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利休にたずねよ (PHP文芸文庫)
2019/05/22 15:26
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投稿者:lakini - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレ
まず、そうきたか!
て感じでした(笑)。
もう、ネタばらしちゃうけど、利休の切腹直前ていうメインイベントがあって、その後そこに向けて盛り上がっていくのかと思ったら、時間逆戻りで周りの人とのやり取りを追いかけるという…。
ゃー、びっくりした。
で、これあまりに遡るから、真相がわかるのはいいけど、一体どうやって仕舞いつけんねん!と思ってたら、なるほど、死の場面をまた最後に持ってきたか、と。
構成が一番興味深かった(笑)。
あと、利休のあまりに美に執着する様子に驚きつつ。
また、久しぶりに、結構知らないような日本語か多く出る本に出会ってテンション上がったり。
茶室の造りとかも興味あるから、むしろそちらの知識という意味でテンション上がったり。笑
あと、最後の、宋恩をきっと一番愛していたのでは、という宮部みゆきの解説にびっくりしたり(笑)。
あとは、最後の高麗の女の死の場面で・心中とがに始まる、自殺幇助罪と安楽死・尊厳死の関係とか、自殺をすること自体の是非とかを、現代になぞらえて考えてしまった。
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プレゼン
2017/10/17 13:22
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投稿者:ペンギン - この投稿者のレビュー一覧を見る
各章ごとに一つの短編として成立しながら、各所に配置された謎が後の章へ興味を引き付けるためのとっかかりとなり、時間をさかのぼる向きに物語が進んでいくことでひとつひとつ謎が明らかにされていく構成が、よくできたプレゼンみたいだと思いました。
いろいろな映画、小説、漫画にいろいろな利休が登場しますが、若き日に出会った一人の女性の存在が、利休の目指す美の姿となって茶席のしつらいに現れている、という著者の解釈はロマンチックだと思います。
でも、私がこの小説の一番好きなところは、利休ではなく、細川忠興と山上宗二です。細川忠興が独創性を持てなかったのは、自分が師を越えられないことを理解していたからでしょう。「へうげもの」の古田織部のように利休の(信長の?)センスにブッ飛んでしまった人と根っこは同じかもしれません。織部は越えられない壁を笑いで突き破ろうとしました。忠興は壁を破ろうとはしませんでした。壁に守られることを選んだ忠興に共感を覚えます。
山上宗二が人を怒らせることを口にしてしまうのは、自分の目利きを評価にしてくれる世界を奪われた恨みのために、利休のように全身全霊の慈しみをもって茶席に臨むことができなかったのでしょう。裕福な人が鄙を貴び貧乏ごっこをすることは苦ではありませんが、精神的に窮乏している人が心から貧乏を楽しむのはかなり厳しいはずです。そこを救えるだけの器量はさすがの利休にも無かったようです。
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重めの話
2016/01/03 13:34
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投稿者:ちわわんこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
千利休についてもっと知りたいと思い、購入しました。
読後は骨太でずっしりと重い感触を味わいました。
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現在から過去に遡っていくというアイデアが斬新だ。
利休というを始め、秀吉もよく人物が描かれている。
また最高のミステリーにもなっている。
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利休の気持ちに入り込める面白い作品だった。
周囲の人間からみた利休、秀吉もわかるストーリー展開。
ただ、切腹当日の気になる話からどんどんと時の川を遡るのがもどかしくもあり。
宗恩の人柄が気になる
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ものすごく読み応えがあった。絶対的な審美眼ってすごい!
利休のイメージがガラリと変わった。
茶の湯や茶道具なんてぜんぜん知らなかったけど興味を持ちはじめた。やってみようかな。美意識が培われるかしら。
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2010 10/24読了。WonderGooで購入。
ハードカバー時から気にかかっていたが、ハードカバーゆえに手が出せずにいた本。文庫化したのを見つけたので即買い。
千利休の切腹を起点に、利休をとりまく人々、ときに利休本人の視点から細かい挿話をどんどんつなげていく形式。
一部を除いて一章が三節構成で、各章もそう長くはないのでどこでも手を休められるはずなのに、読み始めたらほとんど休まずいっきに読んでしまった。読みやすい(『へうげもの』で(相当ねじ曲がってはいても)出てくる人物と史実の多くを事前に予習(?)していたので登場人物理解が早い、とかいうこともあるかもだけど・・・)。
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利休切腹の日から、過去へ遡っていくことで紐解かれる謎。ゆるゆると解けていく様が心地よい本でした。
人の欲とは醜く、かくもこんなに美しい。
欲があってこそ、利休は美を極められたのだろう。
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マンガ「へうげもの」で千利休に興味を持って本書を手にしたので、登場人物も人間関係も良く分かっていたのでかなり読みやすかったとは思うのですが、それにしても面白い!
