年の時を超え、幻の探偵小説がついに刊行!
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とあります。つまり、この作品は90年前の作品に津原が手を加えて、このたび要約完成されたもの、ということでバジリコのWEBマガジン『月刊バジリコバジリコ』に連載されていたものに加筆修正のうえ、冬、エピログを書き下ろしたものだそうです。ちなみに、同HPによれば、
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尾崎 翠 (オサキ ミドリ) 
1896年鳥取生。女学校時代投稿を始め、故郷で代用教員の後上京。日本女子大在学中「無風帯から」、中退後「第七官界彷徨」等を発表。32年、病のため帰郷し音信を絶つ。のちに再発見されたが執筆を固辞。71年死去
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だそうです。だそうです、と書いたことから明らかなように、私は尾崎の作品を読んでいません。ま、私は戦前の作家に関しては探偵小説以外は殆ど未読なので、そう思っていたのですが、自分のメモを検索にかけると尾崎について、角田光代『私たちには物語がある』の中で、「退屈な隙間の、幾重もの現実 尾崎翠」という文章があり、一応は読んでいます。

また尾崎作品としても小川洋子編著『小川洋子の偏愛短篇箱』の中の「こおろぎ嬢 尾崎翠(1932「火の鳥」)」を読んでもいる。ただし、小川の本では他の作家の「兎」「みのむし」「件」「彼の父は私の父の父」「風媒結婚」「花ある写真」「力道山の弟」「雪の降るまで」には感心したものの、尾崎作品にはさほど心を動かされなかったことが分かります。

で、お話ですが女探偵もの、というのが分かりやすいでしょう。主人公は岡田明子という25歳の令嬢です。父親は東京地裁検事局検事の岡田卓三で、明子はもちろん美女ですが、彼女の仕事というのが東京探偵社の探偵というのが、この話のキモの部分。彼女は、謎の人物の依頼を受けた探偵社の代表・唐草七郎から、黄三姉妹を探し出し、一年後の四月十五日に三人を丸の内ホテル西館の十五番室に連れていくことを命じられます。彼女の仕事に打ち込む動機とその探偵の技は見もので、催眠学の権威、音無謙吉教授のもとで学んだことが大きく働きます。

怪しい男たち、変態性欲者、美貌の姉妹、政治家、見世物小屋の座長と芸人、そしてシオニストのユダヤ人といった多彩な面々が登場しますが、一見複雑な人間関係も、実際にはさほど難しいものではありません。江戸川乱歩の描いた時代を思い浮かべながら、明子の変装ぶりに「ちょっと無理があるんじゃあ」なんて思いつつ楽しむのが一番。

それにしても、本にはまとめて紹介されている横浜南京町に出入りする遊民たちですが、彼らに甲賀一助、乙津二郎、丙部三五郎といういい加減な名前をつけるなんて、凄い荒技。弁天瑤子、南京町のマリー、ツェッペリン八重子、マッスル益荒男、石火のお龍、そして唐草七郎、読んでいて思わず微笑んでしまう名前ばかり。そのなかに、田邊や金丸砂夫といった魅力的な男がいるわけで、この混沌とした様はなかなか楽しいものです。最期は目次のコピー。

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紙の本

批評とオマージュと創造力

2010/09/24 20:17

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:琉璃と瑠璃 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 単純なノベライズを許すようなやわな対象ではない、尾崎翠。
 尾崎翠を理解するために欠かすことのできない、モダニズム尖鋭期の意匠,風俗を、贅沢に採りいれた力技。
 遊び心にもあふれ、そこここに埋め込まれた尾崎翠モチーフの変装を発見する読書の楽しみも味わえる。
 
 典雅にして残酷な、エログロナンセンスの光芒と深い闇の奥に、今なぜ、尾崎翠か、という謎が潜んでいる。
 尾崎翠は手強い。
 全力を挙げて「小説家」という方法によって尾崎翠の未完のシナリオと取り組んだこの書には、批評とオマージュと21世紀的な創造力が横溢している。


 尾崎翠新世紀が、内発的に始まり、次の世代の表現者に精神のリレーのバトンを渡しうるとしたら、ここからだ。

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2010/10/14 22:38

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2010/11/04 22:55

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2010/12/22 23:02

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2011/01/29 10:29

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2011/04/17 02:51

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2010/12/22 20:06

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2010/10/24 20:28

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