そして描かれている茶碗、茶道具、食べ物、菓子、茶室…その表現が生き生きと美しく、まるで自分がそこに招かれ、自分の目の前に茶や菓子が出されているようです。
一度だけ茶室でお茶を頂いたことがあるのですが、その時の情景が甦るようでした。
「美」をひたすらに追求する千利休の姿が印象的でした。
利休の恋という切り口も面白かったです。
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火天の城、一心虎徹を読んで山本さんのファンになったが、この本は本当に読んで良かった。夏目漱石のこころ以来かも。
構成の目新しさは勿論、利休と彼を取り巻く人達の人間味がリアル。利休の茶の湯に対する価値観の確立も、なるほどという感じ。
文章は過去に振り返って行くが、物語は流れるように展開。もう一度よみたい本です。
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とにかく面白かった。
読み始めたら、もの凄い力によって、
物語の世界に惹き込まれていき、あちらこちらへ引っ張りまわされた。
良い意味で「作品に振り回される感覚」を味わわせてくれた作品。
このレビューを書いている現在は10月末で、
まだ今年は終わっていないが、
「2010年に出会った本で一番面白かった本」には、
ぜひこれを選びたい。
利休の死の理由は、諸説あり謎に包まれている。
大徳寺の山門に履物を履いた利休の木像が置かれたからだとか、
娘を秀吉の側室に差し出さなかったからだとか。
物語は、利休が太閤秀吉より死を賜った朝から始まる。
利休はなぜ死ななくてはならなかったのか。
その謎を解くべく、読者は時の川を渡りながら利休の人生を旅し、
自分なりの結論を見つけていかなくてはならない。
まるで、推理小説で探偵が殺人事件のを真相を見つけ出すために、
容疑者や関係者の証言を集めていくような感じで、
利休に縁の合った人物達の視点で描かれた短い話が、
一話一話と紡がれていく。
物語を読み進めるにつれ、自分をこの物語の中に引っ張り込んだ
「もの凄い力」とは、美を追求し続け、
ついにその頂点にまで登り詰めた利休の鋭過ぎる生きざまと、
まるでその場にいたかのように、利休と登場人物達の心情を
書き綴った筆者の筆の力なのではないかと思わされた。
もしかしたら、この謎は最後まで解き明かされる事はないのかもしれない。
しかし、だからといって私達読者が悲しむ必要は全くない。
物語のラストは、この物語の世界を、
とことん彷徨い歩いた読者の心にのみ響くであろう、
心に残る、哀しいけれど美しい場面だ。
その人物の取った行動が、
利休を愛し、彼の心を理解した者の役割としてふさわしいが、
愛したがゆえに背負わされた切なさや苦しさが滲み出るものだった。
彼女がそうする事で、美の追求者であった利休の人生、
その物語を誰の手によって穢される事なく終える事が出来たのだと
私は思う。
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おもしろい。筋はそれほど凝った話ではないが、時間を逆行していく手法、様々な歴史的人物からの逸話のオムニバス形式。やりますなあ。要は利休が19歳のときに恋い焦がれた高麗女性を殺してしまった無念が彼の芸術を作り上げたんだという話。女性の形見も巡って秀吉等と絡めていく。知っている史実、知らなかった史実のオンパレード。これぞ直木賞作品です。
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直木賞を受賞し、あらすじを聞いたときから
ずっと読みたいと思っていた作品。
読み終わって思うのは、
「利休にたずねよ」というタイトルには、「美しいもののことは、」という枕詞が付くのかなということ。
寂とした異界に通じた茶の湯に、命をかけた男の死後、
この世にはどれほどの美しいものが
残ったんでしょうか。
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千利休が追求した茶の湯。
時の権力者「豊臣秀吉」に対してすら折れることのなかった彼の真意は、緑釉(りょくゆう)の壺に秘密があった。
なぜ、利休は「美」に対して異常なまでに執着するのかを、彼の切腹の時からさかのぼって読ませてくれる良作。
情景・美への表現が素晴らしい。
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筆者がわざとそうしているのか分からないが、最後まで主人公である利休に感情移入出来ないため、少々、とっつきにくい作品となっている。利休よりも利休のあり様で利休を責める武将の心情の方が分かりやすい。そのわからなさが利休が死を賜った理由であるとするのであれば、表現として実に成功している作品である。解説でも記載されているが、利休の人生を、その終わりに遡るという記憶のありようを小説とするのは実に大変であろうと思われ、その点では実に意欲的な作品である。直木賞むべなるかなと思うが、その視点が、多岐にわたり過ぎるのがどうかなとは思う。秀吉と宋恩の視点だけでが語りきれないのだろうが、普通の小説であっても十分に面白かっただろうにと思う。